豊玉保育園の陳情に対する賛成討論
12/14(金)の議会最終日、豊玉保育園の民間委託に関する陳情に対して、賛成の討論をしました。残念ながら、多数決により、陳情は不採択となりました。本当に、本当に、悔しいです……。
今日、園のママ友と話していたのですが。以前、うちの幼稚園で、園長の交代があり。表面上は変わらないように見えても、やっぱり保育の重要な部分が変わったよね、と。
委託して、保育士ががらっと変わっても、何も変わらない…というのは。
本当に、なんにもわかっていない…と、思います。
悔しさに包まれながら…閉会した、今回の議会。
以下、原稿です。
*正式な議事録は、区議会HPをご覧ください。
1.陳情について~説明責任を果たそう!
市民の声ねりまを代表し、議案第152号「豊玉保育園の民間委託計画に関して調査と検証を求めることについて」に対し、賛成の立場から討論します。
この陳情はまず、「委託の必要性と現状の問題点を精査して説明責任を果たすこと」を求めています。先日の説明会でも、事業者選定の不透明さ等に不安の声が高まりました。説明責任は当然果たし続けるべきことです。陳情の不採択は、理解に苦しみます。
2.離職率の高さが明らかに
さらに陳情は、「保育の質を保つため、保育士不足解消の対策を講じること」も求めています。
しかし、12/10に文教児童青少年委員会に提出された資料では、委託園の離職率は、直営園の10倍にも及ぶことが発覚。多い園では、なんと1年で22.2%。一方、直営園では、毎年わずか2%程度です。
*参考:https://koguchiyoko.net/nerima/20181212toyotamahoikuen/
区は、離職と異動をあわせれば、直営園も委託園も、約20%になると主張します。しかし、直営園の異動は、区自身の規則ですし、異動は「組織内の新陳代謝」だと区が答弁するとおり、異動先で職員の経験や知識が活かされます。離職と異動は、まったくの別物です。
3.離職率が高い理由、その調査さえしていない
また、調査したほとんどの委託園で、2年目に離職が急増しますが、区は、離職原因の調査・統計すらとっていません。
区立の保育園の質を維持するためには、現場の大きな努力が必要です。
「民間の活力」と言いながら、委託現場では、負担や疲弊感が広がってしまう現実があります。負担は大きいのに、給与や労働環境は不安定。離職の増加は、当然の結果だと考えます。
4.保育士不足解消には、直営を
しかも、区が委託を開始した2005年から、状況は大きく変化しました。
今年度の氷川台保育園、南大泉保育園の委託事業者選定では、練馬近郊をはるか超え、茨城、栃木、群馬からも募集。事業者不足、保育士不足は、そこまで深刻なのです。
そんななか、区直営園の開設に踏み切った北区では、80名の募集に対し、500名もの応募があったそうです。給与面、労働環境が安定する直営園なら、保育士が集まる実例です。
保育士不足解消の最善策とは、直営園を残すこと、増やすこと。今こそ、委託を進める危うさを認め、考え直すべき時ではないでしょうか。
5.多様なニーズ~延長保育は直営園でもやれる!
区は、委託を進める理由を、保護者の多様なニーズだとしています。そのメインが延長保育ですが、直営園でも、延長保育は可能です。保護者のニーズを知りながら応えないのは、区の責任です。
2017年度4-12月の延長保育の利用実績の調査によれば、「定員に対しての月平均の利用者」は、近隣の豊玉第二保育園で、「朝2.5%」「夕①7%」「夕②2.2%」。委託園20園での継続登録者の平均も、「夕①9.5%」「夕②3.9%」と、多くありません。
現場の体制を整えれば、直営でも十分対応できるはずです。
6.委託の目的は、経費削減である
にも関わらず、委託を推し進める大きな目的は、経費削減です。12/6に提出された「区立保育園運営業務委託検証結果報告書」では、区は、委託による経費削減を、平均年齢が約10歳違うためだと分析しています。
委託園の平均年齢の低さは、まさに、長く働き続ける難しさや、労働環境の厳しさの象徴だと言えます。
他方、直営園の平均年齢の高さは、委託を進めるため、新規採用を抑えてきた結果です。区が新規採用を始めれば、委託の財政効果は薄れます。
しかも現在、保育士の人件費は高騰し、委託費も値上がり。財政効果はさらに薄れています。
7.現場のひとが安心して働ける環境を!
何より、何十年も積み重ねてきた直営園の保育の質、現場の知識、経験は、お金にかえられない、区の財産です。一度手放せば、二度と戻らない、大きな損失です。
区が安定した雇用を保証し、現場のひとが安心して働き、専門的なスキルを向上させる。短絡的な経費削減より、長期的な視点で保育環境を守ることこそ、大切な時代です。
現場、保護者、そして1541名もの陳情者の思いを受け止めるべきであり、陳情に強く賛成し、討論とします。