規制緩和より、安心安全な保育環境を!~家庭的保育事業等の条例改正への反対討論

議会、終了しました! 40日間。長い定例会でした…

最終日は、各議案の採決と、討論が行われます。
高口は、家庭的保育事業等の改正について、反対討論に立ちました。

↓どんな条例改正かは、こちらをご参照ください。
「練馬区家庭的保育事業等の設備および運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」

規制緩和でメニューや選択肢が増えるより先に、安心安全な保育環境があること……。東大泉の無認可保育所の事故を受け、改めてその思いが強くなりました。


以下、討論原稿です(*正式な議事録は、区議会HPをご覧ください)

給食は、「自園調理」を基本に!

今回の条例改正の一つの柱は、調理の搬入先の変更です。これまで、調理の連携施設は、保育所や、社会福祉施設、医療機関などに限定されていましたが、今回の条例改正案では、業者からの搬入も可能となります。区は、民間の給食センターなどを想定しているとのことです。

しかし保育にとっては、「ごはん」も大切な質の一つです。食育や農業を大切にする練馬区において、どの保育施設でも、豊かな給食が味わえるよう、努力すべきです。区は、自園調理を前提として進めると答弁しました。今回の条例改正案に流されず、自園調理の基本を遵守するよう、要望します。

「連携施設の確保」こそ、3歳児までの地域型保育事業の要!

さらに、今改正のもう一つの柱が、家庭的保育事業等の代替保育について、「連携施設の確保が著しく困難な場合は、区が認める者で可能とする」というものです。この改定によって、地域型保育事業の質が低下することを危惧しています。

そもそも保育所は、子どもにとっては家同然の場所であり、0~6歳までの一貫した保育が基本でした。その後、子ども・子育て支援新制度が始まり、3歳児までの家庭的保育等が、地域型保育事業として位置付けられました。その際、保育の質を担保する核が、まさしく「連携施設の確保」です。

この連携施設は、日常的な保育連携、いざという時の代替保育、卒園後の受け皿となる受入連携という3つの機能があります。「連携施設は地域の保育の中心的機能を有し、連携施設としての機能を総合的に担うことができる一定の保育の質が確保された保育園、幼稚園、認定こども園が担うことが望ましい」という国の回答もあるとおり、条例で、連携施設を認可保育所、こども園、幼稚園に規定していることには、重要な意味があるのです。

この連携施設を、2020年度までに確保することとされていますが、条例に基づく連携施設を確保できた事業者は、一つもありません。

保育ママは困っていない…って、ホント?

特に、家庭的保育者、いわゆる保育ママにとって、代替保育は不可欠です。これなしに、病気で休むことも、休暇をとることもできません。

区は、決算での質疑にて、保育ママには補助員がおり、経過措置期間中は代替保育を担えるので「代替保育で非常に困っているような実態が今のところはないと認識」と答弁しました。しかし、本当にそうでしょうか?

補助員と代替保育の補助員は、それぞれ区に届け出が必要ですが、現状は、補助員が、代替保育の補助員を兼ねているケースが大半との事です。そもそも通常の保育に補助が必要だから、補助員がいるわけです。しかも代替保育補助員の資格は、必須ではありません。保育ママありきの補助員が、保育ママのいない間、一人で何人もの子どもを見るという実態が、本当に「困っていない」状況だと言えるでしょうか?

ベビーシッター事業者で、大丈夫?

さらに、今回の条例改正案では、代替保育先の規制が緩和され、ベビーシッター事業者が想定されています。子どもにとって、保育ママは母親同然。その親がわりの保育士が、誰が来るかわからない、毎回異なるという想定で、代替保育の質が担保できるとは思えません。

区は、ベビーシッターについて「何が何でも保育の担い手として考えているわけではない」「連携施設の確保を諦めているということは一切ない」「自治体が積極的に関与して、調整を図りながら、連携施設の確保に取り組むという考え方で」「これからも進めてまいりたい」と答弁されました。

その決意であれば、ベビーシッターも可能にする今回の条例改正は、そもそも不要だと思いますが、一方で区は、国に対し率先して、連携施設や経過措置の緩和を求めていました。家庭的保育事業の代替保育については、「ほとんど確保の目途はない」とまで記しています。

*参考
内閣府 > 地方分権改革有識者会議  >  第77回 提案募集検討専門部会
> 参考資料1   提案地方公共団体提出資料【分割掲載】
(5/ 11)(PDF形式:934KB)

メニューや選択肢を増やすより…安全な認可保育所での連携施設の確保を!

区は条例改正の理由を、「メニュー、選択肢が増える」としていますが、先日の東大泉での無認可保育所での痛ましい事故が示すとおり、今、本当に求められていることは、メニューや選択肢ではありません。私たち親が、切実に求めているのは、選択肢より先に、何よりも、安心・安全な保育環境です。

家庭的保育事業等に通う子どもたちにとって、認可保育所が連携施設先となることが、安全、安心につながります。規制緩和よりもまず、認可保育所等での代替保育の施設確保に、しっかりと取り組むべきです。

保護者の真のニーズ、こどもの最善の利益を考え、区が主体的に、連携施設の確保に力を尽くすよう求め、この議案に強く反対し、討論とします。