保育ママと子ども達を守るためには…?「練馬区家庭的保育事業等の設備および運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」
10/17まで開催されている今議会(第3回定例会、といいます)。
議会中、それぞれ議案が出て、各委員会に附託……つまり、委員会のなかで話し合います。私が所属する「文教児童青少年委員会」が担当する議案のうち、重要な議案が
「練馬区家庭的保育事業等の設備および運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」
って、長すぎっっ覚えられないっっっ!
しかも、資料をここにバーンとアップしても、えーと、どこがどう変わるの? ナンノコッチャ??? ……な状態ため、会派で勉強会を開き、一生懸命調べ、区の担当さんに確認をとりつつ、問題点を探り、質問を考えていきます。
ただ議案だけ出されても、「さあ、区民の皆さん、一緒に考えましょう!」なんて言えません……。
というわけで、わかりやすくまとめて、解説します!
★ポイント1 「家庭的保育事業等」とは?
いわゆる保育ママさんや、小規模事業所のことです。
現在、保育ママさんは、練馬区に60人。
待機児童対策により、小規模事業所も増えています。
★ポイント2 条例改正の理由は?
今回の条例改正は、もととなる国の基準が変わったため。
といっても、国の基準が変わった=区も必ず変えなきゃいけない、とは限りません。国の言うことを聞くだけの下請け機関だったら、「自治体」の意味がありませんから……。
★ポイント3 問題の背景に、保育ママさんの苦労アリ!
主に自宅で、保育を行う……それは、とてもこだわりがあるからこそできることだと、高口は思います。家庭的なよさを活かしながら、それぞれに特色ある保育をしているのが、保育ママさんだと理解しています。
長年保育ママをやってきた方を知っていますが、経験豊富で、「私も預けたかった!」と思う、素晴らしい保育者。
しかし一方で、保育ママさんは、保育所と違って、基本的にひとり。
自宅が主なので、設備も整っていません。
急な病気のときは……?
年末年始以外に、お休みをとることもできない……?
そこで、国の基準が変わり、「連携施設を確保する」ことになりました。
★ポイント3 「連携施設」の3つの柱
この「連携施設」は、認可保育所、こども園、幼稚園を基本としています。
何を連携するかというと、
- 保育連携……保育所の園庭で遊んだり、行事に参加したりなど、保育での連携
- 代替保育……保育ママの急病や休暇のとき、代わりに子どもたちを保育する
- 受入連携……3歳になり、保育ママのもとを卒園する後の受け入れ先
この3つの要素があります。
上記の3つのうち、「保育連携」は、正式ではないながら、連携しているところがあり、「受入連携」については、区が現在モデル事業を始めています。
★ポイント4 今回の条例改正案は、「代替保育」の規制緩和
連携施設は、保育ママさんが、探さなくてはいけない。それが、条例のつくりです。
想像できると思いますが、「代替保育」は、保育ママさんたちにとって、切実に必要なものです。一方で、受け入れる側は……やはり大変です。
そのため、練馬区では、未だ1件も、正式な協定を結んでいません。
「経過措置」といって、国の条例が変わったあとも「連携施設を確保しなくていい期間」が設定されています。その経過措置が2020年度末に切れてしまうのです。「なかなか連携先が見つからないから」ということで、代替保育先の規制を緩和したのが、今回の条例改正案です。
*ちなみに、「案」であって、議決されるまでは「決定」ではありません!
★ポイント5 本当に、子どものためになる?
代替保育先が、「小規模保育所」や「それと同等の能力を有する者」でいい……というのが、今回の改正案の趣旨です。
しかし、小規模保育所は、保育士さんがもともと少ないのです。そこへ、いきなり「プラス3人」などといって、受け入れることが可能でしょうか?
区は、「ベビーシッター」を想定しているそうです。ベビーシッターを多く抱えている事業所との連携を考えているような答弁がありました。ベビーシッターさんがすべて悪いとはもちろん言いません。
しかし、子どもたちにとって、保育所は自宅、保育ママはお母さんです。代わりに来る人が、いつも同じ人であるかどうか。保育連携でいつも通っている保育所などであるかどうか。
それは子どもたちにとって、そして預ける保育ママや保育者にとっても、安心感がまったく違うのではないでしょうか?
「連携先が見つからないから」と安易に規制を緩めるだけでいいのか……?
保育ママまかせにせず、区が責任をもって、連携先のマッチングに協力するなどすべきではないでしょうか。
保育の問題に、正解はありません。「選択肢が増える」という区の答弁もそのとおりです。私もこの問題、散々悩みました。
そのなかで、保育とは何か、こどものためとは何か……考えなくてはいけない、と思います。
★ポイント6 調理の搬入先の変更
保育ママさんにとって、もう一つ重要な問題……それが、調理です。
今は経過措置中ですが、経過措置が終われば、基準に合った調理施設に改修などしなくてはいけません。
現在、「自園調理」、つまり保育ママさんのところでお昼ご飯などを提供できているのが「27人」。残り「33人」は、親御さんがお弁当を持たせています。
ここが、認可保育所との大きな差ではないでしょうか……。
高口も毎日お弁当を作っていますが、大変です…苦労がよくわかります……。
調理の連携施設は、保育所や、社会福祉施設、医療機関など、こちらも限定されていました。
今回の条例改正案では、「業者からの搬入」もOKとなります(アレルギー等、必要な配慮ができる業者に限られます)。区は、民間の給食センターなどを想定しているそうです。
★ポイント7 保育にとって、食事とは?
今、お弁当を毎日作って苦労している親御さんにとっては、飛びつきたい朗報かもしれません。
でもやっぱり、ちょっと立ち止まって、考えていただきたいのです……。
保育にとって、「ごはん」も、大切な大切な要素。「食育」が大切とされる今、「自園調理が難しいから、毎日業者の仕出し弁当で」で、よいのでしょうか? ほっかほか、できたてのあたたかいご飯を、みんなで食べる。それを大切にしなくていいのでしょうか。
自園調理ができている保育ママも半数近くおり、認可保育所では自園調理が基本なのに、通う場所によって、差がついていいのでしょうか……。
やはりこちらも、自園調理を前提にしながら、その改修などができるまでの間の「つなぎ」として考えるべきではないでしょうか。
幸い(?)、区は、自園調理を前提として進めるようです。
「農」「食育」を大切にする練馬区。ぜひとも、保育ママのもとで、子どもたちの食環境も、しっかり守られるように……と思います!
議決の結果は…
以上が、今回の条例改正案です。ややこしいけれど、わかりましたでしょうか?
練馬区議会は、現在、議会でも過半数、委員会でも過半数を与党が占めているため、ほとんどの議案が通ってしまいます。
高口は反対し、採決を求めましたが、今回の条例案も可決しました。
実は委員会は10人なので、何人か構成が変われば、委員会ではひっくり返せるチャンスがあるんですよ~! 希望はある!(なので、来年の区議選が重要なわけです!) 子どもの立場から発言できる議員、親の気持ちに寄り添える議員を心がけ、引き続き頑張ります!