練馬区議会・2024年第2回定例会最終日、教育長が交代!…他3点

2024年6月21日、練馬区議会・2024年第2回定例会が終わりました。

最終日の注目は…

①新しい教育長が就任。どんな人物?賛否は?
②陳情付託に制限をつける動き…陳情審査、後退のおそれ
③区立高野台デイサービス、認知症対応廃止の議案→賛否分かれる
④12月までの議会日程

…の4点をお伝えします!

①新しい教育長が就任。どんな人物?賛否は?

現在の教育長・堀和夫氏が、任期満了に伴い、退任されます。

7月からの新しい教育長に任命されたのは、三浦康彰(みうらやすあき)氏。

■経歴

  • 昭和42(1967)年生まれ(57歳)
  • ずっと練馬区職員
  • 現在の練馬区の教育振興部長
    • 【勤務開始】1991年:練馬区厚生部 国民健康保険課
    • 【総務部】
      • 2007年:文書法務課 主査
      • 2008年:〃課 文書法務主査
      • 2009年:〃課 文書法務担当係長 ←係長昇進
      • 2010年:情報公開課 個人情報保護担当係長
    • 【危機管理室】
      • 2021年3月:防災課 震災広報担当係長
    • 【区民部】
      • 〃年5月:戸籍住民課 管理係長
      • 2022年:経営課 経営係長
      • 2023年:国保年金課長 ←課長昇進
    • 【地域文化部】
      • 2014年:シティマラソン担当課長
      • 2016年4月:スポーツ振興課長・シティマラソン担当課長
    • 【教育委員会】2016年7月:こども家庭部 保育課長
    • 【企画部】2019年:企画課長
    • 【部長】
      • 2021年:健康部長、地域医療担当部長
      • 2022年:教育振興部長

■教育委員会での管理職経験の少なさ

私が議員になった時、三浦氏は保育課長で、答弁からも、とても優秀な方だと感じていました。
(優秀だからと言って、私たちにとって理解ある答弁をしてくださるとは限らないのですが(;^^))

保育課長の3年が長いのですが、他は1年程度で変わったり、企画課長など、練馬区ではいわゆる「出世コース」と呼ばれる課に在籍なさっていました。

一方、教育委員会には、管理職としてほとんど在籍していないことが、上記経歴からわかります。

大学の出身学部も、経済学部です。

また、区長は本会議での説明で、任命の理由を
健康部長をはじめ、区の要職を歴任」
「若さ」「行動力」
と説明しました。

健康部長……教育、関係ない……!!!!!

練馬区の職員として、公務員としてはとても優秀な方だと思います。

一方で、教育への豊かな見識、子どもたちと現場で接した経験などが求められる教育長という職に対して、行政経験だけでよいのだろうか?ということは、大きな疑問です。

練馬区ではずっと、区職員が部長まであがり、教育長を務めることが続いていますが、教育を変えなくてはいけない今、行政の視点だけをもった方が教育長でよいのだろうか?と思っています。

ご本人の就任のご挨拶、堀氏の退任のご挨拶は、本会議の録画映像から見られます。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/nerima/WebView/rd/speech.html?year=2024&council_id=84&schedule_id=8&playlist_id=0&speaker_id=0

■任命同意の賛否

議会では、任命の同意の賛否をとります。

  • 任命に反対:共産党、インクル、生活者ネット、つながる、れいわ
  • 任命に賛成:自民党、公明党、立憲民主党、練馬会議、維新の会、みどりの風、参政党

→いつもどおりの区長与党・区長野党で分かれるかたちとなりました。

 

②陳情付託に制限をつける動き…陳情審査、後退のおそれ

※こちらは、同日の議会運営委員会(議運)での議論です。

■初日付託されなかった陳情が1件のみ、美術館改築反対の陳情

練馬区議会では、”通常”、期日までに出した陳情は、定例会の「初日」に付託されます。

ところが今回の定例会で、初日に付託されなかった陳情が、1件だけありました(”異例”のこと)。

それが、「陳情68号 練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え計画を白紙にし、再検討を求めること」です。

■なぜ、初日付託されなかったのか?

初日の議運では、「幹事長会で検討」という説明のみ、あったのですが……。

最終日の議運では、事務局による説明は「昨年度不採択とした陳情と同主旨で、提出者と同じため」という説明でした。

■議会の申し合わせにはない

現在の議会運営の申し合わせでは、
「同じ主旨の陳情を付託してはいけない」
という規定自体、ありません。

今回は、議長の判断により、初日に付託せず、幹事長会で協議が行われました。

その結果、最終日の付託が決定しました。

■議長の説明

議長からは、

  • 議長が独断で「付託しない」とは決められない
    →そのため、幹事長会にはかった
  • 陳情の主旨は、美術館の「白紙」
    →前回は「見直し」だった
    →美術館整備が進む中で、主旨のハードルが高くなっている
  • 今回は、同じ主旨の陳情を付託したないという明確な基準が(申し合わせに)ないため、付託することにした

との説明がありました。

※幹事長会=練馬区議会の幹事長会は5人以上の会派のみ参加で、非公開。

幹事長会に参加せず、議会運営委員会に参加している会派(3人会派)は、高口所属のインクルと、維新の会のみ。

残りの自民党、公明党、立憲民主党、練馬会議、共産党は、すべて幹事長会派であり、議運にも参加している…というのが、練馬区議会の議運の構成

■陳情のルールを設けるよう求める声が相次ぐ

これを受け、区長与党の会派(立憲含む)からは、

  • 陳情への一定のルール、規定を設けるべき
  • 幹事長会で話し合いをすべき

との意見が相次ぎました。

そのなかには、

  • 陳情審査が増えたことにより、本会議での討論の数も増えた(=本会議の時間がかかるようになった)
  • 議会の効率化の問題がある
  • 会派会議の回数も増えた。その負担を、陳情者には認識してほしい

といった意見もありました。

しかし、区民が陳情を出す権利と、
討論が増えて時間がかかることは、全く別の問題です。

会派会議の回数に至っては、会派の問題であって、議会運営の効率化も無関係です。。

そも、議論や討論の時間、機会が増えることは、むしろ議員としては喜ぶべき、誇るべきこと。

丁寧に、議論を尽くすことこそが、議員の本懐です。

ルールを作ることには慎重になるべきだと、高口は求めました。

■受け取り手の解釈が入る

そもそも、今回の陳情を見ると、

①「理由」が異なる

「理由」の文章は、最新の情報(美術館の基本設計など)を踏まえてあり、前回と異なります。

②「主旨」も異なる

議長自身が、「見直し」と「白紙」で違う点=「ハードルが高くなっている」と述べたとおり、主旨も異なるのです。

陳情者は当然、主旨も理由も違うからこそ陳情を出したのであり、
陳情者に寄り添うことこそが、大切ではないでしょうか。

受取り手が、「同じような主旨だ」と感じたとしても、陳情者が「違う趣旨と思って出した」なら、それこそを最も尊重すべきだと、高口は考えます。

■ルールをつくることへの危惧

「同じ主旨の陳情は付託しない」というルールを作ることについて、慎重となるよう求めたのは、共産党と、インクル(高口所属)のみでした。

立憲に至っては、
「今回は付託せざるを得ない」
と述べ、まるで、付託したくなかったが、仕方なく許可したと言わんばかりの発言で、驚きました…

一方、自民党の重鎮議員からは、
「幹事長会は合議制、多数決ではない」
「十分話し合って」
との発言もありました。

多数決で押し切ることのないよう、丁寧な話し合いをして頂きたい旨を、高口からも発言しました。

何よりも、大切なのは、区民の陳情をする権利。
それこそが、守られるべきです。
そのためのルールであるべきという姿勢で、これからも臨んでいきます!

 

③区立高野台デイサービス、認知症対応廃止の議案→賛否分かれる

議案の内容、解説はコチラ
高口ブログ「練馬区議会2024年第2回定例会、議案解説!」

■賛否

当日は討論が3会派からあり、賛否が分かれました(反対討論2、賛成討論1)

  • 議案に反対:共産党、インクル、生活者ネット、つながる
  • 議案に賛成:自民党、公明党、立憲民主党、練馬会議、維新の会、みどりの風、参政党、れいわ

④12月までの議会日程

  • 第3回定例会:9月6日~10月11日(36日間)
  • 第4回定例会:11月29日~12月13日(15日間)

9-10月の議会は、決算。

12月議会は、重要な計画(学校統廃合など)が出る予定。

※定例会の間に、1ヶ月に1回程度、委員会が入ります。

ぜひ、引き続き練馬区議会の動向に、ご注目ください!