としまえん西側道路「補助133号線」…説明会は開かれず!?防災性は?

※2022/1/27、練馬区議会、都市整備委員会のレポートです。

東京都市計画道路幹線街路補助線街路第 133 号線の事業概要および測量作業

補助133号線が動き始めました。

いわゆるとしまえんの西側を南北に通る道路……

これが、今回動く補助133号線です。

この道路がどうなるのかということを
お伝えしていきたいと思います。

委員会資料はこちら

どんな計画?

まずどんな計画かと言うと……

★全体図

目白通りからとしまえんの西側を抜け、豊島園通りを抜けて
春日町の南側のちょっと広くなった新しい道路
=都道443号線につながる

全長約1240メートル
幅員16メートルの道路です。

事業概要

(1) 路線名:東京都市計画道路幹線街路補助線街路第 133 号線
(2) 事業者:東京都
(3) 事業予定区間:向山四丁目(目白通り)~春日町三丁目(都道 443 号線)
(4) 計画延長:約 1,240m
(5) 計画幅員:16m

★幅員(幅)

車道部分が9メートル、片側一車線の二車線。

それから自転車道と歩道があり、

歩道部分は3.5+3.5メートル=7メートル。

問題点は?

【問題1】現道がほとんどない

この道路は、何が問題かというと……

今、現道がほとんどない道路です。

ですので、新しく立ち退く方、建て替えが必要な方が
たくさん出てくる……

というところが、まず問題の一点目です。

↑計画線と地図を重ねると、現道がほとんどないことがわかります。

【問題2】防災上の必要性

二点目は、としまえんが練馬城址公園となって防災の拠点になる

……「広域防災拠点」としていますが、

「将来的」にそうなるから、防災のために必要な道路だとしています。

その防災性をどう見ていくか、
というのが、争点です。

練馬区議会の都市整備委員会で、その点を質疑!
  • 災害時、この道路がどのように使われるのか?
  • それは災害時、東側の豊島園通りだけでは、まかなえないのか?
  • その根拠は何か示してほしい

と質疑したところ、

練馬区の答弁としては

  • アクセスが複数ルート必要
    →東側じゃなく西側にも必要だ
  • 今後どのように使われるかということに関しては「できた時」
  • 今後、工事には相当期間がかかるので、使い方、どう運用するかというのは「現時点では考えていない」
  • 詳細は、「できてから」

ということでした。

しかし、実際にこの道路で大きな影響を受ける方にとっては
「できた時」じゃ困るよ
……というのが当然のお気持ちではないでしょうか?

この道路がどういうふうに使われ、
それが防災にどういうふうに資するか。
防災上こういうことをやるから必要であり、
だから、この道路を作るんだ

……という説明がなければ
納得しづらいのではないかなと思います。

練馬城址公園の防災性はどうなっているのか?

その上で、練馬城址公園が今、どういう風に防災性を謳っているか
という点も重要です。

直接の道路計画ではありませんが、練馬城址公園と補助133号線の防災機能はリンクしているからです。

現時点では、広域防災拠点にはなっていません。
現時点ではただの避難場所です。

将来的に広域防災拠点にしていくが、
現時点ではなっていない。

近隣の春日町の避難場所にもなっていません(※春日町1丁目の一部のみ)。

将来「広域防災拠点にしていく」という「将来」とはいつなのか?
できた時どうしていくのか?

そこまで説明がなければ
「練馬城址公園の防災性もちゃんとしていますね」
「じゃあこの道路必要ですね」

という納得がなかなか難しいのではないかと思います。

しっかりと防災性を向上させていくこと、
その計画をしっかり作って、
住民の方々に納得していただく

……ということが重要だと思います。

「しっかりやっていきます!」

練馬区の「技監」という都市整備部の一番の、トップの方が

「しっかりやっていきます」

と力強く答弁されました。

防災性、しっかり高めていただくことを求めたいと思います。

【問題3】「地域の安全性の向上」につながるのか?

防災以外の機能として、

「南北の道路ができるので地域の利便性が高まります」

ということをメリットとしています。

交通として必要なのかどうか?
というのが争点の3つ目です。

補助133号線は、東京都が全体の道路計画の見直し
(東京都における都市計画道路の整備⽅針(第四次事業化計画))
をした際に、「必要」と認められた道路でした。

なぜ認められたのかというと
「地域の安全性の向上」となるから
という理由でした。

その「地域の安全性の向上」というのは

  • 渋滞する区間を避けて
  • 通過交通が生活道路に流入する
  • そのことを解消していく

といったことが挙げられます。

しかし、そもそも今ここには道路自体がありません。

それなのに、流入して…ということがあるのでしょうか?

  • 通過交通といって、大きな道路からの車両が流入しているという実態があるんだろうか?
  • こうした実態が、向山や春日町の地域にどのようにあるのか?
  • 検証はされているのか?

という点を質疑しました。

練馬区の答弁は

  • 「詳細なデータは都から聞いていない」

とのこと。

そもそもこうした検証がされているのかどうかも分からない
というところだと思います。

逆に、向山の辺りなどに行ったことがある方は分かると思いますが
とても閑静な住宅街で、大型道路がないからこそ
車の侵入が少なく、静かで安全な住宅地になっている

という点が、住んでいる方からも聞かれるところです。

逆に、交通事故が増えるのではないか?

補助133号線ができた際の交通量推計は

1日8000~12000台ぐらい

です。

“もしも”そんなに車が通るようになれば、
当然事故は増えていくはずです。

大型道路が作られると、当然、車両の流入などがあって
地域の交通事故が増えていくということは
警視庁のデータからも分かっています。

交通の便利さや防災性の向上と、日常の事故の危険とを、天秤に掛けることとなります。

この道路ができることによるデメリットも当然生じると思いますが
その点を今からどう考えるのか?と質疑しました。

区の答弁としては

「道路はそれぞれ役割があるので
ネットワークということが重要です」

ということで……明確な答えではなかったので、

  • 交通事故が増えることについてどう思いますか?
  • ちゃんと答えていただきたい

という風に再度質問をしたところ

「この133号線を作って事故を発生するとは」
「当たらない」

という風に、言い切ってしまいました。

自分たちの想定では、一日8000~12000台も
車が通る道路を作ると言っているのに

道路を作ったからといって
事故の発生はない

というふうに言い切ってしまって
本当にいいのだろうか?

……と思ってしまいます。

事故の対策が不可欠

道路は利便性が高まる、防災上も必要だというふうに
練馬区は言っていますが、
その一方で交通事故という
デメリットも当然生じてくる。

道路を作るのであれば、
デメリットに対してしっかり対応をとっていく
という姿勢が必要不可欠ではないでしょうか。

【問題4】交通量推計は正しいか?

先程述べました、交通量の推計。

8000~12000台になる

→これは東京都の、あくまで推計です。

本当にそうなるかというのは分かりません。
私自身は、懐疑的です。

というのも、令和17年度、おそらく道路ができたくらいの時の交通量推計は

1日4200台から3500台しかありません。

東京都が道路を作る上で必要としている条件は
実は1日6000台以上なので、
その条件を満たしていない訳です。

令和32年の推計だと
確かに8000~12000台なのですが、

「30年後の推計はあてにならない」というのが
専門家の交通工学的な常識と
言われているそうです。

交通量という点でいえば、
必要な道路とは言えないのではないか、

ということです。

※この点では、「8000-12000台という想定と比べて事故の起こる可能性は減っていく」と言えますが、「8000-12000台と想定しているのは行政のほうなので、行政自身は8000-12000台という推定をもとに、事故対策をとる必要がある、ということです。

【問題5】事業費は…未定?

事業費は都が出しても区が出しても、私たちにとっては同じ税金。
いくらかかるかは重要です。

そこで、事業費の推計はいくらかを質疑しました。。

皆さん、事業費は、いくらと思いますか?

正解は……

「分からない」

です!(驚)

  • 今後、測量等をして詳細な検討がされて
  • それに応じて算出されていくので
  • 現時点では「分からない」

という区の答弁でした……。

練馬区はよく「民間の活力」と、民間をもちあげますが、
民間だったらこんなことあり得ないなと思いませんか?

民間だったら当然、

  • この事業はいくらかかるだろう
  • それに対してコストが見合うかどうか
  • 何年先にできるかどうかも含め計画し
  • 見合わないものならやめる

…という計算をすると思います。

でも行政の場合、

  • いくらかかるか、現時点では分からないけど、とにかく進めちゃうよ!
  • やることは決定しちゃいます!
  • 決めた後に、いくらかかるかを計算します!
  • とんでもない額になるかもしれないけど決まっちゃったから!

…というやり方です。

ここが行政の予算の恐ろしいところだなと思います……。

【問題6】説明会を開かない…!!!

問題は、もう一つあります。

説明会をやらない!

立ち退く人、建て替えしなきゃいけない人がたくさん出てくる計画なのに
地域に大きな影響のある計画なのに、

説明会をやらない……

…………驚きです…………。

しかも、別の動画で紹介した千川通りの計画変更(計画の「廃止」)は、オープンハウスをやるのです。

千川通りの一部、都市計画が「廃止」へ!(補助229号線/新青梅街道~上井草駅手前)

それなのに、同時に報告されたこの補助133号線のほうは、オープンハウスもやらない。

矛盾ですよね?

どちらの影響が多いかといえば、当然、
計画を見直し、やめるという千川通りの報告よりも
新しい道路を作る133号線の方が、圧倒的に影響する人が多い。

それなのに、資料を配布だけ……。

この進め方ではなかなか
納得いただくのは難しいのではないかと思います。

コロナが落ち着いてからでも構わないので、
拙速に進めないということも含めて
しっかりした説明をしていくということが
本当に大事だと思います。

とにかく、説明をしっかりと!!!

この補助133号線は、

  • 練馬城址公園が本当にきちんと防災公園となり
  • 近隣にとって大切な防災機能を備える
  • そのための防災性の点で必要な道路だ

ということをきちんと示していただくことが、重要だと考えます。

今、北側は別の民間の施設(ハリーポッター)になっていて
全体的な整備がなされていません。

つまり、防災機能がどうなるのか、完全とは言えない状況があります。

そこも含めて、地域の人がしっかり納得できるような
説明、根拠を示していただきたいなと思います。

今後のスケジュール

……と言いながらも、この計画どんどん進んでいきそうな気配です。

■現況測量、用地測量
→令和3年度~5年度予定

■事業着手(事業認可を取って事業を始める)
→令和6年度

ということで、すぐですね……。

お問い合わせ

用地にかかる方、計画線から30メートルぐらいの方に、お知らせが配られたそうです。

気になることは、どしどし事業者「東京都第四建設事務所」にお問い合わせください。


まどぐちは、こうぐち!
高口ようこでした