【開催レポ】ダニー・ネフセタイさん講座『元イスラエル軍兵士に学ぶ/イスラエルの歴史と戦争 〜平和への道はどこにある?』
2024年7月31日、ダニー・ネフセタイさんの講座、
『元イスラエル軍兵士に学ぶ/イスラエルの歴史と戦争 〜平和への道はどこにある?』
満員御礼での開催となりました。
開催概要はこちら
https://koguchiyoko.net/infomation/israeli_historywar/ダニーさんのSNSはこちら
https://www.instagram.com/dani_nehushtai/
オンラインを含め、多くの方にご参加いただき、本当にありがとうございました。
- お子さんからは「とてもよかった」
- 親御さんからは「子どもにも聞かせたい」
- 大人の方からも「大人も子どもも、どちらにも伝わる内容だった」
と、前向きなご意見をいただきました。
ダニーさん、ありがとうございました!
以下、レポートです。
戦争や平和について、考えるきっかけになれば幸いです。
私も、平和のために、できることをやって行かねばと思います。
【気づき】
★代々木公園で…
- 日本に来て、代々木公園によく遊びに行った
- キッチンカーがある
- シリア人、イラン人など…「敵」と言われて育った人たち
- 「近づいていいか?」と、最初は本当に思った
- ケバブ屋さんは、大きいナイフも持っている(笑)
- おそるおそる近づいたら…
- ニコニコしている
→友達になれる!! - 「敵の概念」は人間のDNAに刻まれていない
「歪んだ教育によってつくられます」
★日光の「見ざる言わざる聞かざる」
- 何も見たくない、聞きたくない…
- 田舎生活、のんびりしたくなる
- 気持ちはわかる、でも…
★イスラエルによるガザ攻撃
- 345人の子供を殺した2008年
- 以前、その軍隊にいた
- 平和への願いの講演活動を2年半
★2001年、3.11原発事故があった
- 原発事故で、自分の講演活動も変わった
- どこかの出来事によって価値観が変わります
- 「講演、映画、本、歌などもでも、価値観が変わることがある」
★共通点=人権が奪われること
- 戦争、原発、難民、LGBTQ、沖縄、差別気候危機…
- 人権、難しそうで簡単なこと
「幸せに生きる権利」 - 私がのんびりしている間世界のどこかで誰かが苦しむ
- のんびりできない
- このままではよくない
★よく見て、よく聞いて、よく話そう
秩父神社
人間の大切なこと
★イスラエルについて
- どこにある?(いろいろな国に囲まれている)
- 大きさは四国くらい
- 220万人
- 言語:ヘブライ語・アラビア語
- 英語もみんな話せる
★ダニーさん→日本に来て
- 木工房ナガリ家
- 端材でアクセサリーも製作
- 保育園で使う大きな遊具も!
- 自分たちのログハウスも手作り!
★「国のために死ぬのはすばらしい」
と書いてある石像、イスラエルに
- 100年前の言葉とされている
- 教育のスローガンになっている
- 先生が黒板に大きく書く→1週間貼ってある
- 毎年1週間、「国のために死ぬのはすばらしい」と教わる
- 本当にそう思うようになる
- 「生きるのが素晴らしい」と教えるのが学校では?
★学校の校庭に…
- イスラエル軍が昔使っていた大砲や戦闘機が置いてある
- いつか戦闘機パイロットになりたいと自然とあこがれる
★日本でも戦争中、そういう時代があった
- アメリカ人は敵、死ぬのは素晴らしいと教わって、死んだ
- 死んでも誰も幸せにならない
- アジアの半分以上は自分のものにした
- それが「国を守る」と言えるのか?
★今イスラエルは同じ教育を受けている
- まわりがみんな敵だから
- 本当に敵だと信じる
★イスラエルの徴兵制
- 軍隊に行くシステムがある
- 隣の韓国にもあるが、高校卒業とともに
- 男性3年、女性2年→軍隊に入る
★ダニーさんの”過去”
- 1974年高校2年の時、腕立て伏せ、走る、ロープ登り
- 誰に言われなくても自ら、国を守るために強くならないと思い、やった
- その後、軍隊に入隊
- なぜ戦争は止まらないの?
→そんな疑問は浮かばない
★戦闘機のパイロットをめざす
- 80回飛ばしている
- 時速600キロ
- 映画のように自由自在に
- この”機械”を上手く飛ばせば
「毎晩イスラエルの子供たちば安心して眠れるよ」
とガイドに言われる - よし、頑張ろう!
- 「うまく飛ばすほど、隣のパレスチナ人の子どもは毎晩眠れない」ことに、思い至らなかった
- これを飛ばすと誰かが泣く
→日本に来て気付いた - 最後は40人に絞られる→パイロットに選ばれず
- 3歳からの夢がかなわない→泣いた
- 「でも、今思えばすごくラッキーだった」
★戦闘機ができることは2つしかない
- 人を殺す
- 物を破壊する
→カッコいい?
- 人を殺すこと、カッコいいと思う?
- 不思議と、戦闘機で爆弾を落とすとカッコいいとみられる
- アクション映画の影響?
- まちでナイフ持ってる人→カッコいいと思わない
- 戦闘機→カッコいいと思うひとたくさんいる
- 不思議なこと
- ナイフと同じことしかできないのに、ナイフよりたくさん殺せるのに
- この「機械」なぜかカッコよく見える、不思議
★ガザの破壊…
2023年、
2014年、
2008年続いてきた
★もし戦闘機のパイロットになっていたら…
- パイロットになった友人たち…
みんな、一人ひとり素晴らしい人たち! - 素晴らしい人も人を殺す
- 「これが戦争です」
★長瀞の保育園で毎月国際理解の話をしてきた
- 子どもはケンカで解決をしてはいけないのと同じく
- 国もケンカで解決をしてはいけない
- 6歳のこどもが理解できるのに、大人は理解できなくなる
「場合によって戦争に頼る」
「場合によって武器に頼る」 - 保育士は「場合によって」とは、言わない
- 保育園で習ったことは…
★30年前と異なり、ボタン1つで情報を得られる
- 脳の要領は30年前と変わらない
- 新しい情報→忘れる
- 探せば出てくるが、探す時間がない
★情報→本当か嘘かどう見分けるか?
- “心”を使うしかない
- 武器が必要か必要じゃないか
- プロじゃないが、心を使えばわかる
- 原発事故で子どもが甲状腺がんにかかるなら、原発はダメ
- 心を使えば見えてくる
- どんなにウソの情報が流れても、心を使えばすぐわかる
★軍隊の成り立ち
- 差別
良い側と悪い側 - 人間のランク付け
命令に従う
学校→校長先生の命令でも人は殺さない
軍隊は違う
上官に言われたら爆弾を落とす、必ず - 解決方法
武力によっての解決
★戦争の犠牲者とは誰?
- 殺された人
- 永遠に泣く遺族
- 殺した人
★PTSD
- どこかの国に行き、その国の人を殺す
- 正しいことをやっていると思っている
- 子どもを殺すのではなく、国を守ると思っている
- 戦争が終わり自分の国に戻る
- 殺した人を一人も知らない
- 一人ひとりにお父さんお母さん奥さん子ども…がいて、永遠に泣き続ける
- それに気づいたとき、PTSDになる
★何の犠牲?
- 戦争の時代に生まれた
→選べない - 政治家の間違った判断
→正しい判断すれば戦争が起きない - 洗脳とプロパガンダ
→「あなたの敵」と言われて殺す
★「万一、中国が日本を攻撃したらどうするの?」と聞かれるが…
- もしも「ダニーさんの家にピストルを持った人が突入したら?」
- 戦う
- だけど、10人来たら戦わない。絶対負けるから
- 頼んだり祈ったり対話したり、やってみる
- 失敗するかもしれないけど、うまくいくかも
- 戦ったら絶対死ぬ
- これが今の中国と日本の力の差→10倍くらい
- 戦ったら、絶対負ける
- アメリカと戦った時と同じ
- 戦争しなければいい
- 78年間戦争しなかった。また78年間、戦争しなければいい
★武器に頼ると
- 次の武器、次の武器…
- もっと高く強く…
- イタチごっこ
★こういう戦争をしないように国連がある
- 1975年 生物兵器禁止条約
- 1997年 化学兵器禁止条約
- 1999年 対人地雷禁止条約
- 2021年 核兵器禁止条約
→一番大事な国が入っていない - 戦争を止めたければ
「通常兵器禁止条約」を作らないといけない
★100年前から…
- 1914-1918
第一次世界大戦
死者1600万人
↓ - 1918-1920
スペインかぜ
5000万~1億人
↓ - 人類が賢かったら戦争やめようと思わなきゃいけなかったのに…
↓ - 第二次世界大戦
朝鮮戦争
中東戦争
ベトナム戦争
イラク戦争
アフガニスタン戦争……
★私たちは歴史を学ぶが、歴史に学ばない!
- 各戦争の理由と歴史を学ぶが、
- 次の戦争を避ける方法を学ばない
- 学校は教えない
★軍人が殺すのは「敵」ではない
- 殺しているのは「人間」
- 東京ではパレスチナ人とイスラエル人、仲良くなれる
★抑止力?
- 学校にナイフを持ってくる生徒が先生に
「使うつもりはない、抑止力のためです」
と言ったら? - 保育園でケンカする園児が保育士に
「話し合いによって解決不可能なこともあるよ」
とは言わない
★F35戦闘機→環境汚染の犯人
- 1時間5600リットルのガソリン
- 車だったら1800台!
- 電気自動車を増やしても…
- 戦闘機は群れで飛ぶ
- ブルーインパルスが飛ぶとき、環境への影響は?
- 「カッコいい」と言う人もいるけれど…
★1時間飛ばすのに604万円のお金が必要
- キャンピングカー600万円買える
★戦闘機は…
- 人を殺す
- ものを壊す
- おまけに環境を壊す
- 高い(税金を費やす)
★ものづくりとして社会活動家としてめざすこと
- 次世代も使える家具
- 次世代も住める地球
★「国のために死ぬのはすばらしい?」
- 「国のために死ぬのはすばらしい」に「?」をつけて書籍のタイトルにした
- ナチスによって人権を奪われたユダヤ人
- 私の親戚もたくさん殺された
- そのユダヤ人がなぜ、パレスチナ人の人権を奪う?
- 詩『被害者と加害者』→人間は被害者にも加害者にもなる
★世の中「真っ暗」に思えるが…
- 戦争、軍需産業、気候危機、原発事故、自然災害…
- 真っ暗なのは日本の80年前!
- 今生きている時代は真っ暗じゃない
「グレイゾーン」 - 80年前の真っ暗闇を与えるか
希望に満ちた世界を与えるか
私たち次第 - 大人の責任として
- 一番使わなくちゃいけないのは…「心」
【質疑応答】
高口Q
「抑止力」とは?
子どもからの質問です。
ダニーさんA
- すごい武器をもって、すごい戦車を用意する
- これだけすごいものをもっている、だから貴方たちは攻撃しないほうがいい
- …というのが「抑止力」
子どもQ
国連で禁止条例は作った。でも、なぜなくなったりしないの?
抑止力としてもっている国もある。
なぜ「なくしなさい」と言わないのか?
ダニーさんA:
- そこまで力がない。
- 提案はできるが、義務じゃない。
- なんのためにあるか、疑問に感じることもある。
- 国連のいうことが絶対なら、とっくに戦争はなくせるけど、
- 国連組織はいろんな国から予算をもらい、動いている。
- 予算の3割はアメリカと中国
「これ以上口を出すな」と言っている可能性があると思っている。 - 国連はゆがみがあり、全体で決めても曲げられない。これもおかしい。
- 本当は平等で同じ力をもって、平和のため人権のために命令をだせる組織なら、いい世の中になる。
子どもQ
日本に初めて来たとき、どんなことを思いましたか?
ダニーさんA:
- 1979年。2週間の観光旅行の予定だった
- 世界一物価高いと言われていて、信じていた
- 思ったより安かった
- 3か月いた→観光ビザの期間
- 2ヶ月東京にいて、楽しかった
- そのあと残り1ヶ月、ヒッチハイクで旅行した
- 仙台と熊本まで2000キロくらい
- かかったのは3000円!
- また日本に戻った
- 日本語、話すと楽しい
- 場所によって言葉のニュアンスもちがう
- 不思議な国
- イスラエルと真反対
- たとえば電車がきちんと来る→日本
- 何か問題があったら素早く動くのはイスラエル
- 一番感じたのは自分の国を外から見る
- 人生楽しくなる、感じた
おとなQ
子ども達が自分たちの目で見ることが大切
教育を変えて政治を変えないといけないと思うが
ダニーさんA:
- 政治で始まり政治で終わる
- 党の裏金とか…
- 18になっても、選挙に行かない→「政治を考えるな」という教育をしたから
- 5歳の子どもは私たちが思う以上に想像力がある
- 首相のウソ、子どもはわかる
- 政治について「あなたにははやい」じゃなく、
「政治家もウソつくことがある→どうすればいいか?18になったらいい首相を選べばいい」と伝える - 親の責任として
- ミサイルがくる
→「北朝鮮ってそういう国だから」と大人が言えば、子どもはそういう気持ちになる - 飛ばしている人もいるけど、全員じゃないし、毎日は飛ばさない
- 子どもは同じ人間だとわかる
- 子どもの心を汚くしちゃう
- 私の小さいときパレスチナ人のテロがあると「こういう人間だから」と言われた→そう思った
- 教育を変えるのは大変だが、子どもがきくことに全部こたえて、「いつかもっといい世の中にするため政治のことを考えて、いい方向にいくように」と伝えること
- 教育によって素晴らしい時代もつくれる、素晴らしい国もつくれる
- 大人の責任
高口Q
核兵器禁止条約
→「批准していない国」について…
ダニーさんA:
- 長崎と広島
- 核兵器ダメ、すぐわかる
- でも、国連が決めたとき、批准しなかった
- アメリカとかにソンタクして
- 正々堂々「核兵器ダメ」
一番言わなくちゃいけない国 - だけど、言えない国になっている
- 悲しいこと
- 私たちで変えられる
- まともな政治家を選べば!
おとなQ
色々と学ばせてもらいました。
質問ですが、母国の埋葬の考え方と日本の埋葬の考え方について何かお話しいただけることはありますか?
ダニーさんA:
- イスラエルは死体を燃やさない
- 土葬
- 最近は土地の問題もあり、火葬の話も出ている
- イスラエルと考え方が違う
- 映画に出てくるみたいに、大きな穴に遺体を入れてかぶせる
- 日本で初めて火葬を見て、驚いた
- 死んだ人は熱くないかな?
- ショックを受けた
おとなQ
ヨルダン川西岸の入植地はどうなっているか?
ダニーさんA:
- 60万人のユダヤ人が入植している
- 問題がたくさん起きている
- 石を投げたり…
- 生活の基盤のオリーブの木を切ったり
- 家に火をつけたり
- 車の窓を割ったり
- イスラエルの学校で使われる地図
→子どもは、国境を書いていないから、全部イスラエルのものに見える - イスラエルの中にパレスチナ人がいるように思う
- 本当は逆。教育が歪んでいる
- 満州国と同じ仕組み
- 人の国で人の土地を奪っている
おとなQ
今のイスラエルは、”汚い部分”を隠そうとしているのでは?
ダニーさんA:
- ネタニヤフ首相、有罪なら一生刑務所では?というくらいの状況
- 戦争が伸びると裁判が止まる
- 今回の戦争は、本当の目的がない
- 唯一の意味は、彼の裁判を遅らせること。
- 最低最悪
- 自分が刑務所に入らないため、パレスチナ人が4万人殺されている。こどもが1万人以上殺されている
- 歴史に大きく残ること
- 悲しい
子どもQ
親から聞いたのですが、「嘆きの壁」はどんなものですか?
ダニーさんA:
- エルサレムにお祈りするところがあった
- 第2神殿は破壊されてユダヤ人が追い出された
- 残ったのが西の壁
- 世界中のユダヤ人にとって最も大切、聖地
- モスクは世界中のイスラム系にとってメッカの次に大切なところ
- 一緒になっている
- 物理的に分けられない
- 宗教の争いが起きている
- 解決はありえる
- 解決方法のひとつは、この地域を国際管理にすること
- 誰でも入れるようにすれば
- いつかそうなると見ている
- ここから世界平和がはじまるところになりえる