高口一般質問4~注目の教育制度「イエナプラン」で、個を尊重する教育へ

*高口一般質問、4ページ目です。

4-1.今注目の教育制度「イエナプラン」

教育でも、誰かに助けを求めるちから、共に助け合う協働のちからを養うことが重要です。

そこで今、注目されているのが、オランダの「イエナプラン」です。今年、日本初のイエナプランスクール「大日向小学校」が長野県に開校。広島県など、公立校でも、導入や研究の動きが広がっています。

★サークル対話、グループリーダー、個別の時間割…

イエナプランの特徴の一つが、子どもが輪になって座り、話し合う「サークル対話」です。朝と終わりの振り返りや、当番の発表などを行います。

輪になって顔を合わせることで、双方向のコミュニケーションが可能に。意見を出し合いやすく、学びあい、協働性が促されます。

また、先生を「グループリーダー」と呼ぶのも特徴です。教えるより、「楽しいことを引き出す」「一緒に楽しむ」「共に生きる」ことを、教師の役割ととらえます。

教科学習は、個別の自学が基本。生徒は毎週自分で時間割をたて、算数が苦手なら算数の時間を増やすなど、自分で決めるので、自然と、進んで学ぶ姿勢が身に付きます。

(質問)サークル対話や、個別の時間割の導入に向けて

日本の学校現場でも、新学習指導要領を見据え、主体的な学びを研究し、グループの話し合いや、先生の意識の変革が進んでいると伺いました。

より主体的で対話的な深い学びを実現するうえで、サークル対話や、個別の時間割は効果的な手法であり、研究に加える価値があると考えますが、区の対応をお聞かせください。

★教室は「リビングルーム」

イエナプランでは、教室は「リビングルーム」…生きるための部屋と考えます。対話や読書のスペース、作業用の大テーブル、パソコン、多様な教材のほか、校内にソファや床にも座る場があるなど、安心感もたっぷり

友達と話しながら学ぶ子、ヘッドフォンで音楽を聴くと集中できる子、横になると落ち着く子……。学びのスタイルは、一人ひとり異なります

画一一斉授業では、特に発達障害など、人と違う個性が排除されがちですが、イエナプランでは、重度の障害でも通えるインクルーシブ教育を実現。障害、性別、文化、価値観……違いこそが、学びを豊かにします。

(質問)練馬区でもできる工夫の実例を広めて

練馬区だと、物理的な制限はありますが、たとえば一人になる時間が必要な子に、教室内にダンボールハウスを用意するなどの実例を聞いています。このような工夫の実例を、各学校へ周知してはいかがですか。

★正解を出すより、「問う」力を

多様な価値観があふれる実社会では、様々な意見を出し合いながら、答えのない問題に、ともに取り組む力が求められます。学校でも、社会のルールを守るだけでなく、ルールを見直し、よりよいルールを創り出す教育が必要です。

自分の頭で考え、疑問を持ち、「問い」を立て、考えること。正解を出すより、「問う」力が大切です。

(質問)価値を学ぶより、「価値を考える道徳」への転換を

日本の道徳の授業では、文科省も「価値を教えるのではなく、考える」ことを求めています。しかし教科書を使うと、どうしても「教科書が訴える価値=正解」を学ぶ授業になりがちです。

ところが、教材を途中で止める「中断読み」という手法を使うと、最後まで読んだときとまったく違う多様な意見が、たくさん出てきます。

「価値を考え議論する道徳」の実現のためにも効果的な手法であり、積極的な実施を求めます。区の検討をお聞かせください。

★統廃合より、少人数教育推進を

イエナプランの平均的な規模は、200~250人。今すべきことは、少子化を理由にした統廃合などではありません。

一人ひとりの個性を伸ばすために、40人学級は大きすぎます。少子化はむしろ、少人数学級を推進し、教育の質を改善するチャンス。少人数教育推進や統廃合の見直しも求め、次に移ります。

★区の回答(教育振興部長)

個を尊重し、学び合いや助け合いを重視するイエナプランの特色については、承知しています。

対話的な学習を促す工夫については、机の配置を変えて話合いをしたり、少人数で輪になって意見を聞き合うなど、すでに各学校の授業で行っています。これまで積み重ねてきた実践を基に、主体的・対話的で深い学びを実現する授業づくりが一層推進されるよう、各学校への指導・助言を続けてまいります。

個別の時間割を教育委員会として推奨する考えはありませんが、区立全小中学校に設置する特別支援教室では、個別のカリキュラムや自立活動を中心とした小集団での活動による指導が行われています。一人一人の個性や特性に応じた指導の充実が図られているものと考えます。

また、集団での活動が困難となった児童生徒に対して、一時的にクールダウンができる居場所を用意することも、すでに各学校で行われています。教室内に落ち着ける環境をつくる他、別室での対応、個に応じた課題の提供など、各学校が可能な限りの支援を行っています。

取組の情報共有についても教員研修の機会等を通じて行っています。児童生徒と教員が、落ち着くことのできる場所や方法を事前に十分話し合い、決めておくことが何よりも大切です。

今後も、個に応じた支援の充実が図られるよう各学校に働きかけてまいります。

*高口補足
この答弁を根拠に、学校や教育委員会に「個に応じた支援を!」と求めていきましょう!

次に、道徳授業についてです。

教科書には、多様な価値観に触れ、考えを深められる魅力的な教材が多数掲載されています。指導方法を工夫することで「正解を学ぶ授業」や「価値を教え込む授業」ではなく、「考え・議論する」授業の実現が図られます。

教材を最後まで読まずに、話の結末を隠して行う授業の方法は、児童生徒の想像を駆り立て、多様な意見を引き出す効果があります。一方で、教材を最後まで読む方法は、話の内容全体を理解することで、登場人物に自分を重ね合わせながら多面的・多角的に考えることができる良さがあります。

これらの手法は、教材の内容や児童生徒の実態に合わせて効果的に取り入れられるべきものであり、特定の手法が全てにおいて有効な手立てとは限りません。

今後も、子供たちが考え・議論する道徳授業の実現に向け、教員研修等を通じて授業力向上を図ってまいります。

★動画もご覧ください!

当日録画全体→2:45くらいから…

議員別「高口ようこ」
*9/10現在更新されていませんが、そのうち追加されると思います。

【*目次*】