熊本県大津町、大分県大分市、福岡県北九州市を視察(企画総務委員会、2025/10/20-22)

2025年10月20日〜22日、企画総務委員会で行政視察。
3箇所、各テーマでお話を伺いました。

  1. 10月20日 熊本県大津町
    ホームページリニューアル
  2. 10月21日 大分県大分市カスタマーハラスメントの取組
  3. 10月22日 福岡県北九州市ネーミングライツ

ご対応くださった市町職員の皆様、ご多忙のところ視察を受け入れてくださり、ありがとうございました。

以下、レポート致します。


10月20日 熊本県大津町
ホームページリニューアル

■視察の理由

令和10年にサポートが切れる、練馬区のホームページ。

大津町では、リニューアルしたHPが、
令和7年に「全国広報コンクール」ウェブサイト部(町村部)で特選、読売新聞社賞を受賞。
練馬区のHPリニューアルに向け、お話を伺いました。

■ 「毎日見たくなるホームページ」

まず、作って頂いた資料のみやすさ、おしゃれさにも驚きつつ…

コンセプトは「毎日見たくなるホームページ」。
毎日更新の4コママンガなど、いい意味で行政のHPらしくないコンテンツが並びます。

大津町ホームページ

https://www.town.ozu.kumamoto.jp/

■4つの目的

①アクセシビリティ・ユーザビリティの向上
町民がほしい情報が見つかりやすくなる。

②デザイン・情報の質の向上
町民がほしくない(知らない)情報も、分かりやすく伝わる。
(例)水道料金の値上げ、等

③シティプロモーション推進
町民以外でも大津町の魅力が伝わる。

④シビックプライド醸成
町民に大津町のことを誇りに思ってもらえる情報を伝える。

→こちらの4点、
大切な観点だと思い、そのままご紹介しました。

■おしゃれさだけでなく、機能性も

「おしゃれだけじゃだめ
機能性も備えたい」
というとおり、アクセシビリティにもこだわりが。

災害時には専用のHPに変更、
子育て世代向けに、絵本のようなデザインの専用ページを設ける、
AIのおすすめ機能、
レスポンシブデザイン(スマホ版)など…
多々工夫、調整なさっています。

■研修

ホームページは、広報紙と運動。
(広報紙も読みやすい!)

「大津町PR推進委員会」をつくり、
研修にも力を入れています。
地域おこし協力隊のPRコーディネーターの力も借りているそう。

(たとえば、タイトルの付け方の研修など)

元ライターの私から見ても(偉そうですみません)
行政的なきちんと感を出しすぎないことで、
町民の読みやすさ、「読みたいと思ってもらえるように」を意識しているのがわかり、
職員の皆様の努力や思いを感じました。

「本当に住民にとって必要なHPとは何なのか」
受賞に甘んじず、毎年見直しを
……とおっしゃる姿勢も、すばらしいですね。

■他にも

・アプリはごみ分別アプリのみ。多言語対応
・毎月記事を3つPICKUP→LINEで発信

■議会だよりも!

ちなみに、議会だよりも読みやすい!!
4年前にリニューアルしたそうです。
練馬区議会でも必要ですね…!

大津町議会だより

https://www.town.ozu.kumamoto.jp/site/ozugikai/list14.html

議会の見学

↓フラットでバリアフリーな議場

↓傍聴席に親子席!

↓採決はボタンを押し、デジタルで採決。質疑中にモニターが使えるのも羨ましい!

熊本駅前

ホテル到着後、1時間弱で近場をまわりました。

↓路面電車、市電が大好きです…!レトロ感もあっていいですよね。道路が広くないと作れませんが…

↓川沿いが広い!ベンチ?のような座れるものも。


10月21日 大分県大分市
カスタマーハラスメントの取組

■経緯

大分市では、今年3月、「大分市職員カスタマーハラスメント対応マニュアル」を策定。
大分県や福岡県など、公開している自治体を参考にしたとのこと。

https://www.city.oita.oita.jp/o005/shisejoho/jinjikyuyo/kasuharataisaku.html

その取組を伺ってきました。

■基本姿勢

「市民一人ひとりと真摯に向き合い、相手の立場に寄り添うこと」が基本姿勢。

ただちにカスタマーハラスメントと判断せず、
まずは真摯に話を聴き、説明責任を果たすことが重要。

それでもなお悪質な事案に発展した場合、カスハラと判断すること、としています。

■専門家

現役警察官やOBから成る「行政対象暴力等対策委員会」や
弁護士や公認会計士で構成される「公正職務審査会」を設置。

即時的、法的・財務的側面からも対応できるようにしています。

■四つの分類

カスタマーハラスメントのタイプを、

A 時間・拘束型
B 権威型
C 暴言、威嚇・脅迫型
D SNS・インターネット上での誹謗中傷型

に分類し、マニュアルで、対応フローや対応例を示しています。

■他にも…

  • 内部・外部の相談窓口も紹介
  • 周知・啓発ポスターを窓口に設置
    (一定の抑止力になっているとのこと)
  • SNS対策で、ネームプレートはひらがなのみにし、顔写真と漢字表記をとりやめに
  • 議員も対象
  • 研修は、各部署で職場研修で行っている

■策定の効果

制度があることにより、組織として毅然と対応できる。職員の方も、マニュアルが心の拠り所となる、
安心感になるとのこと。

人材確保の効果も見込んでいる
「大分市なら安心して働ける」と受検生に思って頂ける

(とても重要なポイントですね!)

また、特定の職員が上手に対応できたとしても、「職場環境としていいか」が大切というお話も、納得でした。

■大分市議会議員政策研究会

「市民本位の立場で、会派を超えた政策研究に取り組み、政策的条例案の策定や市長への政策提言を行うこと」を目的に設置。

  • 大分市議会基本条例に始まり、
  • 大分市子ども条例、
  • 災害対策に関する提言、
  • 投票率の向上対策に関する提言など

様々な提言を行っています。

練馬区議会にもあるといいですね!!

↓議員席の下には、災害用のヘルメットが。

↓市役所の一部に、大分出身の総理大臣、村山富市氏の弔問記帳が設けられていました(お悔やみ申し上げます)

また、市の封筒に「大分市平和都市宣言」が書かれていることも、よいなと思いました。

■大分駅にて

↓駅構内に、「ぶんぶん号」。実際に動いて、乗れるようです!

↓駅構内や、ホームにまでアートの展示が

↓ガラス張り、外から見える駅長室にびっくり!

↓大好きな青いソニックに乗れました!いつ見てもカッコいい〜


10月22日 福岡県北九州市
ネーミングライツ

議論もある制度ですが、練馬区では未導入。

北九州市では平成20年から導入し、
13施設、約4300万円の歳入を確保しています。

昭和の大合併で5市が対等合併。
施設数が多く、政令都市では高齢化率が高いなどの背景があります。

■ネーミングライツ制度とは

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/092_00030.html

正式名称は変わらず、愛称を民間事業者等と契約し、命名権料を得るしくみです。

■北九州市の導入状況

市が条件を設定して公募する「特定型」からスタート。
令和4年からは「提案型」も追加で導入。
民間事業者からの施設、条件などを提案できるようになりました。

年100万以上、3年以上から協議。
市の歳入額は増えていますが、提案型の実施による相関関係はないとのこと。

■制度の見直し

親しまれてきた施設名が変わることにより、賛否も起こっているそうです。

  • 施設の価値に見合った命名権料の基準
  • 市民やユーザーが違和感のない愛称決定のルール
  • 競争性の働く公募のあり方

…といった課題があり、ガイドラインを策定。

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001139302.pdf

今年度から、リスタートしています。

■新たな制度

①市民・企業の納得感のある透明・公正な制度運用の実現
②命名権料等の妥当性を担保
③競争原理の導入と企業参入の支援

…などが、新たなネーミングライツ制度のポイント。

※新制度での導入事例はまだなし

■他

  • 一部(例:図書館の学習室のみ)への導入も可能(他都市の事例あり)
  • 妥当性等を外部有織者会議で事前検証
  • 市民や議会の意見を反映する仕組みの導入
    (地域の名前を残してほしい声が多い)
  • 議会からは
    「市民の混乱しないように」
    「地域名を残してほしい」
    などの意見があった。

■お話を伺って

市民の思い、企業の考えやメリットなど…
大変な部分、職員の苦労もありそうだと感じました。

公共施設の愛称に対するものさし、価値をどう判断するか、正解がない問題ですね。

↑議会図書室から小倉城が望めました!

■小倉周辺

夫の実家が北九州市なので、
小倉は何回も来ています。
時間が許す範囲で行けるところを周りました。

↓ 北九州市平和のまちミュージアム

360度の映像で、戦争直前の8月8日の八幡空襲、8月9日長崎の原爆を体感。
アニメでこわさを和らげつつも、やはりこわい。

夫の実家のある街という意識でしたが、軍都だった歴史を知ることができました。

↓ 長崎の鐘(原爆犠牲者慰霊平和祈念碑)

まさにこの場所が、かつて、原爆の投下予定地点。そのことから、長崎の鐘が贈られています。

↓ 北九州市立中央図書館

『図書館戦争』のモデルにもなった、特長的な建築。
1975年開館で、古いからこその味わい深さが。
綺麗に使われており、年月を重ねないと出せない重みが漂っています。

この年代にもかかわらず、スロープがあるのもすごい!

ちょうど戦後80年特集をしており、
もし小倉に原爆が落ちていたら?
を検証した昭和の本の展示も。

↓北九州市立子ども図書館

中央図書館と直通のこども図書館。
こども達がひとりで本を借りたり、
司書さんとお話したりしていました。