【決算・高口質疑】妊産婦の自殺ゼロをめざして…助産師の力を生かす“練馬区版ネウボラ”を提案(2025/9/30①)
2025年9月30日、練馬区議会・決算特別委員会
「全款」での高口の質疑です。
4つのテーマに分けてレポートします。
一つ目は、妊産婦の支援について。
出産前後の女性の自殺、
中絶をめぐる制度の課題、
そして助産師による伴走型支援――
大切な大切な命を守るために、切れ目ない支援の強化を求めました。
①妊産婦の自殺、実態と対策強化を
高口
日本産婦人科医会協力のもと、
一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターが行った
出産前後の女性の自殺の実態調査。
妊娠中から産後1年以内の自殺者が
2022〜2024年の3年間で、全国162人。
うち、妊娠中は45人、28%。
妊婦の自殺は、20代前半が最も多く、
原因は「交際問題」が多いとされます。
相談支援を行う「にんしんSOS」に、
・妊娠を告げたらパートナーが逃げた、
・連絡が取れなくなった、
という相談が数多いことから、
男性と違い、妊娠から逃げられない女性が
自死を選択してしまう背景が考えられます。
練馬区では、自殺者の妊娠状態などを把握していませんが、
実態を踏まえた妊産婦への自殺予防の強化を、まず求めます。
②中絶の課題と、使える支援
高口
一方、2023年度の虐待死のうち、
半数は、出生24時間未満の「0日児」。
国、こども家庭庁は、
妊婦が「孤立状態で追い詰められているケースが多い」
との認識です。
昨日豊島区で乳児の遺棄事件が報じられたばかりですが、
最悪の事態を避けるためにも
「中絶」という選択肢がありますが、
中絶には相手の同意が必要な他、
経済的困窮が理由として認められないことも、
高いハードルとなっています。
経済的な面で利用できる事業もあり、
「妊産婦等包括相談支援事業」、
こちらは妊婦認定後に5万円。
また、病院判断にもよりますが、出産育児一時金も、
12週以上から中絶費用にも充てられます。
Q1
妊婦さんが追い詰められる前に、
中絶費用としても使える制度があること、
情報が届くことが重要ですが、
周知についてどのように工夫しているか伺います。
健康推進課長
区は、国による妊婦のための支援給付金を、
妊娠中の方には、ねりママ出産応援金、
出産後の方にはねりママ子育て応援金、という名称で、
2回の支給、合計10万円分を現金、またはギフトによりお渡しをしております。
また、健康保険加入者につきましては、
一般的に、加入組合から出産育児一時金の支給を受けることができまして、
国保の加入者については、50万円を支給しているところでございます。
人工妊娠中絶について、区に相談があった際、
2つの応援金については、胎児の心拍が確認できていれば、
支給を受けられること、また出産育児一時金につきましては、
妊娠後85日以上であれば支給を受けられることをご案内しております。
応援金の支給については、ホームページでもご案内しているほか、
応援金や出産育児一時金が受け取れることにつきましては
広く医療機関に周知をされておりまして、
医療機関を通じてもご案内いただける体制となっております。
高口
先ほどの妊婦支援給付金の方は、「ねりママ」という名前がついていて、
産む方にとっては良いのですけど、こちら中絶だけでなく、流産や死産の方も
いらっしゃるので、制度のそのままの名称で良いんじゃないかという声もあるので、
こちらご検討ください。
また、給付までに時間がかかるので、緊急性の高い方には、
もっと迅速に給付する体制もご検討いただきたいです。
他にも、初回受診料支援事業が後払いになっていますが、
事前申請で、受診券発行をしている自治体もあります。
低所得の方が、支払いなしで受診できるよう、制度の見直しを求めます。
③助産師の出番を増やし、練馬区版ネウボラを
高口
女性自身の中絶の自己決定権が尊重されることが大切です。
そしてまた、出産を望みながら、困難にある妊婦が
支援に繋がることも重要です。
先ほどの調査では、産後1年以内の自殺の理由は、「家庭問題」が最多。
Q
区では現在、妊娠届出時と妊娠8か月頃の
伴走型相談支援を実施していますが、
現状と、支援につなぐ工夫について伺います。
健康推進課長
区では、妊娠届出時などに、妊婦全員面談を実施しておりまして、
妊娠期間中の支援についてご案内をしております。
面談は、入院中の方など、お会いするのが困難な方を除きまして、
原則として、全員実施しておりまして、
昨年度の実施率は99.6%でございました。
また、出産が近づくにあたっての不安や、悩みを抱える妊婦の方に対しましては、
妊娠8か月のアンケートを送付して、必要な方には、保健師が相談に応じる体制を
整えております。
昨年度、アンケートは約6割の方にご回答いただきまして、
アンケートを、回答を基に、331名の方と面談を実施しております。
引き続き、こうした取り組みにより、切れ目の無い支援を行ってまいります。
④助産師による伴奏型支援を
高口
ぜひ、家族支援の観点も含めて、
できる限り多くの妊婦さんを相談につなぐよう求めます。
その点で、妊娠・出産のプロである助産師が、
妊娠中から関わり、産後まで一貫して支援することも、
非常に有効と考えます。
・北区では、伴奏型支援を助産師会に委託
・品川区では「オンラインMy助産師事業」を開始
こちらは妊娠中から産後3ヶ月まで、専属の助産師にオンライン相談できる
サポート事業です。
Q
産前から産後までサポートする、いわば練馬区版ネウボラとして
助産師による伴奏型支援を拡充すべきと考えますが、区の見解を伺います。
健康推進課長
区では現在すでに、妊婦面談ですとか
出産後に行っている、「こんにちは赤ちゃん訪問」事業について、
練馬区助産師会と共に実施しております。
引き続き、妊娠期から子育て期まで、切れ目なく相談が出来るように、
助産師会等と、連携を図りながら、妊産婦の支援にあたってまいりたいと思っています。
高口
現在もやっているということですが、ぜひその数を増やして、
助産師会への委託も含めて、検討を進めていただきたいと思います。
質疑は以上です。
この日は、災害時の赤ちゃん連れの支援についても質疑しました。
そちらもぜひご覧ください。