練馬区立美術館・貫井図書館の改築の白紙撤回を求める陳情→不採択に【2025/5/20文教児童青少年委員会】

2025年5月20日の文教児童青少年委員会に取り扱われた、3本の陳情についてお伝えします

練馬区立美術館・貫井図書館改築反対の陳情、質疑→不採択に

陳情質疑までの「経緯」

まずこちらの陳情は、”いわくつき”
…もとい、いわくを”つけられた”陳情となります。

練馬区議会では2023年の改選以降、原則すべての陳情の質疑をすることになりました。

しかし、こちらの陳情は、以前出されたものと同趣旨ではないか?という疑義がつき、区議会で、付託するかどうかの議論となりました。

私たちは、前回出された時と状況も異なっており、主旨も異なると主張しました。

前回の陳情はコチラ
https://koguchiyoko.net/nerima/20231013toron_bijtsukantoshokan/

議論の末、無事付託されることにはなりましたが、
陳情に関わる規定が変えられ、付託条件が厳しくなりました。

質疑+審査が同日に

その陳情が、今回、いよいよ質疑されることとなりました。

通常、質疑と審査(結論を出す)は別日に行うのですが、今回は同じ日に行うこととなりました。

陳情の主旨

陳情第 68 号 練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え計画を白紙にし、再検討を求めることについて

要旨
サンライフ練馬(東京中高年齢労働者福祉センター)を 2025 年に取壊したうえで、①練馬区立美術館と②貫井図書館を建替えるという計画を白紙にし、再検討すること。

付託されたのは、2024年6月。
その時点で、
「工事費は100億円を優に超えることは必至」
という記載があります。

その後、2025年に109億円の概算工事費が示され、
陳情者の正しさが証明されました。

委員会資料

資料請求に基づき、提出された資料はこちら。

概算工事費

図書館部分の面積

図書館は細切れ、使いづらく…

図書館面積合計は「1430㎡」。
こちらは現在も「1430㎡」なので、変わりません。

サンライフ練馬を壊し、総面積は格段に増えるにも関わらず、図書館面積はほとんど変更なし。

一方、現在はワンフロアですが、
改築案では7層にも分かれ、細切れに。
一番狭いところで「50㎡」!

本陳情は、こちらも
「極めて使いにくくなる」と指摘。

陳情の指摘どおり、7層にも分かれた細切れの貫井図書館。
利用者にとって「極めて使いにくくなる」ことは、間違いありません。

高口の質疑

【質疑1】「リニューアルプロジェクト」という誤解を与える表現

質疑に先立ち、区民の方からご意見をいただきました。

>5月1日ねりま区報の『練馬区立美術館のリニューアルを進めています』という見出しを見て、「あれ?建て替えじゃないの?」と思いました。

>「リニューアル」とは?と、言葉の使い方をAI検索したら、
>「建物そのものは残したまま」とか、「不動産の文脈では、建物を解体せずに」と出てきます。
>言葉の使い方、これでいいのでしょうか?

最近作られたパンフレットでも
「リニューアルプロジェクト」とあります。

高口もチャットGPTで検索したところ、
以下の回答でした。
そのまま引用すると、

>「建物をリニューアルする」という表現は、次のようなイメージを持ちます:

>見た目と機能を新しく・きれいにする
外観の改修:壁の塗り替え、看板のデザイン変更、外装材の張り替えなど
内装の刷新:床・壁・天井の張り替え、照明や家具の交換、レイアウト変更
•設備の更新:空調、トイレ、エレベーター、電気配線などの入れ替えや最新化
•バリアフリー対応や耐震補強:機能面・安全面のアップグレード

>「取り壊して建て替える」のではなく、「今ある建物を生かしつつ、新しくする」という前向きな印象の言葉です。

…つまり、
建て替えをせず、リノベーションを行うのが、一般的な「リニューアル」のイメージです。

今練馬区が一生懸命広報を始めた「リニューアルプロジェクト」。
これは、非常に誤解を与える表現だということです。

すでに大きな疑義のある計画で、
さらに誤解を与える表現で広報をする…

それは問題ではないか、と質疑をしました。

不規則発言(ヤジ)を受ける

しかし、私の質疑に対し、別議員から、「所管が違う」という趣旨の不規則発言(ヤジ)があり。
練馬区も、所管が違う=パンフレットの担当部署がいないという理由で、答弁をしませんでした。

区教委にも責任がある「リニューアルプロジェクト」

それに負けてはいられないので、委員会終わりで、再度、「リニューアルプロジェクト」について質問をしました。

そして、『リニューアルプロジェクト』のパンフレットには、貫井図書館担当の部署も関わっており、内容のチェックもしていることを答弁させました。

部署として関わり、確認もしているプロジェクトなのに、所管が違う、担当部署が違うから答弁さえできないというのは、あまりに無責任ではないでしょうか?

教育委員会は、貫井図書館の再整備も、美術館の部署に丸投げなのでしょうか。

【質疑2】半年前の資料→最新の金額は提示されず

資料に出てきた数字は、昨年11月、半年前のもの。
予算質疑からも3か月たっています。

その後、概算工事費の増額は?
→示さず…

※実施設計は7月予定ときいており、
さらなる増額は、その時期に公表される見込みです。

【質疑3】目黒区美術館は増額で計画見直し

この質疑のまさに当日、以下の報道がなされました。

目黒区では、美術館含む複合施設の計画が、
当初の約1/4、増額により見直し、
学校だけ単独で建替る方針に切り替えたとのこと。
(約400億円の予定が、プラス約100億円となり、計画を見直しに)

練馬区は、1.5倍。
すでに1/2を超えています。
見直しておかしくない額、
見直さないとおかしい金額です。

建築費が当初よりあまりにも上がったことに対する
責任は誰がとるのでしょうか?

当然起こるべき責任問題、責任の所在ですが、
質疑しても、

「着実に円滑に進めること」が区の責務である
…というズレた答弁。

民間で、当初の1.5倍、30億円以上見積りが変わったら、当然、最初の見積もりの甘さが指摘され、責任者の責任問題になるはずです。

税金だと、責任さえ誰も取らないなんて、おかしな話です。
区民が納得できるはずがありません。

【質疑4】今年度中に解体「着手」、いつ?

現在、さらなる税金をかけ、コンストラクションマネジメントとともに、「サウンディング型市場調査」を行っています。
こちらは、建設事業者を探す目的があります。

逆に言えば、工事事業者が見つからない可能性を見越しているのです。したがって、建設工事の遅れがあり得るということです。

練馬区は今年度、現在の建物を解体の予定。
年明けに、解体に「着手」=解体工事を始めるとしています。

解体だけ進めてしまい、工事事業者が見つからない可能性もあるのに…

解体したら取り返しがつきません。
せめて、解体はもう一度、立ち止まるべきです。

【質疑5】学習室、閲覧室、対面朗読室→確保のめど立たず

図書館は、単に予約資料を貸し借りできればいいところではありません。様々な機能を持っています。

学生たちを支える学習室をはじめ、閲覧室、対面朗読室など、重要なスペースがありますが……

それらの確保のめどを聞いたところ、
私には
「ある程度めどがついた」
と答弁しましたが、

後で別委員の答弁で、

確保できたのは、乳幼児の閲覧と読み聞かせのみ(中村橋区民センター内)と発覚。

中高生の学習閲覧席については、「検討調整中」としながらも「同数の席確保は困難」と認めました。

「近隣の民間施設もかなりの数を探したが、見つからない」とのことで、確保のめどどころか見通しも持てない、おそらく見つけられない可能性が高いことが明らかになりました。

12月には閉館…

にも関わらず、
貫井図書館利用→12月中旬まで
と発表。

予約の返却、貸し出し窓口は、中村橋区民センターに用意するものの、閲覧などはできません

図書館利用者の不便を長期間強いることになる計画。
誤解を与える答弁とあわせて、見直すべきです。

陳情結果→不採択に

陳情質疑ののち、同日、審査が行われました。

〇採択(陳情に賛成)

インクル(高口所属)→討論
共産党→討論
生活者ネット

×不採択(陳情に反対)

自民党
公明党
維新の会

※立憲民主党は欠席

→残念ながら、反対多数で、不採択となりました。


陳情2件の審査も

この日は、別の陳情2件の審査もありました。
(すでに質疑済み)

①練馬区こどもの権利条例制定を求める陳情

→継続

※詳細はリンク先で解説
https://koguchiyoko.net/nerima/20250422iinkai_bunkyo_chinjo_kodomonokenri/

②保育園に看護師・栄養士の全園配置を求める陳情

→不採択

※詳細はリンク先で解説https://koguchiyoko.net/nerima/20250422iinkai_bunkyo_chinjo_kangoshi/