豊渓中のオープンハウス他…学校、教育に関する案件6つ【2025/5/20文教児童青少年委員会】
2025年5月20日、文教児童青少年委員会のレポートです。
前半は、学校、教育に関する6点についてです。
- 統廃合の計画素案、豊渓中エリアでオープンハウス開催
- 中学校選択制度検証委員会
- 学校工事(上石神井小中、立野小、開一小、開二小)
- 卒業アルバム制作会社への不正アクセス被害
- 部活動の地域移行→地域クラブ活動の試行
- 教科書展示会
『区立学校適正配置第二次実施計画(素案)』のオープンハウス等開催
大問題となっている、いわゆる統廃合の計画。
計画素案の解説はコチラ
https://koguchiyoko.net/nerima/20241209iinkai_bunkyo_tohaigo/
特に、豊渓中からの強い反対により、予定していた時期(2025年3月末)に計画を策定できず、策定を延期……という、異例の事態となっています。
今回は、計画素案について、オープンハウスを開催する、という案件です。
概要
①オープンハウス
- 6月27日(金)18-20時
- 6月28日(土)10-12時
- 旭町地域集会所 集会室
②保護者への個別面談
- 旭町(5月22、24、28日旭町地域集会所)
- 光が丘(5月24、28日防災学習センター)
- 対象:近隣の小中学校の保護者(豊渓中、光が丘第一中、旭町小、光が丘四季の香小)、未就学児保護者
疑問点
【疑問1】子どもは対象外
個別説明会の対象は、「保護者」。
一番大切な子ども、児童生徒は対象外となっています。
【疑問2】光が丘八小エリアでは開催せず
同じく、今計画の統廃合の対象である光が丘第八小学校では、個別相談会は開催されません。
不平等な対応です。
【疑問3】反対の声を矮小化
豊渓中での地域説明会は2回開催され、89名、81名と多数の参加があり、「統廃合反対」の声が圧倒的多数でした。
それに対し練馬区は、「賛成も含め」「様々な意見」が聞けた、と、反対が少なく、賛成も多かったかのように矮小化。
事実をねじ曲げることは許されませんし、事実をねじ曲げておきながら、地域の理解を得られることなどできるはずがありません。
【疑問4】集団説明会をなぜやらないのか?
練馬区は今回の個別説明会の開催について、
- 「個別に聞きたい」という意見を複数の保護者から寄せられたため
- 「複数」→何人かはカウントしていない
- 個別説明を求める人が「たくさんいると保護者から聞いた」ため
と説明しました。
必要な方に対して、個別説明は必要です。
一方で、個別説明会を求める「複数の」声に、細やかに迅速に対応したのであれば、
3回目の集団説明会についても、「開いてほしい」という保護者が複数いれば、開くべきではないでしょうか。
そうしなければ、不公平です。
しかし、再度の集団説明会については、何度求めても、
「適時適切に」対応する、とのみで、
開催するとの答弁はしませんでした。
【疑問5】合意形成に向けて話し合うつもりはあるのか?
今回の計画素案で、最も重要なことは、地域との合意形成です。
区として計画を進めたいのであれば、なおのこと不可欠です。
もちろんそれには、統廃合を前提とした「準備会」での話し合いではなく、統廃合すべきかどうかの是非も含めた話し合いが必要です。
個別説明は、ニーズに応じて対応すべきですが、
個別説明では、”合意形成”ははかれません。
合意は、地域の多くの方との話し合いのなかで、形成されるものだからです。
今後、合意形成はどうはかっていくのか?
を質疑しましたが、
区は「理解を頂くことに努める」
「今後のやり方は、意見を踏まえて検討」
と答え、合意形成については答弁しませんでした。
【疑問6】統廃合ありきではない話し合いはしない
他会派の「統廃合ありきではない話し合いをという声がある」「そこをクリアしないと前に進めない」という質疑に対しても
区は、先ほどの答弁(ご理解いただく、様々なやり方を検討)を繰り返すのみ。
さらに「統合の是非を問うものではない」と、あくまで統廃合ありきであることを示しました。
練馬区側が、「統廃合したい」というスタンスを変えずに、どれだけ説明を続けても、合意形成には程遠いのですが……。
【疑問7】”アリバイづくり”にならないか?
このような強硬姿勢を見ていると、不安しか募りません。
さらに別の会派が「個別説明会で、個別に切り崩すのでは?」と疑問を呈したのも頷けます。
オープンハウスや個別説明をもって、「説明したのだから、計画を進めてよい」という”アリバイ作り”にはなりません。
合意形成、そのためには、誰もが集えて、自由に意見を交わせる話し合いの場が、不可欠です。
中学校選択制度 検証委員会
『第4次練馬区立中学校選択制度検証委員会』の設置についての報告です。
練馬区HPはコチラ
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/gakko/sentakukensyo/index.html
練馬区では、中学校の選択制度をとっています。その検証委員会を設置しており、今回が4回目。
概要
- 2025年度:5回程度開催
- 2026年度:答申
- テーマ:35人学級、選択制度全般、その他
- 委員構成:学識経験者1、評議員2、PTA連合会(小中)4、青少年委員2、校長6、区管理職1
注視すべきポイント
①過小規模校への支援
学区域外の中学に行きたいという、選択制度自体のニーズは、私も理解しています。そう選択した保護者やお子さんについてどうこう、という意図は全くありません。
そのうえで、制度として、選択制度は、学区域外に子どもが流出することにより、過小規模校を加速させる制度でもあります。
選択制度を続けるのであれば、それとセットで、
過小規模校へのインセンティブのようなものを施策として打つべきです。
そしてそれは、学校の努力のみに頼らない支援策であるべきです。
その点について練馬区は、まず、
「過少規模を作り出す制度ではない」
と認めず、さらに
「学校の取組、学校の努力を発信」
など、学校の取組を前提にしました。
学校まかせにしない取組が求められていますし、
選択制度を続けるのであれば、それによって人数が減っても、それを理由に統廃合の対象にしない、ということがセットでなければおかしな話です。
②P連に所属しない保護者、子どもの声をどう聴くか
特に、小Pの会計の問題が起きてから、小P連から脱退する学校が相次いでいる状況です。
P連に入らない学校が増えるなか、「P連を入れれば保護者の声を聴いたことになる」という図式は、成立しなくなっています。
P連自体も、練馬区から数々の委員会への出席を要請され、その負担が課題にもなっています。
P連に所属しない学校、その保護者や子どもの声を、どう吸い上げるのか?
この委員会に限らず、大きな課題です。
「P連を委員に据えれば、保護者の声が聞ける」
という時代は終わっており、
P連の役員にとっても、荷が重く、それがさらになり手不足を招くのではないでしょうか?
練馬区は、保護者・児童の声を聴く考え方自体を、見直すべきです。
(別委員への答弁で、子どもの声はアンケートで…と言っていましたが、アンケートにも限界があります)
学校工事(上石神井小中、立野小、開一小、開二小)
上石神井小学校・中学校→校舎等改築(基本設計)
■別々の学校で、校舎は1つ
上石神井小学校・中学校の場合、旭丘小中のように一貫校にはせず、あくまで小・中別々の学校のまま、一つの学校として設計を進めています。
別々の学校なので、小学校の先生は中学校の生徒を、中学校の教員は小学校の児童を知らない状況で、同じ建物を共有することに。
もしも名簿等を共有するのであれば、個人情報をどうクリアするのか、という課題もあります。
もちろん、この学校で問題が起きると言いたいわけでは全くありません。その大前提の上で、最近の事件…立川市で、保護者が学校に怒鳴り込んできた暴力事件や、中学生が同級生をタブレットで盗撮した事件などの報道を見ると、何が起こるかわかりません。
対策として、
- 小中で行き来できる設計になっているのか?
- それとも仕切り等で分けられているのか?
- 区切る場合、鍵はつけるのか?
などを質問しました。
区の答弁は
- 扉を設けて、各階で物理的に区切ることを検討
- 交流含め、実際に運用
- 鍵の設置→これからの検討
- 他区で同様の建物→扉は閉めていない
- テスト期間などで看板設置→物理的でない対応もある
- 他区の事例も参考にする
もちろん、開放することで、小中が交流できるメリットもありますし、一概には言えず、難しいところです。
設計図を見る限りは、区切りのないところも見受けられます。実際の運用で、トラブルが起きないよう、慎重な検討を求めました。
「渡り廊下」について……
上石神井小中学校の校舎改築で、
理解を超えた反論?がありました。
別議員が
「大二中では渡り廊下ができることに反対な議員が、なぜ上石神井小中の改築で渡り廊下ができることには反対しないのか?」
という主旨の発言をしたのです。
まず、上石神井小中の場合、今現在すでにある道路の上に、二つの敷地を結ぶ渡り廊下を作ります。
すでにある道路を潰したら、生活に困る住民も出てくるでしょう。
一方、大二中の場合は、今現在道路が全くなく、新たに道路をつくって学校を分断する計画であり、地域の大きな反対も起きています。
また、上石神井のほうは、渡り廊下で結ばれる二つの敷地、両方に校庭があります。大二中の計画では、片側にしか校庭がありません。
「万一災害時に停電した場合、エレベーターがとまると、車椅子などの方は、校舎から校庭にどう行くのか?」という点、私は大二中では指摘しましたが、上石神井小中では、その指摘をする必要がないのです。
言うまでもありませんが、私たちは単に渡り廊下そのものに反対なわけではなく、新しい道路を優先して、大二中の敷地を分断することに反対なのです。
こういった、両者の違いという、当然の前提も踏まえない発言は、残念ながら、的外れとしか言いようがありません…
立野小学校→校舎等改築(基本設計)
■プールの可動式日よけ屋根のコスト
- 設置:5千万円
- 維持管理(65年):1億8千万円
- 合計:2億3千万円
→この暑さ、日よけは必要と思いますが、コスト面が課題ですね…
開進第一小学校→長寿命化改修(基本設計)
開進第二小学校→長寿命化改修(基本設計)
■断熱は、天井のみ
長寿命化工事でも、断熱改修は行われます。
ただし、天井のみ。
窓断熱は、窓枠を替える必要があるのでやらない。
壁には断熱材は入れません。
体育館も、断熱は予定せず。
この機会に、しっかり断熱をすべきと思うのですが……
なお、トイレの洋式化は、開一小・開二小では済んでおり、今回の工事では行わないとのことでした。
卒業アルバム制作会社への不正アクセス被害
概要
卒業アルバムの制作を受注している
- 斎藤コロタイプ印刷株式会社
- 株式会社イシクラ
のWEBサーバーが、不正アクセス(ランサムウェア)を受け、区内の小学校14校で、個人情報(写真・氏名)の漏洩したおそれがあるとの報告。
経緯
23区でも江戸川区をはじめ、近隣の豊島区や杉並区でも被害が報じられ、全国的な問題となっています。
練馬区は、4月2週に他から情報がはいり、調査を開始。
被害をつかむまで時間がかかったとのこと。
それも、会社から報告があったのではなく、区のほうからの問い合わせで判明しました。
対象校
斎藤コロタイプ印刷株式会社
- 練馬第二小 (R5 計 47 名)
- 春日小 (R5 計 37 名)
- 関町北小 (R5 計 98 名)
株式会社イシクラ
- 中村小 (R5 計 164 名)
- 中村西小 (R5 計 64 名)
- 開進第二小 (R5 計 73 名)
- 開進第四小 (R5 計 88 名)
- 南町小 (R5 計 60 名)
- 田柄小 (R5 計 76 名)
- 向山小 (R5 計 83 名)
- 旭町小 (R5 計 47 名)
- 光が丘夏の雲小(R5 計 80 名)
- 上石神井小 (R5 計 120 名/R4 計 141 名/R3 計 114 名/R2 計 115 名)
- 光和小 (R5 計 138 名/R4 計 136 名)
現在の対応状況
①個人情報保護委員会(国)への報告
- 「株式会社イシクラ取り扱い分」については実施済み
- 「斎藤コロタイプ印刷株式会社取り扱い分」については今後報告予定
②当該家庭への通知
各学校からの個別通知または区HP等による周知
※卒業して数年たち、直接の通知は困難との説明
再発防止に向けて
- 外部サービスを利用する際のリスクを学校や保護者組織に周知徹底
- 学校や保護者組織が写真業者等と契約する際には、データ削除の取り決め等個人情報の取扱いについて文書で確認するよう校長会等で周知
課題
■写真屋を経由する複雑さ
卒業アルバムについては、まず、学校やPTAと、写真屋に外部委託
→写真屋が、アルバム制作会社に外部委託
→今回は、そのアルバム制作会社の不正アクセス…
直接契約している写真屋でなく、さらにその先の外部委託
委託先の委託先
ということで、事態が複雑になっています。
外部委託の外部委託のため、アルバム制作会社には、練馬区への報告義務はありません(アルバム会社は、写真屋に対して報告する)。
■学校や保護者の負担
写真屋との契約は、①学校、②PTA(卒対)、③学校とPTA、という3パターンで行われるそうです。
区が直接の契約でないため、今回の件で写真屋の窓口となるのも、学校やPTA。
卒業アルバムは、PTAでは卒業対策係や委員、いわゆる「卒対」と呼ばれる業務です。
なりたくなかったけれど、他にいないので仕方なく選ばれた方もいるかと思います。
そのうえで、このような事態が起これば、負担が大きすぎて、ますますなり手がいなくなるのではないでしょうか?
■練馬区の再発防止策は十分か
練馬区は再発防止策として、「文書で確認」とあげています。
個人情報の扱い、使用や保存期間の取り決めが必要、とのこと。
しかし、法律の専門家でもない保護者に、どのような内容の文書にすれば問題ない契約となるのか、わかるはずがありません。学校も同様です。
練馬区の法務部門が作成したひな型を、区として提示すべき、区として法的な助言をすべきと求めました。
■被害は今後あり得るのか?
現時点で、不正利用の被害報告はないとのことですが、今後あるとしたら、どのようなことがあり得るのか? 原因が今回のことだと特定できるのか? を質問しました。
区としては、
- 悪質な流用や嫌がらせが目的ではない
- 情報を見られなくするもの
- 不正アクセスはあったが、漏洩の可能性は低い
という説明。
一定安堵する説明ではありますが、今後も注意してほしいと求めました。
部活動の地域移行→地域クラブ活動の試行
教員の多忙化の問題を受け、国レベルで進んでいる部活動の地域移行。
国のガイドラインを受け、練馬区で始める、今年度の事業です。
※画像
国のガイドライン
『学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」
各地域体育館にあるSSC(総合型地域スポーツクラブ)と協働で、
月1-2回、全中学校に指導者を派遣します。
↑上の図で、今回の事業は②-1にあたります。
③-1の「部活動指導員」も、区として実施しています。
概要
- SSC7団体
- 豊玉・中村、谷原、平和台、大泉、桜台、光が丘、上石神井
- 種目
- バレーボール、バスケットボール、タンブリング、ダブルダッチ、スラックライン、フットサル、ダンス、ボッチャ
- 2023年度アンケートをもとに、人気のもの+SSCが指導できる種目に
- 対象:区立中学校の生徒
- 実証期間:2025年6月〜10月の日曜日(月1-2回)
- 場所:中学校の体育館
- 各団体がシグフィーなどで募集
- 参加費1回1000円、うち500円を区が補助(実質500円)
→困窮家庭には、全額補助をすること、
特に、今後本格実施にあたってはしっかり検討するよう要望しました。
利用見込みは20人程度。
今回はあくまで施行なので、実証期間での課題を踏まえて、検討するという内容です。
課題
先生の負担が実際どのくらい減るか?
今回の内容を見ても、今の部活動の代わりというかたちではありません。
そこまで求めるのは、SSCにとっても負担だと思います。
先生の働き方改革にどうつながるのか、具体的に、負担の減る量や時間は?
と質問しましたが、
今回の事業で数値目標はなく、バランスなどを検証するとのことでした。
部活動指導員の状況
今年度、中学校33校全校に、最低1名は配置することに。
マッチングがかなわなかった2校(大二中他)で、ホームページ等で募集をかけ、一部未配置の状況です。
地域団体とのマッチングも必要
先ほどの図の②-2、「民間事業者」とのマッチングについては、まだ未実施の状況です。
私が周りのスポーツ団体や習い事の先生とお話していて共通するのは、
- 少子化で、募集してもなかなか集まらない
- せっかく入っても、中学生になると部活動が忙しく、辞めてしまう
- これからという時に、もったいない。本当は続けてほしいが、難しい
こういった地域団体と、部活動のマッチングをすれば、ウィンウィンに近い形になるのではないかと考えます。
今は
「この部活に入りたいから、選択制度でこの学校に決める」
といったように、部活動が、中学校生活の大きな部分を占めています。
学校としても、「部活動は必須か、それに近い形」を、生徒に求めています。
しかし今後、先生の働き方改革で、部活動は減らさざるを得なくなります。
その時、その活動をしたい子どもたちの思いをかなえながら、働き方改革を両立するには、
- 中学生の放課後のあり方自体の見直し
- 小学校からの習い事やクラブを続ける等、生徒それぞれに合った過ごし方へ
- 地域資源の活用
- 団体とのマッチング
- 部活動に係る内申点の位置付けの見直し
- 部活以外の放課後の様々な活動が反映されるようにする
- 習い事に関わる経済格差への支援
- 部活動に替える場合の費用負担のあり方を議論
…といったことが必要かつ、現実的な方向ではないでしょうか。
教科書展示会
今年度は、教科書の変更(新しい教科書の採択)はありませんが、法令に基づき、法定の展示会が開催されます。
- 6/7~20
- 月~金:9-19時
- 土日:9-17時
- 学校教育支援センター1F教科書センター
- 現在、練馬区で使用している教科書を展示