【陳情質疑】すべての認可保育園に看護師・栄養士の配置を求める陳情【2025/4/22文教児童青少年委員会】

2025年4月22日、文教児童青少年委員会のレポートです。

この日は、豊渓中に関する陳情の資料請求、「練馬区子どもの権利条例の制定」を求める陳情の質疑に続き、もう1本の陳情の質疑がありました。

陳情95号 全ての認可保育園に看護師、栄養士の配置等を求めることについて

陳情要旨

下記の事項について、区に対して働きかけてください。

  1. すべての認可保育園に看護師と栄養士を配置すること。
  2. どの保育施設においても給食と栄養管理・健康管理で認可保育園の水準に近づけること。

理由

1.練馬区の保育園は「0歳児の在籍」を基準としているため、全園に看護師と栄養士が配置されていません。そのため、120人規模の認可保育園でも、子ども達の健康管理と栄養管理を行う際、近隣の保育園から看護師・栄養士の応援をうけている状況です。
障がい児施策が進み、こども基本法が制定されたもと、園児の健康管理が求められ、看護師の全園配置が必要になっています。子育て支援を掲げる練馬区にふさわしく、すべての認可保育園に看護師および栄養士を配置してください。

2.園内で給食を調理しない保育施設が多くあり、栄養士が配置されていない保育施設があります。食物アレルギー疾患の子どもが増えているもと、栄養管理が行き届くよう、すべての保育施設で、栄養士の配置等、認可保育園の水準に近づけてください。


こちらも、納得できる理由の陳情です。

練馬区の資料

■看護師・栄養士の配置状況

資料のとおり、委託園では全園で配置。一方、直営園が全園ではありません。

直営園では、

  • 看護師:0歳児で配置(70%)
  • 栄養士:8か月未満児で配置(53%)
  • それ以外は配置せず

という規定で運用している、とのこと。

また、認可園では多くが配置していますが、地域型や認証など、小規模の保育園では配置が少ない状況が一目瞭然でわかります。

なお、練馬区からは「法律で配置の義務はない」の説明が添えられました。

質疑より

■委託園が全園配置の理由

区立の委託園ではなぜ全園で配置されているのか?

練馬区の説明では「委託の仕様書で求めている」から、「事業者が対応」している、とのこと。

■なぜ直営園では全園配置しない?

ここで誰もが不思議に思うでしょうが、なぜ委託園には配置を義務付けて、なぜ直営の区立園では全園配置しないのでしょうか?

練馬区いわく

  • 義務化ではない
  • 配置がない園も、健康支援や食育の推進で専門スキルを発揮している
  • 保育所保育指針』にも、専門家がいなくても取組みを行わなくてはならないと書いてある
  • 園が、一定の質を保つ努力をしなくてはならないことも、書いてある
  • 専門家がいないから、質を保てない、とは考えていない
  • 配置がない園には、サポート体制を手厚くしている(サポート園)

■専門家、有資格者は何のため?

この説明を聞いても、やはり疑問が浮かびます。

専門家がいてもいなくても質は同じというのであれば、区は何のために、専門家の配置を、委託園に求めているのでしょうか?

また、資格がなくても同じだという区の考えを、専門家が聞いたら、疑問に思わないでしょうか?

サポート園でよいなら、なぜ委託園でもサポート園でよしとしないのでしょうか?

これに対し区は、「月齢の変動が激しい0歳児に重点を置いている」と回答。委託園は、30園中29園で、0歳児保育を行っています。

(一方、練馬区は区立園のゼロ歳児保育の休止を進めているのですが……)

0歳児はもちろんですが、1歳児でも2歳児でも、変動は激しいもの。だからこそ、委託園で配置を求めているのではないでしょうか?

なぜ委託園で配置を求めているのか、重ねて質疑すると、

練馬区は「この場面で答えることはそぐわない」「配置の考え方」だと、回答を避けました。

そぐわないことはないと思いますが……。

保育園に、看護師・栄養士がいたほうがいいか・よくないか。
シンプルに考えれば、100人いたら100人、「いたほうがいい」と答えるでしょう。

■地域型・認証保育所への支援は?

小規模などの地域型事業や、認証保育所では、配置が少なく、特に看護師はほとんど配置されていません。

これは、募集しても人材が見つからないという背景もあります。

人員確保の厳しさ、各園も大変だろうと思います。

それに対し、区として、確保する支援を行っているのか質問しました。

  • 0歳児で区独自の加算を行っている
  • 国は公定価格の上乗せを行っている
  • 仕組みとして後押ししているが
  • 経営的な判断もある

0歳児のみで加算を行っている、との区の答弁。

これまで練馬区は、認可園の増設を求める声に対しては、認可園でなくてもいいという姿勢を強調してきました。

認可園でなくてもいいというのであれば、こういうところで、認可園と平等になるように、しっかりと支援すべきです。

それに対して練馬区は

  • 0歳児での実施という条件を付けて、取り組みを進めたい

と回答しました。

■無認可園は?

無認可園については、都も区も、配置状況の把握をしていません。

園から相談があれば対応するというスタンスで、区から支援する、という対応ではありません。

その点も、課題です。

■子どもの権利にてらして

この前に、「練馬区子どもの権利条例の制定を求める陳情」の質疑があったこともあり、

区の資料『子どもの権利条約』の項目から、

(2)生命・生存および発達に対する権利
子どもの命が守られ、健やかに成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されること

(4)子どもの最善の利益

この点に照らして、
配置したほうがいいのか?
配置しないほうがいいのか?
を問いました。

区の答えは

  • 各園で、健康支援などの業務で一定の質を保つことが眼目
  • 配置してもしなくても保たなくてはいけない
  • 区は適正に行っている

ということでした。

高口は、保育の質を保ち向上させるために、看護師・栄養士の配置が必要と考えますが、皆さんはいかがでしょうか?


陳情審査

陳情審査(採択・不採択の結果を出す)は、次回委員会(5月20日)です。

結果が出たら、お伝えします。

(与党の質疑の感じだと、与党は否決するものと思われます)