大二中に関わる陳情・請願の質疑と審査結果【2025/3/11文教児童青少年委員会】
2025年3月11日、文教児童青少年委員会のレポートです。
大泉第二中学校を分断する道路計画に関する陳情・請願
3月11日、文教児童青少年委員会にて、大二中に関わる陳情・請願2本と、オープンハウス等の開催結果の報告に対する質疑が、同時に行われました。
議会最終日の高口の討論はこちら
https://koguchiyoko.net/nerima/20250314toron_koguchi_oonichu/
簡単にいうと、
大二中の『取組方針』について、
請願3号は反対(大二中を守る、道路反対)、
陳情98号は賛成(道路賛成)、
という、正反対の陳情です。同じ素案への陳情請願ということで、同時に審査されました。
陳情の内容
陳情第98号 大泉第二中学校の教育環境向上と地域のまちづくり推進の両立を求めることについて
要旨
大泉第二中学校の教育環境のさらなる向上と防災や交通環境の改善など地域課題の抜本的解決を図るため、令和6年12月に示された「大泉第二中学校の教育環境保全と大泉学園駅南側地区まちづくりの取組方針(素案)」を着実かつ早期に推進するよう、区に働きかけられたい。
請願3号 大泉第二中学校の大きな校庭と桜の木を残すことを求めることについて
要旨
「取組方針(素案)」を見直し、大泉第二中学校の大きな校庭と桜の木を残すよう、区に働きかけてください。
こちらは
・取組方針素案の見直し
・桜の木の保全
を求める主旨の請願です。
問題点
桜の木の保全は?
樹木医による診断(幹周150cm以上が対象)は、以下の通り。
50%以上が伐採のめやすとなる「腐朽空洞率」で、50%以上の桜は一本もありませんでした。
つまり、保全が必要ということです。
そこで、今区が出しているイメージ図において、
建物や道路にかかるなど、具体的に何本は伐採されるのか?
と聞いたところ、
具体的な回答は
「今の時点ではお答えできない」と、ゼロベース。
移植についても、「調査」とするのみで、
桜の木が保全できる確信の持てない答弁でした。
樹種は、最近はソメイヨシノではなくジンダイアケボノが多いことを述べており、
ソメイヨシノは植えられないものと予想できます。
子ども向けに実施したアンケート結果
問題がいくつも…
①「とてもよくない」の項目はなし!
「とてもよい」の項目はあるのに、
その対照として必要な
「とてもよくない」の項目はなし。
これでは、「よい」ほうの意見が多くなるのはあたりまえ。
そもそもが、恣意的、誘導的な設問設定になっています。
「とてもよくない」を設定しなかった理由を
区は「断定的な選択肢は選びにくい」と答弁しましたが、
「とてもいい」は断定的ではないのでしょうか??
②「普通」が52件48%
このような恣意的なアンケートで、
「とてもよい」「まあまあよい」をあわせて25件23%。
「普通」は、その倍以上にのぼりました。
大半の子どもが、取組方針素案を、好意的に見ていないことは明らかです。
区はなぜか、「普通」も入れて「7割超え」と説明しましたが、「普通」は「普通」であって、前向きな評価ではありません。
(前向きなら「まあまあよい」を選ぶでしょう)
くくり方も強引で、なんとかしてよい印象を与えようと必死ですが、
「普通」が大半という子どもの声を、受け止める度量さえないのでしょうか?
③「その他」7件7%の意味
資料では書かれていない「その他」は何か質疑すると、
「昔からある学校がなくなる、がっかり」
「よくわからない」
といった、否定的な意見が出たことが判明。
だから詳細を出さなかったのでしょうか…。
「その他」には、「あまりよくない」「よくない」という、子どもの気持ちが隠されていたのです。
④自由意見、ほぼ公開されず
資料には、「寄せられた自由意見」として、
・新しい道路ができることで、より安全に生活できるようになる。学校の敷地も十分確保していて設備の整った新しい学校ができることはいいと思う
・車の渋滞が減り、事故も少なくなることは良い
・新しい大泉第二中学校を早く見てみたい
・災害時に校舎から運動場へ避難する際、渡り廊下が混雑する可能性があり心配
・工事中の騒音により、授業などの学校生活において影響を受けることが心配
・大きな校庭が、道路によって少し小さくなってしまうのは残念
・学校を変えてほしくありません
と、意見をまとめています。
一方で、他計画では発表している意見の一覧は、大人の意見も含めて、公開されず。
本当はどのような意見があったのか、区のまとめ方が正しいのか、チェックすらできません。
しっかり資料を公表するよう求めたうえで、
議会後、情報公開請求をかけました。
⑤回収率の低さ
・回収率は3.6%と非常にわずか。
なのに区は「子どもの意見は把握した」と、傲慢な答弁。
何がわかっているというのでしょうか?
取組方針素案の問題点
子どもアンケート以外にも、素案の問題について、地域の方、保護者から伺った疑問、心配な点を質疑しました。
「子どもアンケートには、校舎とグランドが分断されること、渡り廊下のこと、工程が3割がた狭くなることなど、一切触れられておらず、非常に誘導的だと、意見も来ている」
と、アンケートの不備を指摘した上で、
方針案のイメージ図では、大きく描かれているが、実際とは異なると思われるので、実際どう変わるのか確認しました。
①体育祭やグラウンドがどう変わるのか?
Q今までのような体育祭はできないのではないか?
Q200メートルトラックが引けても、フェンスギリギリで、保護者が応援するスペースがとれないのではないか?
Q200メートル走や100メートル走をしたら、フェンスに激突するのでは?
100mゴールからフェンスまで何メートルか?
→具体的な答えは全くなし。
「授業に支障はない」
「詳細は検討」
「心配にはあたらない」
というのみ。
②子どもへの影響は?
Q学校が道路沿いになり、排気ガスで喘息など健康に脱響が出るのではないかという懸念があるが、調査はしているのか?
区「交通量は膨大ではない」
から、調査はしない、との答え。
→交通量が多くないなら、なぜ新しい道路が必要なのでしょうか…?
Q 道路沿いになることによる交通事故を心配する声があるが、その点の見解
区「歩車分離で安全性は十分確保」
→ルールを守っていても子どもが事故にあう報道が続出しているのに(車が突っ込んでくるなど)、認識が甘くないでしょうか?
このような認識では、万全な事故対策は望むべくもありません…
Q 第二運動場まで監視カメラはつけるというが、交通事故はどう防ぐのか?教職員に負担のないかたちでどう考えているか。
区「学校と協議はこれから」
「安全点検」
→「点検」では、事故は防げませんし、学校の負担は変わりません…
Q大災害のときの対応→避難経路、渡り廊下をどう使用するのか?
電気が動かない場合、車いすなどの生徒がいたらどうなるのか?
区「停電時、詳細は設計で検討」
→また「検討」…
そんな誰でも思いつくことも、いまだに検討とは…
審査結果
請願3号(大二中を残す)
■陳情に賛成(採択)
共産党
インクル(高口)
生活者ネットワーク
■陳情に反対(不採択)
自民党
公明党
立憲民主党
維新の会
→不採択
陳情98号(道路推進)
■陳情に賛成(採択)
自民党
公明党
立憲民主党
維新の会
■陳情に反対(不採択)
共産党
インクル(高口)
生活者ネットワーク
→採択
という結果でした。
また、この日は案件がものすごくたくさんあり、夕方18時まで委員会がありました。
そのため、質疑時間も限られました。
また通常、質疑と審査は別の日程にしています。
それが、今回は同日で決める、あまりに性急な進行。
「通常どおり、時間をかけて質疑・審査させて頂きたかった」という意見も述べました。
質疑を受けての、
議会最終日の高口の討論も、あわせてご覧ください。
https://koguchiyoko.net/nerima/20250314toron_koguchi_oonichu/