文教児童青少年委員会、他案件をまとめてレポート【2025/3/11】

2025年3月11日、ラストの文教児童青少年委員会のレポートです。

この日は案件が山盛り…
残りの案件をまとめてお伝えします。

「みらい青空学園」の開校に向けて

いよいよ2026年度開校する、新しい旭丘の小中一貫校。

高口は、練馬区議唯一の保護者当事者として、これまで地域の実情など伝えてきました。
よい学校になってほしい、
そのためにも、小竹小は小竹小として残してほしい、
という観点で質疑しました。

■開校時のクラスは?

小中一貫校になって、クラスや生徒数は増えるのか?というと…

クラス数はわからない、という区の回答。

そのくらいは把握しておいてほしいものですが、
おそらく今のままだと、13クラス前後ではないでしょうか。

今現在、統廃合に揺れる豊渓中は、旭町小との小中一貫校にして豊渓中の存続を求める声があります。
しかし区は、「小中一貫校の基準は18学級以上で、その基準を満たさないから小中一貫校にはしない」と言っています。

旭丘の新校では、18クラスに全く届きませんが、小中一貫校となります。
練馬区の方針として、筋が通っていません。

■小竹小側の合意形成は未だできていない

統廃合の問題が起きて10年になろうというなか、未だ、地域の合意形成は止まったまま。
理解も納得も進んでいません。

今回、小竹小については、新校の資料の中でさらりと触れていますが、
小竹側の合意形成はできていないこと、
小竹小がなくなるという「風評被害」に地域は苦しんでいることを、伝えました。

なお、新しい小中一貫校設置のための推進委員会には、小竹小、小竹地域からも参加を要請され、出席していますが、
これはあくまで「中学校が同じ学区域だから」という立場での参加であり、
「小竹小の統廃合は前提としない」ということでの協力です。

■国立や私立の中学校に行く子の多さ

たとえ小竹小を統廃合して小中一貫教育校にしても、中学校の過小規模は避けられない、という課題があります。

都心に近い立地もあり、中学受験をする家庭が多い地域でもあります。
選択制で旭丘中以外を選ぶ生徒も少なくありません。

実際に今年度も、受験した生徒は、旭丘中に進む生徒の約2倍に。

そのような地域性を考えると、
「中学受験をやめて、旭丘の小中一貫校に行こう・行かせよう」
と思えるほどの教育内容になっているかは…

資料をみると、なかなか厳しいのではないかと感じます。

■統合すると、少人数指導もできなくなる?

たとえば、教育の充実として、少人数指導を挙げています。

そのためには少人数に分散できる部屋が必要で、
現在の設計では、普通教室に隣接して6部屋(小学校各学年1つずつ)が設置されます。

しかし、これはおそらく、小竹小を統合した際に、普通教室に改修し、クラスを増やすことを狙っての配置でしょう。

そうなると、少人数指導のできる部屋がなくなるのです。

少人数指導を新校の魅力に挙げておきながら、
小竹小を統廃合したら、少人数指導の場所を確保できない……。

統廃合したら、教育内容が、逆に後退してしまう。
大きな大きな矛盾ではないでしょうか?

■標準服のあり方

標準服(制服)の採用については、
生徒や保護者、地域にアンケートをとったうえで、
「ある程度統一された中での自由!」
つまり、一定の標準服を導入することに決まりました。

(それが本当に”自由”と言えるのか?
「自由とは何か」が問われますが…)

アンケートでは、「任意」
(標準服を着たい生徒は着る、着たくない・着られない生徒は私服で)
という項目もあり
「任意」と「私服」をあわせれば、割合も決して少数ではありませんでした。

しかし、結果は、標準服の採用に。

「任意」になっていたら、画期的で、まさに新しい教育を行う学校だという象徴にもなり得えたのではないかと思います。

制服の問題が様々報道され、社会問題化するなかで、
着たい子、着たくない子、着られない子
それぞれの「自由」が尊重される、
制服のあり方が問われています。

■児童館と学童の間は、開放されない

みらい青空学園には、栄町児童館と学童クラブも移転してきます。

その際、学童は、学校の施設として整備。
児童館は、同じ敷地内で、部屋もすぐそばですが、出入り口は別。

学童は、あくまで旭丘小学校の学童であり、児童館内の学童ではない、という位置付けであり、
児童館を含む地域施設(まちかどケアカフェ、地域包括支援センター)と、学童は、別の扱い……ということです。

設計図を見ると、学童と児童館は、壁とドアで仕切られており、ドアで行き来はできるものの、開けっぱなしにはならない模様。
常時開放すると、誰でも学校内に入れるようになり、セキュリティの問題が生じます。

これまで栄町児童館内の学童は、児童館施設と一体でしたが、
新しい学童では、児童館施設で気軽に遊ぶことは難しくなりそうです。

(職員が許可して、ドアを開けて、子どもを児童館に連れて行くような運用は考えられますが、少なくとも今のように、自由に館内を行き来して遊べるかたちは難しいでしょう)

これまでは栄町児童館の遊戯室や図書室を学童でも使えていましたが、今後は学校の校庭や図書室を使うことになるのではないかと思います。

これまでは学童の子も、児童館に来た子と遊べましたが、それもできなくなるかもしれません。

まだ詳細は決まっていませんが、運用面でどうしていくかも重要です。

また、区境で、豊島区がすぐ、という立地のため、羽沢や豊玉、桜台など、栄町なら来られていた子、親子も、遠くて来られなくなるのでは?
かわりの遊び場はどうするのか?
…という懸念もあります。

2027年度以降、改築・長寿命化工事をする学校

 

↑こちらの議会資料、
「改築校」(建替え工事をする学校)の中に
「豊渓中学校」の名前があります!

少なくとも、『練馬区学校施設管理実施計画(中間見直し)』策定の時点では、豊渓中も改築し、残す想定だったのです。

「他の計画の進捗により、内容に変更が生じる場合がある」
と注釈があり、統廃合するから豊渓中は改築校から外すことを示唆しており、
練馬区としてはそのつもりなのでしょう。

しかし、区は、当初発表した計画こそ、しっかり守るべきではないでしょうか?

また、「原則古い順」で改築と、区は述べましたが、
一番古い小竹小を改築していないのに、
古い順とは、「はて……?」と、心のなかでつぶやいてしまいました。

『練馬区立学校(園)の教員の働き方改革推進プラン』の改定

2019年、平成31年に策定された『教員の働き方改革推進プラン』の改定版。

改定前の計画はこちら
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/gakko/hatarakikata_plan.html

■目標達成は3割

2023年度調査で、
目標にかかげる「年間の時間外在校時間(つまり残業時間)360時間以内」

その達成は、
小学校で35.8%、
中学校で、28.2%
に留まっています。

分析は以下の通り(2023年度調査)
  • 副校長と若手教員(20代)の時間外在校時間が長い
  • 年度初め、成績処理の時期に在校時間が長くなる傾向
  • 病気休職者は、年々増加傾向。精神疾患も一定数いる。
  • 小学校の方が中学校よりも病気休職者が多い。

先生の精神疾患も、大きな問題です…

■新規の内容、注目は

前回プランでは、教員の意識改革の面が強く
「意識より、やることが多すぎるから減らすことが重要!」と訴えました

※前回ブログ「月80時間超え残業が、のべ2783人!~教員の働き方改革と、その実態」
https://koguchiyoko.net/nerima/20220913hatarakikatakaikaku/

改訂版も、ざくざくと業務が削減されたわけではありませんが、いくつか具体的な提案が。

開放事業のあり方検討

学校施設の一般団体への体育館や校庭の開放事業のあり方について、検討委員会を立ち上げ、
令和7年度末までに方向性を決定する…というもの。

学校プールの取り扱いの検討

「各学校にある屋外プールでの水泳指導を見直す」という内容。
こちらは、練馬区が、プールをなくす方向性を示していることとも合致します。

私は、学校からプールの設備をなくすことには課題があると思っていますが(なくした学校の生徒にだけ移動の負担がかかる不公平性や、運転手不足のなかバスを出せる確約もなく、徒歩であれば熱中症の心配…など)

プールの授業自体を外部委託し、専門家に泳ぎ方を教わることは必要だと考えています。

せっかくの水泳の授業、せっかくのプールの設備。
習い事として通わなくても「子どもたちが最低限泳げるように」してほしい、と求めました。

始業式、入学式の実施日の検討

年度はじめに残業が多いことから、準備時間等の確保のため、始業式・入学式をずらす検討をするとのこと。

タブレット端末の年度更新作業の負担軽減

生徒のタブレットの年度末の更新作業で、ICT支援員がサポートするという項目も。

そんなことまで先生がやっていたのか…という感じですが…
ICTで先生の負担が増える問題も考える必要があります。

 

学校での性暴力防止プログラム、実施へ

「人権を基盤とした教育・研修等プログラムの実施」
という案件名ですが、
元校長による性暴力事件を含め、練馬区で起きた性加害事件を受けた練馬区の対策。

※前回ブログはこちら
「児童・生徒への性暴力等を防止するための対策方針」https://koguchiyoko.net/nerima/20241126iinkai_bunkyo/

そのプログラムについての報告です。

*議会資料はコチラ(PDF)

■生徒の授業時間の短さ

練馬区独自のプログラム、専門家の監修も受けていることは前進だと考えます。

ですが……生徒への授業時間は、
全学年で1年間でわずか1単位時間。

小5は外部講師、中2は「いのちの授業」と2単位時間ですが、
その少なさで、理解できるものでしょうか?

■「包括的性教育」と謳わない

理念としては、包括的性教育的なものではありながら、
決してそうは明言しない練馬区教育委員会の姿勢も気になるところ。

性暴力を決して許さない区に変われるか、変わらないか。
練馬区が明確に態度を示すかどうかにかかっていると思います。

■単なる「性差」ではない

「性差に基づく暴力」といった、「性差」という表現もとても気になります。

性暴力は、単なる「性差」で起こるのではなく、男女不平等、ジェンダー不平等、構造的な差別が背景にあって起こるもの。
それは、プログラムの基になっている有識者の『提言』でも指摘されています。

そこから目を背ける、曖昧にした表現で良いのでしょうか?

練馬区は、今回のプログラムは「提言を網羅」していると答弁しました。
提言はもっと踏み込んだ内容になっているのですから、もっと違う表現ができると思います。

ちなみに、プログラムを監修した外部の有識者はお一人で、かなり負担が大きかったことと思います。

■「誤った認識や行動」とは?

「性暴力の根底にある誤った認識や行動」という一文も気になり、何を指すのか問いました。

すると区からは「信頼できるひとを信じていいのか?」といった子ども側の話が出たので、

今回の問題は大人、教職員による性暴力が発端であり、
子どもではなく大人の誤った認識とは何か?
と、問い直しました。

すると、区からは
「男女関係、男や上司の言うことを聞くべき、力の関係が背景に」
という答弁があり。

ぜひ、教職員や大人のプログラムこそしっかり実施してほしいと求めました。
また、区立園をはじめ、保育園でも実施するよう要望しました。

早宮小学校学童クラブ棟を新たに設置

早宮小に、新たな学童クラブ棟を設置する報告。

今、遊具がある場所に、学童クラブ棟を新設。
学校菜園も一部重なるそうです。

あわせて、ひろば室は、現在の学童クラブ棟に移します。

運営は、今の委託事業者が引き続きで、事業者変更はありません。

定員を大幅に増やすという理由で、
近隣の直営学童「早宮さくら学童クラブ」は閉鎖の予定。
大規模が合わない子どももいることから、直営も残すべきと考えます。

ねりま羽ばたく若者応援プロジェクト

練馬区が始める、児童養護施設を出た若者、いわゆるケアリーバーの支援事業。
高口も昨年の決算で実施を求めており、
とても重要な事業だと考えています。

一方、予算特別委員会で、就職支援に絡めて質疑をした議員がいたことが、気がかりでした。

就職が主目的ではなく、もっと一人ひとりの困難や悩みに寄り添う伴奏型の事業であるべきです。

そこで、この事業の目的は、就職視点が主なのか、それとも一人ひとりの困難に寄り添う、伴奏型の事業なのか?
後者であるべきとの思いで聞きました。

区の答えは、伴奏型。
「自立が難しい、行き場のない、孤立感を抱えた若者を伴奏支援したい。希望する未来を切り開く支援がしたい」
とのことでした。

ぜひ伴奏型でサポートを手厚くしていって頂きたいと思います。

その他、若者・子育て支援の充実

若者ケアラーの支援

子育てスタート応援券→事業者増

育児支援ヘルパー→利用時間の拡大

利用時間の拡大自体はよいことですが、事業者が見つからない、予約がとれない、といった声も。時間を増やせば、より予約がとれないことに拍車がかかる懸念も…。

また、困難家庭の支援をすることもあり、経験の必要な事業です。その点の体制充実も、重要です。

子どもトワイライトステイ:電子申請が可能に