【高口・予算質疑】ひとり親の体験格差、戦争の語り部、学校風土と豊渓中、ケアリーバー支援、氷河期世代の正規雇用、
2025年3月5日、予算特別委員会、全款での高口の質疑です。
- ひとり親家庭体験格差解消プロジェクト
- 参加させたくてもできない事情に配慮し、参加しやすい工夫を!
- 平和祈念コンサート、大叔母の戦争体験…
- 被爆者の語り部実現を!
- 「学校風土」の研究で、「学校とのつながりは、いじめの未然防止に関連」という結果
- コミュニティ・スクールの豊渓中の、「良好な学校風土」を残すべき!
- ねりま羽ばたく若者応援プロジェクト
- 社会的養護での両輪として、子どもアドボカシーの導入を!
- 氷河期世代の正規職雇用、継続を!
と、多角的な論点で質疑しました。
ひとり親家庭体験格差解消プロジェクト
ひとり親家庭自立応援プロジェクト経費で、ひとり親家庭体験格差解消プロジェクトについて伺います。
公益財団法人チャンス・フォー・チルドレンによる、2023年、「子ども体験格差実態調査最終報告書」によると、体験支出の格差が生じる家庭背景として、世帯年収が有意で最も大きく、他に、保護者学歴、居住地域、保護者の体験の有無などが影響。
また、体験を阻害する要因には、経済的事情の他にも様々にあり、
送迎などの保護者の時間的余裕、体力的、精神的余裕がないこと、情報の格差、家庭や地域の文化資本、地理的条件、家族の障害や疾病など要因は複合的。
私自身、ひとり親で、この調査結果は、自分自身の実体験からも、その通りだと実感します。
子どもが若干大きくなって、小さい頃を振り返ってみると、金銭面はもちろんですが、子どもを連れていく時間と気力と体力がない。
日々の子育てと家事と仕事で、くたくたに疲れ切って、体験させたくてもできない、余裕がない。
Q
今回の区の事業というのは、ぜひやっていただきたいと思うのですが、こちらは親子での参加が前提とのことです。
参加したくても、様々な事情からできない保護者もいることから、メニューや年齢によっては子どものみの参加も可とするなど、参加しやすい仕組みを求めます。
A【生活福祉課長】
本事業は、令和4年度に区が行いました実施調査において子どもと過ごす時間が不十分という回答をした方が、その前の平成28年度調査の比例して13ポイント増加してきたことを踏まえて、支援内容を充実するものでございます。
したがいまして、親子で時間を共有していただくよう、一緒に参加していただくことを事業の基本と考えております。実施の中で、実施状況、利用者の意見などを踏まえて、運用については検討してまいります。
【高口】
子どもと過ごせない事情にも目を向けていただきたいと思います。
先ほどの調査では、低所得家庭の保護者ほど、小学生の頃からの体験が少ないとの結果があって、保護者自身が知らない、体験してこなかった、体験させようと考えつかない層もいる。
そういう層へのアプローチの工夫とか、体験活動費の支援、体験奨学金の導入もやっていただきたいと要望します。
平和推進のために
■平和祈念コンサートの語り部
私ごとですが、先日、私の大叔母が95歳で亡くなりました。
実は10年前、2015年に始まった練馬区の平和祈念コンサートでの語り部第1号です。
近くの防空壕が1トン爆弾で潰されて、そこにいた家族3人が亡くなったという桜台での空襲体験について。
また、家族で一番若い人、一人にだけケーキ一つが配給になった時、一番下の弟がみんなで分けようといって、9人家族で小さなケーキを9等分したという戦時下の暮らしの体験談。
そして、大叔母自身が学徒動員で、工場で風船爆弾を作った実体験も語っています。
風船爆弾とは、直径10メートルぐらいの球形に爆弾と焼夷弾をぶら下げて、自動装置つきで、アメリカまで飛んでいく日本の最終兵器で、女学生が当時動員されました。
全部で9千発が飛ばされ、一つがミネソタ州の公園に落ちて、遊んでいた牧師の親子が7人亡くなって、大叔母は自分が被害者であるだけではなく加害者であることも感じたと。
この反省を基に、風船爆弾について語る活動もしていました。
もちろん、他の語り部の方も含めて、戦争の記録を子どもや孫や若者たちに読んでもらって、語ったり話し合っていく事業をして、語り継いでいきたいと切に要望します。
大叔母も95歳ですけれども、2年前まではとても元気でした。戦後80年になって、語り継ぐ活動は今すぐにでも始めないと、本当に遅いと思います。
その中で、区は先日の予算の中で、平和祈念コンサートの語り部について、区外からも探す方針だと答弁しました。
練馬区内には今も語り部活動をされている被爆者の方がいらっしゃいます。区外で探すのだったら、まず区民の語り部に依頼すべきだと思います。
Q
平和祈念コンサート10年目、日本被団協、ノーベル平和賞受賞の節目に、ぜひ実現していただきたいと思います。
候補は検討中と伺っていますが、検討の中に被爆者は入るのか、全く最初から入れないのか、お答えください。
A【総務課長】
戦時体験の講話でありますけれども、区では平和を尊ぶ心を育み、人々に伝えていくという基本的な考え方の下、平成27年度から実施しております。
これまで、区立施設や小中学校で公演されている区民の方を中心に依頼しておりまして、当時の練馬区の様子、東京大空襲などについて語っていただいています。
講演者は戦時体験を語っていただける方にお願いしておりまして、被爆者の方に語らせてないというのではありません。
毎年のアンケート結果では、90%以上の方から平和を考えるきっかけとなったといった回答をいただいています。戦時下での実体験とか、当時の区内の様子などを聞くことは貴重な体験で、国民のニーズも高いというものです。
来年度の講演者につきましては、現在、区内だけに限らず、先ほどお話にありましたとおり、近隣都市、都内で語れる方々についても情報収集を行っております。また、区民の方の講演者の推薦もいただいております。
引き続き、被爆者の方も含めまして、戦時体験を語っていただける方の情報収集に努めまして、講演者の選定を進めてまいります。
【高口】
被爆者も含めてということで、情報収集をするまでもなくおられますので、ぜひ実現していただきたいと強く要望します。
■平和の担当部署をつくり、平和事業の推進を
また、多摩市では平和・人権課を作って、平和事業に力を入れています。
Q
戦争は最大の人権侵害でもあることから。人権課に事業を移して取り組むことも提案いたします。お答えください。
A【総務課長】
総務課で行っている平和に関する業務ですが、平和推進事業の他、核実験等に対する区長の抗議声明や、重要土地等調査法に基づく国への対応など、人権の分野を超えた業務も含まれております。
23区内では総務課が担っている区が最も多く、分掌事務は適切であると考えます。今後も総務課で事業を実施してまいります。
【高口】
ぜひ、検討していただきたいと想います。
課を作ることによって、平和事業をアピールしていくことにもつながっていくと思います。
学校統廃合問題…「学校風土」の観点から
続いて学校適正配置推進経費で、学校統廃合について。
国立教育政策研究所の宮古紀宏氏は、良好な学校風土がもたらす効果を研究、調査報告。
こちらは文部科学省にも提出された研究ですが、
「学校との愛着を意味する生徒と学校とのつながりは、いじめの未然防止に関連する」という結果が出ており、
その「学校とのつながりは、性質上、良好な学校風土の形成により育まれる」。
「良好な学校風土にとって重要であるのは生徒が学校にいる大人、教職員が、学校をどのように認識し経験しているかである」
「大人からの温かみや思いやり、大人は自分を守ってくれる存在であることの実感が、学校とのつながりを間接的に育むことにもつながる」
という結果です。
これはまさに、一般質疑でも述べたとおり、コミュニティスクールである豊渓中学校で実現できていることだと思います。
Q
良好な学校風土や学校とのつながりについて、区の見解が1点、
そして学校統廃合が良好な豊渓中学校等の学校風土を損なうことにはならないか、2点、伺います。
A【教育施策課長】
現在、対象校で地域との関わりは、私どもも、これまでの取組に関して非常に感謝している状況でございます。
学校運営協議会等々は全校展開を考えております。その中で他校においても、こういった取組みを続けていただきたい。また、この地域についても引き続き盛り上げていただきたいということから、今後、協議しながら御理解いただけるように丁寧に努めてまいりたいと考えているところでございます。
【高口】
先ほどの宮古氏によれば、良好な学校風土というのは、価値伝達的、直接的な介入で育むものではない。
つまり、一方的に教えて押しつける、新たに作って、同じようにやってください、お願いしますというだけでは醸成されないものです。
一度奪われたら取り戻せないものでもあり、学校適正配置計画の中止、学校統廃合の中止を強く求めます。
ねりま羽ばたく若者応援プロジェクトでは、子どもアドボカシーも導入を!
続いて、ねりま羽ばたく若者応援プロジェクト経費で、
社会的養護のケアリーバーのアフターケア事業は、私も求めてきて、ぜひやっていただきたい事業という前提です。
子ども家庭費で、「画期的」とか区長を称賛する声もありましたが、こちらは、もともと当事者や支援者が声を上げて実現してきた事業です。
既に取り組んでいる区が6区もあり、全て区立児童相談所設置区、設置予定です。実施の上では先行区のいい点や課題を踏まえるよう要望します。
Q
社会的養護での子どもアドボカシーが制度化され、区立児童相談所設置区では、既に取組みが進んでいる中、今回のアフターケア事業においても当事者中心の制度となるようにするには子どもアドボカシーの導入が必要ですし、制度の両輪として必要だと考えますが、見解を伺います。
A【子ども家庭支援センター所長】
この事業構築に当たりましては、今のお話にございました先行区の自治体の動向等を確認しております。その上で、今回、都立児童相談所との連携で初めて区として事業を行うものでございました。
この事業は、この間、事業構築に当たり、児童養護施設や里親だけでなく、社会的養護経験者の方にも直接お話を伺いながら、内容等を検討してきたところでございます。
今回、当事者の方の声など反映し、生活の支援「ささえる」ほか、居場所では自立した生活を支援するため、住まいや就職に関する相談にも対応するとともに、希望する若者には食料を配布します。また、弁護士による法律相談も行い、社会的養護経験者等が安定した社会生活が送れるよう、継続的できめ細やかなサポートを行っています。
引き続き、社会的養護経験者の当事者や施設、里親などの声も伺いながら、事業を実施していきたいと考えてございます。
【高口】
どの制度でも、当事者、子どもの声を聞いていただくのはもちろんですが、
子どもアドボカシーという制度として導入していくことが、今回のアフターケア事業においては、社会的養護という上でとても重要だと思います。
ぜひ、そちらを導入していただきたいと改めて求めます。
氷河期世代、正規雇用の継続を
続いて職員人件費、会計年度任用職員人件費に関連して、氷河期世代への支援について伺います。
予算質疑で氷河期世代への対策支援が多々出ていました。私たちの会派は、全員氷河期世代のロスジェネということで、今回質疑しようと思いました。
2月末に出たばかりの東洋経済オンラインの記事によれば「就職氷河期世代は経済状況のしわ寄せとその後の政治の無策がいかに人の人生を狂わせ、取り返しがつかないものになるかについての生き証人」と書いてあります。
まさに政治の失策が、30年、日本を停滞させ、少子化を加速させてきた中で、練馬区でも、当時、採用を抑え、今に至るまで、非正規公務員、会計年度任用職員を増やして、当事者目線で言えば、使い捨ての調整弁にしてきました。
こういう雇用の在り方は近い将来崩壊すると思います。
遅まきながら、特別区では、2020年度から5年間、氷河期世代の採用を実施し、区では4年間6人、今年度は2人内定で8名となる予定とのこと。倍率は今年度6.6倍という狭き門ですが、来年度からはこの採用がなくなるということです。
Q
なぜやめたのか、課題や理由が1点、
また、今後、正規職員として氷河期世代の採用について、再開を見据えて特別区で議論いただきたいのですが、区の考えを伺います。
A【職員課長】
まず、職員の採用につきましては、特別区人事委員会による統一選考を行っております。
氷河期世代の採用の終了につきましては、人事委員会から主に3点、聞いております。
経験者採用の資格要件を緩和してきたことによりまして、就職氷河期世代を対象とする採用の資格条件のみを持つ受験者が減少していること。
また、国の近隣の政令市では、就職氷河期世代に特化した採用は終了して、既存の経験者採用の中で採用していくこと。
特別区においても、これまでの経験者採用制度の見直しによりまして、今後、就職氷河期世代の採用を継続していくことが可能であるということ。これらを踏まえて、令和6年度で終了すると聞いております。
練馬区におきましても、今般の人事委員会の取扱いにつきまして特段異論もないところですし、各区からも異論は出ていないところです。
練馬区でも、今後、経験者採用を強化しまして、引き続き、就職氷河期の採用も含めて、人材確保に注力して取り組んでまいります。
【高口】
国は冷たいなと思います。
※ここで時間切れでした…引き続き、安定した雇用等、求めていきたいと思います。