【高口・予算質疑】遊ぶ権利と公園、大二中の問題

2025年2月27日、練馬区議会・予算特別委員会「都市整備費」での高口の質疑です。

  • 遊ぶ権利と公園
    • 公園の暑さ対策
    • 体験格差解消の観点でも…花火ができるように!
    • 事故防止とリスクベネフィットアセスメント
  • 大二中の問題
    • 方針に、デメリットの記載を!
    • 区職員にも高ストレスの仕事…トップの責任は?

といった論点で質疑をしました。


遊ぶ権利と公園

  1. 公園の暑さ対策

災害級の暑さの中で、もはや夏は子どもが外で遊べない状況にあります。

こどもの権利条約31条の遊ぶ権利が、気候危機によって侵害されており

対策が必要ななかで、

みどり推進課管轄の「こどもの森」等には夏場、ミストシャワーやタープが設置されます。

専門用語で「寒冷紗」というそうです。

Q

公園にもぜひ、そういった暑さ対策を行っていただきたいですが、見解を伺います。

A【道路公園課長】

公園は区民の皆様が憩い、遊び、運動するなど、快適な都市生活を支える大切な都市基板でございます。公園利用者が安心して快適に利用できる環境を整える事が大切だと考えております。

現在公園では、夏場はよしずを設置するなどして、木陰を作ると共に、昨年の夏は水施設の稼働時期を前倒しにして早めました。今年の夏も長期予報を見ながら水施設の稼働時期につきましては検討していきたいと考えております。

また来年度からリニューアルに取り組む平成つつじ公園では、公園利用者からのご意見を取り入れまして、賑わいを創出する空間付近に噴水デッキを設置しまして、子どもたちは遊びながら、また大人たちも涼を得ながら楽しめるよう設計の方を進めております。

引き続き、昨今の夏の暑さを考慮しながら快適に使える公園づくりを進めて参ります。

【高口】

みどり推進課管轄の「こどもの森」等でできることも含めて、対策を進めていただきたいと思います。

  1. 体験格差と花火の体験機会

夏の伝統・風物詩である花火も、今は公園で禁止に。

子どもの体験の機会が、社会状況の変化とともに、乏しくなっています。

子どもに夏の思い出をつくりたい、体験させたいと思っても、その場がない。

子どもの「体験格差」が社会問題となり、今回ひとり親支援として、区も体験格差解消の予算をつけた中で、自由で豊かな体験のできる環境を、身近に整えることも重要です。

2026年度予定の公園のリニューアル計画を策定する上でも、最も身近な遊び場である公園においても、体験格差を解消していく観点を盛り込んで頂きたいです。

区長が変わった杉並区では、一定の条件のもと、夏の間に花火ができる公園を設けました。

Q

練馬区でも、たとえば、打ち上げ花火や音の大きい花火は不可といった、近隣にご迷惑にならないルールを設けた上で、花火のできる場所や時間を設けてほしいですが、

子どもの体験格差を公園という身近な場で解消していくことへの見解とあわせて、伺います。

A【道路公園課長】

公園での花火利用について。以前他の会派のご答弁でも申し上げましたが、区民の皆様が四季折々を満喫し、楽しい思い出づくりをできるようにする事は大切なことだと考えております。

区立公園は規模が小さく、周辺に住宅が建ち並んでいる場所が多い為、他の利用者や近隣の方々に迷惑となる花火の使用は禁止をしております。

現在各公園のもつ機能や特徴、規模等を踏まえました改修を計画的に進めていくための検討を進めておりまして、令和8年度にその計画を策定する予定でございます。

規模が大きく、近隣の理解を得られる公園につきましては花火の利用などこれまで以上に多様な利用ができるよう検討を進めて行きたいと思います。

次に子どもたちの公園遊びですとか、体験について。

公園は子どもたちにとって一番身近な遊び空間でございます。公園管理者の立場で申し上げますが、子どもたちには様々な体験を通して色々な思い出づくりをして欲しいと思っております。

一方で、公園の管理運営面で申し上げますと、周辺の方ですとか他の公園利用者との調和も不可欠になってきます。

様々な価値観のある中でひとつの答えを出す事は難しい面もございますが、色々な意見をお聞きしバランスを取りながらその方策について模索していきたいと考えております。

【高口】

色々な意見があると思いますが、子どもたちの豊かな体験ができる環境という点も含めていただきたいと思います。

 

  1. リスクベネフィットアセスメント

色々な体験をする場が公園だと仰っていただきましたが、

遊び場と遊具の環境と、事故防止等を考える際に

「リスクベネフィットアセスメント(RBA)」という考え方があります。

重大事故の危険因子を取り除くのは大前提の上で、

「その遊びで子どもが手にする効用=ベネフィットが、直面する危険=リスクに見合っているかを、アセスメント=事前評価する」

というもので、プレーパークではプレーリーダーが現場の判断で随時行っています。

たとえば、たき火なら、やけど等のリスクはあるけれど、火の使い方を学べる等のベネフィットがあります。

ベネフィットとリスクを評価し、ベネフィットが上回れば行う価値がある、ということです。

リスクゼロを前提にすると、結果的につまらない公園、子どもが誰も来ない公園になります。

子どもの遊びの支援団体として有名なTOKYO PLAY 嶋村仁志氏によれば、

子どもを完全にケガさせないよう真綿でくるむような子育てを

「コットンウールカルチャー」といい、

危険を避けるだけでは、子どもの育ちに重要な要素が手に入らないこと、

子どもが「成長の段階に合った適度な危険」に触れ、豊かに成長発達するために、

子ども自身が危険との付き合い方を学び、大きな事故を防ぐことが大切。

そのためには、「残すべき危険、取り残す危険」を整理し、

大人が「何が危ないのか」を学ぶこと、それを周知啓発していくことが重要

…と述べています。

Q

リスクベネフィットアセスメントについての見解と、

その考え方を、保護者含めて周知啓発していく重要性についての見解、2点伺います。

A【道路公園課長】

子どもたちに取りまして、リスク管理をしっかりしながらのお話しになりますけれども、様々な体験や、何かに挑戦する機会を作るという事は必要な事だと考えております。

一方で施設の管理者としまして、重大事故につながるようなハザード、これはしっかり排除していかないといけない。そういうふうに考えております。

区ではプレイリーダーを配置し、冒険遊びができる子どもの森も整備して参りました。7年度はその確証にむけて基本設計に着手をいたします。今後も様々な体験が出来ます環境づくりの方努めて参りたいと考えてございます。

併せて、保護者への周知でございますが、リスクに関しては様々な考え・受け取り方がございます。しっかり意見を聞きながらそちらの方も対応していきたい(と思います)。

【高口】

リスクとハザードの違いも語りたいところですが、割愛します。

ハザードの排除は当然として、嶋村氏は、公園含め「禁止ばかりの文化の原因」が、「関係の貧困」だとも指摘しています。

公園のコミュニティ形成によって「関係の貧困」が改善する取組みも、公園リニューアル計画に検討願いたいと思います。

  1. 遊具のRBA(リスクベネフィットアセスメント)

EUを中心に世界34か国で採用され、

世界で最も権威ある「遊び場と遊具の基準」が、「EN1176」です。

この基準・規格は、遊具本体ではなく「子どもが遊ぶこと」を中心に置いて策定され、

膨大な事故事例のデータをもとに改訂・改善が行われ続けているのが特徴です。

また、子どもの発達と学習には、ある程度のリスクが有効であり、子どもがそのリスクを体験することが重要だとしています。

その際、リスクアセスメントを活用し、安全性とベネフィットのバランスを管理することが推奨されています。

この「EN1176」は、日本でも2002年の安全基準制定の際に「参考」としているそうです。

Q

この「EN1176」 を策定するのが「CEN」=欧州標準化委員会で、

CENが認定する国際遊び場検査士機構(RPII)という機関があり、そこが遊具と遊び場の設計・検査・リスクアセスメントができる検査士を認証しています。

練馬区でも、遊具の交換や公園のリニューアルにおいて、子どもの成長発達の観点からも、遊具だけでなく遊び環境全体を含めてリスクベネフィットアセスメントを行うとともに、それができる専門の検査士に依頼してはどうかと思いますが、見解を伺います。

A【道路公園課長】

公園の整備や管理につきましては従来のやり方のみならず、専門的な意見など多様な方に関わっていただきまして、より良い空間としていく取り組みは大切でございます。

来年度、田柄地域での公園整備では、地域の皆様と整備内容について検討する場を設け、特色ある公園づくりに携わった方からアイディアをいただき検討していくことを予定している。

引き続き公園が魅力的な空間になるよう、公園利用者の意見も聞きながら検討していきます。

【高口】

ぜひRBAの考え方を取り入れていただきたいと同時に、

利用者の意見とありましたが、公園の遊具の交換や、公園リニューアルにあたっては、「子どもの遊具は子どもが決める」を基本方針とし、

ワークショップ等を通じて意見聴取し、こどもが遊具や遊び方を決められるように求めたうえで、続いて…

大二中の問題

  1. デメリットも説明を

『大泉第二中学校の教育環境保全と大泉学園駅南側地区まちづくりの取組方針』で、

大二中を補助135号線、補助232号線という2つの道路で分断する計画が示されました。

学校統廃合同様、子どもに大きな衝撃を与える計画ですが、

デメリットが書かれておらず、

運動場が狭くなること、

第二運動場まで片道250-300メートル、往復5-600メートル、10分程度を想定しており

交通事故の懸念、時間や労力、負担がかかること等、

デメリットは一切出てきません。

こども版資料にも、メリットのみを記載しています。

教育学者の田中孝彦氏は、

「大人が、『うまくいく』というメッセージを送れば」

「子どもはそれに合わせて~大人が安心できる答えをし」

「本当は感じている悲しみ、苦しみを抑圧せざるを得ない」と述べています。

Q

計画で、メリットのみ書くと、子どもたちは素直な気持ちが言えなくなるという

子どもへの影響も含め、後々に問題を引きずることになります。

きちんと計画のデメリットについても真摯に記載し、説明すべきと考えます。

区はどのようなデメリットを想定しているかとあわせ、見解を求めます。

A【特定道路課長】

当地区では、学芸大通りやロード富士見など生活道路の通過交通が流入し、歩行者や自転車の安全確保など、交通環境の改善が課題となってございます。当地区の課題を抜本的に解決する為には、土地計画道路の整備が必要不可欠でございます。本方針素案の作成にあたり、有識者委員会をのべ23回開催するなど、多くの時間をかけてこれまで検討を進めて参りました。このため方針策定までに時間を要しており、地域の方々にはご迷惑をおかけしております。有識者委員会の提言をふまえ、大二中の教育環境の保全と地域の課題を抜本的に解決する為には、今回公表した案がベストであると考えてございます。先般、保護者説明会やオープンハウスを開催し、地域の方々から様々なご意見をいただいた中で、第二運動場までの移動における安全対策について、ご質疑をいただいたところでございます。今後具体的に検討を進める中で、課題についての対応策などもお示しし、地域の方々にご理解をいただきながら、進めて参りたいと考えております。

【高口】

具体的にどんなデメリットがあるかと聞いたのですがそちらはいかがですか。

【特定道路課長】

デメリットについて端的にお答えするのであれば、本取り組み方針を策定しないこと、もしくは策定までに時間を要することが、地域の方にとって最大のデメリットであると考えてございます。内閣府の発表におきますと、首都特化地震の発生率は向こう30年で70%。東京都防災会議の被害総計では練馬区の消失家屋は1万1千棟とされております。

これは阪神淡路大震災の7400棟を大きく超えているもの。本方針を速やかに策定し、都市計画整備を含めたまちづくりを進める事で、当該地域の課題を抜本的に改善していきたいと思っております。

【高口】

ベターでもなく、「ベスト」だと。

デメリット…子どもたちが第二運動場まで歩かなくてはならない事とか、そこに関わる負担ということも、一切デメリットではないというふうに区が考えているとわかって

とても残念です。

  1. 区の職員の負担

次に立ち退きについて伺っていきますが、

立ち退きは、当事者の区民にとっては生活を大きく揺るがす大問題です。

新しい土地での生活再建は相当な負担と高いストレスのかかることで、

不安や動揺を表すのは当然であり、反対をする権利もあります。

結果、区の職員にとっても、道路事業での用地買収や立ち退きの交渉は、

大変な労力と大きなストレスがかかることになります。

「長年住んだところをなぜ追い出すんだ」と強く言われることもあると事前に伺っておりますが、

Q

現在何人で業務を行っているかと、

どういった点が大変か、具体的なエピソードも含めて、伺います。

A【特定道路課長】

現在用地取得につきましては8係16名で対応してございます。

用地接収を進める上では個々の権利者の要求に応じた対応が必要になることから全く苦労がないわけではございませんが、事業完了後に区へ協力して良かったと言っていただくことも多々あり、やりがいのある職務であると認識しています。

地権者一人ひとりに寄り添いながら丁寧に接収を進めて参ります。

【高口】

表では言えないので、余計大変だなぁというのがよくわかりました。


残念ながらここで時間切れ…

区はいいことしか言わない、言えませんが、「協力してよかった」とは言わない人がほとんどだろうと思います。

また、別の日の予算質疑では、衝撃の答弁も…!

別の道路事業の立ち退きで、区職員に会うことを拒否している地権者に対して、

毎週、3ヶ月通い続けた挙句、なかなか会ってもらえないから、「食品業者(宅配)のあとをつけて」、接触し、立ち退かせた…という事例を、”成功事例として”語っていました。

「地権者一人ひとりに寄り添いながら」と述べながら、その実情は、会いたくないという地権者に、業者の「あとをつけて」まで接触する、という…

これが区のいう「寄り添い」だということです。

 

また、別の質疑では部長が「公務員のやりがい」を語っていました。

公務員のやりがいは、区民の幸せのお手伝いだと思いますが、道路の立ち退きでは、苦しむ区民が出てくるために、どうしても、理念と反することになります。

特に大二中は、子どもたちに負担をかける構造となっており

まともな良心があれば、そういう仕事をすることの申し訳なさのようなものも感じるのではないかと思います。

特に、子どもに負担をかける仕事というのは、誰だってつらいものです。

それは、保育園の民間委託や学校統廃合でも同じなわけですが…

公務員のなり手不足、人材不足が、予算質疑でも多く出ましたが

その観点からも、そもそも職員に高いストレスをかける仕事をつくらない、

そうなる事業を行わないことが、上、トップの務め。

区職員の心身の健康のためにも、計画の中止が必要です。

大泉井頭公園の質疑も用意していましたが、また別の機会で質疑できたらと思います。