練馬区立総合体育館改築に向けた取組み、都区財政調整の課題は…【2025/2/14総合・災害対策等特別委員会】
2025年2月14日(バレンタイン)、総合・災害対策等特別委員会のレポートです。
総合体育館改築に向けた取組み
昭和47年開設、練馬区立美術館より古い、練馬区の総合体育館。
これまで、としまえん閉園前、練馬城址公園の計画が立ち上がる前は、
「としまえん跡地に移転を!」という意見も出ていましたが、
(としまえん…嗚呼…涙)
改築については、費用の問題で、先送りになっていました。
2024年3月策定の『公共施設等総合管理計画実施計画』で、現在地での改築が示され、その形で動き始めています。
今回は、区職員による視察や、来年度行う環境調査についての報告でした。
他自治体体育館の視察
区職員が、近年開設した近隣自治体体育館6ヶ所を視察。
参考となった取組みを、挙げています。
- 可動・収納式柔道場:畳がジャバラ状に折りたためて、サブアリーナ的に使える
- 屋内弓道場:矢道がデッドスペースになりやすい→人工芝を引き、弓道で使わないときプレイルームに
- 屋内相撲場:稼働率が低い施設。相撲で使わない時、土の上でヨガやフィットネス
- アリーナに輻射式冷暖房:2−3mの人がいるところだけ温めるので省エネ効果、風の影響を軽減できる(卓球の球など)…など
- イニシャルコストはかかるが、ランニングコストは滞留式より安い
【高口質疑】交通の利便性が重要!
総合体育館の一番の問題は、交通・アクセスの不便さ。
実際、利用者は近隣が7割。
「地域体育館」ならそれでよいのですが、「総合体育館」なら、どこに住む区民にとっても使いやすくなるよう、アクセスのよさは必須の課題です。
体育館自体は、もちろんしっかりしたものを…と思いますが、
一方で、ランニングコストとして、バス、オンデマンドタクシー等が使えるようにし、
交通の利便性を重視してほしいと求めました。
今回の視察で、アクセスの悪い施設には行かなかったとのこと。
来年度行う調査のなかで、しっかり調査してほしい、と求めました。
【高口質疑】駐車場も増設を!
駐車場についても増設を求め、
「現在の100台の倍近い、以前200台の計画を立てたので、次計画でも倍近く(200台)は…」
との答弁を得ました。
他議員の質疑より
Q:用途地域の変更はできないのか
A:住居系用途地域で、高さ制限は17メートル。
用途地域の変更は難しい。
当初の11000㎡から5000㎡買い増し、現在16443㎡に。これで計画する。
Q:プロリーグの誘致を
A:メリットもあれば、その間区民が利用できなくデメリットもある。
Q:予算は?
A:現時点では答えづらい。調査を含め、必要なものを考えて費用を積み上げる。
*美術館の3−4倍、300億円かけてもいい!というような発言をする議員もいて、驚きました…
都区財政調整の課題
都区財政調整制度とは?
東京都と特別区(23区)だけの、特別な財政の制度です。
すごくややこしいので、細かい部分は省いてざっくりいうと、
①固定資産税、②市町村民税法人分、③特別土地保有税
→この3税を「調整税」と呼びます。
23区(特別区)と東京都は、
この「調整税等」の一定割合を、配分しています。
一度東京都がまとめて調整し、配分割合や算定等に応じて、各区に配分する…という仕組み。
普通の市町村は、この調整税も自分たちの財源として自由に使えるので、特別区ならではの制度です。
その配分割合や、どういう事業に対してどのくらい配分するのか(算定)といった協議を、毎年、東京都と特別区側で行っています。
今年度の協議についての報告がありました。
①区児相に関わる配分割合の変更
大きな変更点は、配分割合が変更されたこと。
配分割合の引上げは、特別区側はずっと求めてきましたが、
毎年行われるわけではなく、今回の引上げは、かなり特別なことです。
きっかけは、区児相(区立児童相談所)が設置されたこと。
それにより、配分割合の協議が、都と特別区の間でスタートしました。
それ以前は「区55%:都45%」で、
区児相を設置する区が出たことから、
ここ数年は「0.1%」だけ特別区側が増え、「区55.1%」となっていました。
それが今回、さらに「区56%:都44%」と、特別区側が増えました。
東京都側は、区児相設置による変更とは認めていませんが、
特別区側は、区児相設置による変更だ、との見方ですが、
区児相の設置によって、長年の念願だった、配分割合の増加を獲得できた、と言えます。
練馬区は、区児相設置をしようとしていないので、”漁夫の利”と言えなくもありません。
②特別交付金が1%増加
一方で、区側にとっては望まない変更もありました。
これまで「普通交付金95%:特別交付金5%」
の割合だったのが
↓
「普通交付金94%:特別交付金6%」
と、特別交付金が1%増えました。
※上記で説明した「特別区側に配分される56%」を、「普通交付金94%:特別交付金6%」で配分する……というもの。
これが何を意味するかですが……
普通交付金は、各区が自由に使えます。
ですので、区は基本的に、普通交付金のほうがいいのです。
実際に特別区側は、「普通交付金を2%増やす、特別交付金を2%減らす」ことを主張してきました。
一方、特別交付金は、使い道が都によって限定され、自由になりません。
何がどう算定されたのか、各区で公表されておらず、不透明、”ブラックボックス”化してしまう問題もあります。
都としては、交付金のハンドリングがしやすいので、特別交付金を増やしたいのです。
特別区は、普通交付金がいい。
都は、特別交付金がいい。
ですので今回、特別交付金の割合が1%増えたことは、都側の主張が勝った、という見方ができます。
都は、配分割合を「区56%:都44%」とし、特別区側に譲歩するかわりに、
特別交付金は1%増やし、都に有利にした…
…という落としどころで、都区間で合意した、と考えられます。
③金額はどう変わったのか?~配分割合の増額は240億円
配分割合が特別区側が「56%」に上がったことで、
実際に増えた金額は、特別区側に240億円の増。
240億円のうち、普通交付金は70億円で、特別交付金は140億円です。
特別交付金のほうが倍多いのです。
配分割合の変更は、区児相設置によって動いた…と、先述しましたが、
区立児童相談所の経費は、普通交付金で算定されます。
区児相設置によって配分割合が増えたのに、
区児相に関係のない特別交付金のほうが多く増える
……というのは、どうも腑に落ちません。
今回、240億円、特別区側に入ってくることになりますが、
区立児童相談所の運営経費に関する算定は増えないのでは?という意見もあります。
区児相設置によって、配分割合は増え、特別区側に入ってくるお金は増えたのに
区児相への予算が増えないのであれば、納得のいかない話です……。
③金額はどう変わったのか?~特別交付金は100億円
特別交付金の割合が、1%増えたことで、動くお金は、約100億円。
これまで普通交付金、つまり区側が自由に使えたお金のほう、100億円減り、
使い道が限定される特別交付金のほうに100億円が回った、ということです。
ちょっとややこしいですが……
練馬区の財政を左右する、都区財政調整制度。
特別区の一つである、練馬区の財政を語るうえで欠かせません。
知ってもらえたらありがたいなと思います!