認可保育園増設を求める陳情、0歳児保育休止の撤回を求める陳情、2件の陳情質疑&結果【2025/2/13,17文教児童青少年委員会】

2025年2月13日、文教児童青少年委員会で、
保育園に関わる2件の陳情の質疑が行われました。

以下、レポートします。

◾️陳情の概要

陳情70号「認可保育園の増設を求めることについて」

 

陳情81号「令和7年度光が丘第二保育園、光が丘第十一ほいくえん、富士見台こぶしほいくえんにおけゼロ歳児受入れ休止決定の撤回について」

どちらも、保育の充実を求める主旨の陳情です。

陳情81号は、区立保育園3園で、0歳児保育の受入れ休止があり、その撤回を求めています。
↓その経緯はコチラで↓

【高口ブログ】0歳児保育が休止に…他【2024/8/2文教児童青少年委員会】

論点

【論点1】きょうだい児で同じ園に入れず…

今回、3園で0歳児募集を停止したために、きょうだい児で入園ができなくなりました。

在籍の保護者から、問い合わせがあったすべてが、
きょうだいで同じ園に入れないことに対するものでした。

区は、「お詫び」して「説明」した、としていますが
きょうだいで同じ園に入れたい、という高いニーズは、なぜ無視するのでしょうか……。

【論点2】0歳児保育は、本当に空きが多いのか?

練馬区は、0歳児保育の需要が減り、空きが増えているので、募集を停止する、としています。
しかし、実態はどうでしょうか?

↓こちらは練馬区の資料です。

見てのとおり、11月時点で、3園の空きはほぼ0。
わずか1年、1園で、11月時点で2人空きがあったに過ぎません。
他はすべて、埋まっています。

石神井エリア、光が丘エリアでも、ほぼ0。

これだけ見ても、
「0歳児の空きはない」のが、一目瞭然です。

【論点3】0歳児で、1336人が非内定者!

情報公開請求をもとに、保育問題協議会さんからご提供頂いたデータがこちら↓

2024年11月、0歳児の内定者数は…

  • 内定者数:36人
  • 非内定者数:1336人
  • 合計:1372人

つまり、1372人の希望者のうち、1336人が入れていないのです。

練馬区は、この点を聞かれると、なんと

  • 区:公開請求されたデータを「持ち合わせていない」「お答えしない」

と、答弁せず!

公開請求=練馬区が出した数字ですよね?

「入園を申込いただいた結果、入れなかった」
と認めたものの、「数字を積み上げた」ものだ、と、0歳児保育の需要は認めませんでした。

【論点4】1歳児保育のニーズにつながる問題

0歳児の保育の需要は、「1歳児の待機児童が多いから、0歳のうちに入れておきたい」という状況もあるでしょう。

1、2歳児の保育需要のひっ迫が、0歳児のしわ寄せにもなっている、と考えます。

その点を踏まえると、「認可保育園を増設すべき」という、もう一つの陳情の意義が、鮮明になります。

【論点5】数字を出さない練馬区

現在、1次の応募状況が発表されたばかり。

4月入園の1次申込の「希望数」(申込み総数)について

  • 昨年(2024年):5117
  • 今年(2025年):5224

ということは、議会で確認できました。

しかし、肝心の「募集数(欠員)」は、明らかにせず。

希望者数(申し込みの数)は出すものの、
募集総数(欠員、空きの数)は出さない……

これでは、どのくらい空きがあるのか、足りていないのか、議論、検証することができません。

【論点6】実態は、希望数に対し、空きは不足

情報公開の資料をもとに保育問題協議会さんから提供頂いた資料によれば、

希望総数5224名に対し、
募集総数4713名で、
1106名も足りていない状況。

その点の認識を練馬区に問いましたが、
どういう数字かわからない、と答弁逃れ。

そう言うのであれば、きちんと練馬区として、数字を出すべきです。

【論点7】隠れ待機児童の問題

練馬区は、最終的には、待機児童がゼロになっていると言いますが、
実際には、昨年も「認可保育園に入れなかった」数が、571名。

この10年で、407名〜978名おり、
ここ数年は、400から500名台で推移しています。

保育園に入れず育休延長をした、
思いと違ったので諦めた…などを含んでの
公称「待機児童0」。

練馬区議会の他会派からは、認可保育園は充分足りているから増やすべきではない、と主張する向きがありますが、

この、いわゆる「隠れ待機児童」の問題に取り組まない限り、「認可保育園は足りている」と言えるのかどうか、正確な把握はできません。

その意味で、この陳情の主旨に賛同します。

【論点8】練馬区の無認可園で起きた死亡事故を、忘れないで…

私自身は、子どもを認証保育所や練馬こども園にも入れており、すべての無認可が悪いとは思っていませんし、言ってもいませんし、また、保育への理念・思いがあって、あえて認可をとらない場合があることも知っています。

しかし……練馬区が、
無認可でも基準を守り、区が確認している、
事故等について何も問題ない、
と何度も答弁しているのを聞いていると……

まるで、数年前、練馬区の無認可保育園で、実際に死亡事故が起こり、お子さんが亡くなられたことが、なかったかのようで……

命が失われたこと、死亡事故がなかったかのような答弁は納得しがたい、と述べました。

【論点9】新しくなった資料から消えたデータ

ちなみに練馬区は、今年度から、「第1次保育園等利用時申込状況」の様式を変更。

見やすくなったのは確かですが、

一方で、大切な「総合計」(希望数がどのくらいあるか)や、
第一希望か、全体の希望数がなくなり、
倍率が全くわからなくなりました。

待機児童の影響を、資料の中で、より見えにくくした……と感じます。


陳情の結果

2025年2月17日の文教児童青少年委員会にて、陳情の審査(採択・不採択の結果を出す)が行われました。

その前に、陳情70号は、最終的に1700名を超える署名数
になったと、報告がありました。

■採択(陳情に賛成)

  • インクル(高口)
  • 共産党
  • 生活者ネットワーク

■不採択(陳情に反対)

  • 自民党
  • 公明党
  • 立憲民主党
  • 維新の会

……ということで、反対多数で、不採択となりました。
残念ですね…

議会最終日(3月14日)、陳情の討論を行う議員がいると思います。

最終日まで、ご注目ください。