練馬区立美術館・貫井図書館改築の「コンストラクションマネジメント」、効果はわずか。概算は110億円超え確定!

2025年2月13日、文教児童青少年委員会のレポートです。

練馬区立美術館・貫井図書館改築の「コンストラクションマネジメント」

問題しかない、練馬区立美術館の改築…
当初79億円が、1.5倍の109億円に膨れあがり、
あまりに高すぎる工事費のため、
練馬区が「コンストラクション・マネジメント」を行うと発表。

コンストラクションマネジメントって何?
効果はあるの…?

質疑の中から、概算がさらに上がると明らかに!

以下、解説します。

■コンストラクション・マネジメントとは

※以下「CM」と記載します

練馬区の説明は、こちら↓

ざっくり言うと……工事の工程や工事費を見直し、スケジュール短縮、コスト削減をはかる業務のこと。

CM自体の予算は、3355万円。

「委託経費以上の削減を期待」
という区の答弁には、苦笑してしまいました…

あたりまえでしょうが、と…!!!

■109億円に、工事監理費などは含まず!

練馬区は、現時点の概算を「109億円」と発表しましたが、
実は、それ以上かかるのです。

「ここに、工事監理費は含まれるのか?」
と高口が質疑したところ、
「含まれていない」と回答。

しかも、工事監理費がいくらかは「わからない」とのこと。

2022年7月に、工事監理費+備品購入費で約5億円と示しています。

2024年2月19日の委員会では、
美術の森緑地の改修工事費で1.5億円と答弁。

そこから値上がりしている可能性も高いですが、
5億円+1.5億円を109億円に加えても

合計115.5億円!

すでに120億円が見えてきました……。

さらに、中村橋駅周辺の整備もあわせたら、一体いくらになるのか……

しかも、上限も示さず、
いくらになるかもわからない状況。
おそろしすぎます。

■練馬区の事例で、削減校歌は1千万円未満!

練馬区では、学校の改築で、CMを入れたケースが、2校あります。

①上石神井北小学校→7850万円
②旭丘の小中一貫教育校→6千万円

CM委託料は、合計で1億3千万円!
(R1:2970万円、R2:3960万円、R3-4:5970万円)

削減できた分から、かけた経費を引くと、
実際の効果は2校あわせて850万円程度、1千万円を切っています…

旭丘の小中一貫校に至っては、現段階の工事費が約80億円。
総予算に比べたら、効果は限定的です。

CMをすれば驚く程予算が削れるような、
“魔法の杖”では、ないのです。

また、”アート”な建物では、CMの効果も限定されるのでは?
との声は、他議員からも上がりました。

■入れるなら最初から入れておけば…

①上石神井北小学校→基本設計から
②旭丘の小中一貫校→基本構想の段階から

つまり初期から、CMを入れています。

上北小の場合、その後の校舎改築の標準仕様を見直す意味もあり、ノウハウが他校改築にも使えます。
しかし美術館の改築は一度きりで、その効果もありません。

また、旭丘小中一貫校の場合は、構想、本当に初期の段階から、4年間(2019〜2022年度)CMを入れていました。

今回の美術館改築では、実施設計がほとんど進んだ段階で、CMを入れます。

事業者からは「どの段階で入れても大丈夫」と言われたそうですが、入れるなら最初から入れておけばよかったのでは…?

上記を問うと、練馬区は

「公共施設の入札不調が多く、慎重を期する」
「極力発注に近いタイミングが有効」
と、CMを入れた時期について説明しましたが、本当にそうでしょうか?

■そもそもなぜCMが必要?

シンプルな疑問です。

設計のプロポーザルで、79億円という工事費は示されていました。
その上で、設計事業者を決定したのです。

それがなぜ、109億円にも膨らんだのでしょうか?

物価高騰があるにせよ、
最初から、工期や予算を最小に抑えられる設計会社にすべきだったのでは?
専門のコンサルタントに委託しなければ、コスト削減ができないのでしょうか?

練馬区の説明では
・練馬区側の意向を踏まえて実施
・設計者の意向を尊重する
との説明。

一方、今回のCM業務には、
「VE/CD検討支援業務」も含んでいます。
VE=バリューエンジニア
CD=コストダウン。

「VE/CD」はそもそも、現在の設計事業者と、設計段階で行う業務に入っていますが、分科会の中で「各々」進めており、
「まとまった形」では行っていません。

そもそも、設計段階でやればよい業務なのではと…思ってしまうのですが……。

■予算成立前、説明もなしに、事業者募集を開始!

CM業務の委託事業者は、なんとすでに、1月23日募集を開始してしまっています。

※スケジュール
→*画像入れます(議会資料UP待ち)

来年度予算はまだ成立しておらず、議会への報告も、区民への説明も後回しで、
募集を始めてしまうとは…

これだけの大問題で、
最低でも、議会質疑を受け、予算が通る=区民の信託を受けてから進めるべきではないでしょうか?

議会軽視、区民軽視と言われても仕方ありません。

■解体工事も後ろ倒しに

「実施設計は7月に終了しない見通し」
と、設計延期を表明。

解体工事は、今年11月頃と説明していましたが
「後ろ倒しの見込みある」
「年内発注、年度内工事着手めざす」
と、延期を示唆。

工期についても「後ろ倒し」の可能性を示唆しつつ、
「CM完了後に示す」と濁しました。

現時点で、本来のスケジュールからどのくらい延びる見込みで、CMによってどのくらい短縮したいのか、それができなければ改築を見直すのか、区としても見込みも想定もないのでしょうか?

■工期が延びる影響は?

工期が延びれば、区民への影響が長引きます。
特に貫井図書館は、生活に欠かせない、利用者も多い施設。
できるだけ閉じないように、せめて、解体するにしても時期をずらすなどしては?
(もちろん解体自体、反対ですが)
と聞いても、

区「適切なタイミングで」
との回答。

どんなタイミングでしょうか…
改築ではなく改修なら、工事も長引かず、閉まる期間も少なく済むのですが…

■青天井、聖域化した恐るべき計画

CMを行うなら、最低限(本当に最低限)精査できる金額や工期の見通しを持ち、結果によっては計画を見直すべきです。

「青天井でいいとは思っていない」と、
さすがの与党からも苦い発言がありました。

一方で練馬区は、
「(計画の)中止を考えてCMの委託はしない」
と発言。

何がなんでも、いくらになっても、進めるつもりでしょうか…
区民の税金をなんだと思っているのでしょうか…?
おそろしすぎます…

■工事受注の意欲も調査??

今回のCM業務内容には、
「サウンディング型市場調査支援業務」
なる項目も書かれています。

区のよると
・民間事業者と意見交換、アイデアを把握する調査
・「受注意欲も調査」
とのこと。

「公共施設の入札不調が多く、慎重を期する」
との答弁もあり、

総合すると、
・工事を引き受けてくれる会社がいないかもしれない
・調査で、引き受け先も探しておこう
といった目論見でしょうか…?

なぜ、そこまで、練馬区立美術館改築にばかり必死になるのか、訳がわかりません。

区民に必須な施設、不可欠な工事でも、
資材不足、人手不足による遅れが生じています。

区民の基本的な生活に支障が出ないほうにこそ、
この本気を出してほしいと思うのですが…。