【練馬区議会】2025年第1回定例会、議案解説!(追加解説あり)
2〜3月開催中の、練馬区議会2025年第1回定例会。
その議案(条例改正など)のうち、重要なものを解説します!
【参考】練馬区議会HP 議案一覧
https://www.city.nerima.tokyo.jp/gikai/kaigi/r7/dai1teirei/0701gian.html
追加の議案(3月4日)
*2025年3月4日に追加され、質疑・審査が行われた分です。
*質疑は全員協議会(非公開)で行われたため、議事録には載りません。
2025年度国民健康保険料(国保料)の改定
■前提
・国保料は、特別区で統一
*ただし2区は独自保険料、21区で統一
・2月の特別区長会で、共通基準を設定
→今回の区の改正へ
■納付金が減額に
都の算定により、その年度の練馬区の納付金額が決定します。
2025年度の練馬区の納付金額は、215億円。
前年度比でマイナス10億円。
上がり続ける一方の納付金が下がるのは、とても珍しいこと!
■なぜ下がった?
理由は複合的です。
コロナ禍の受診控えを経て、2022−2023年度は急増。
毎年、前年度の推計値で納付額が決定されるため、2024年度は過去最高の納付額に。
しかし、2024年度は予想よりも実績が伸びず、推計より下がったため、2025年度の納付額が下がることにつながりました。
他にも、医療報酬の改定で薬価が下がったことや、
コロナの特例加算がなくなったことなど、複合的な要因があるとのことです。
■1人当たりの保険料額
0〜40歳未満、65〜74歳(基礎分+支援金分):152,673円
前年度比:マイナス3,874円(2.46%減)
40〜64歳(基礎分+支援金分+介護分):192,238円
前年度比:マイナス3,781円(1.93%減)
約3800円程度、保険料が下がることに。
ただしそもそも、昨年度、+13000円もの保険料の増額となったことに、注意が必要です。
一昨年度から比べると、プラス9000円の状態。
■約1千万円が増減ライン
また、実際の保険料は、世帯年収や構成で決まります。
1000万円ほどがラインで、
世帯年収が 1000万円以下なら保険料は下がるけれども、
1000万円以上だと上がる…
ざっくりそういう状況になりそうです。
↓試算
■2026年度はまた上がる?
2025年度は下がるとはいえ、2024年度より下がった、というだけ。
2023年度で2.8%の伸び、
2024年度も前半までで1.3%伸びているので、
伸びていることに変わりはありません。
ですので2026年度、また上がる可能性も…
2024年度の納付金が高すぎた、つまりたくさん払っていて、その余剰金があるわけだから、それを使って、2026年度の保険料も上がらないように、都には算定の際、考慮いただきたいと思います。
家庭的保育事業(保育ママ)や小規模保育での規制緩和
*練馬区家庭的保育保育事業等の設備および運営の基準に関する条例 *練馬区特定教育・保育施設および特定地域型保育事業の運営の基準に関する条例の改正
■主な改正内容
制度自体は、2015年にスタート。
これまで、
①保育内容支援(普段の保育連携)
②代替保育(保育ママが急病などの場合、預かってくれる連携施設)
③卒園児の受入れ連携
という、3つの連携先が必要でした。
練馬区では、そのうち
①保育内容支援→すべて認可保育園で連携済み
③卒園児の連携→優先先行を実施
と、①③は達成済み。
しかし、②の代替保育については、
小規模で9割、保育ママで8割と、残り1−2割が未達成の状況。
全国的にも進捗が67.8%と進まず、
そこで国が、
①保育内容支援→認可保育園だけでなく、小規模保育事業者も連携先として可とする
②代替保育→「区長が連携協力者の確保のために必要な措置を講じてもなお確保が難しく困難である場合」は、確保しなくてよい
④くわえて経過措置期間を10年から15年に延ばす
…という規制緩和を行うことに。
今回の区の改正条例も、それに準じるものです。
*経過措置期間は今年が10年目。
保育ママさんは、当然ですが、ずっと代替保育先の確保が必要だと求めてきました。
今回の改正が、「行政が責任をもって探すこと」といった改正ならよいのですが、
「どうしても見つからないならいいよ」
と規制緩和するのは、結果的には、代替保育が確保できず保育ママさんや、そこに預けている親子が困ることになると思います。
■争点を質疑
Q:残り小規模で1割、保育ママで2割、見つからない理由と課題は?
・配置の職員、面積を守って受け入れることがハードルが高い
・近距離でないと難しい、距離の問題
・受入側で基準を満たさないといけない
・0歳児保育を受け入れる体制がなければ難しい
Q:今後、経過措置が5年延長。その間に、区としてどのような努力をするのか?
・「必要な措置」「連携協力者の確保」
→保育補助者や小規模事業者との確保
・そのマッチングを区がやることを想定している
Q:保育補助者?
・代替補助員は区の要綱で定めている→資格や保育経験など
・代替補助者は保育ママが確保→区としても相談にのる
Q:現状
・「連携協力者」(*連携施設とは異なる)
・小規模41施設、残り4施設
→近隣や関係法人に働きかけ、今年度中に連携のめどがたちそう
・保育ママ43人:33人達成、残り10名
→今年度から練馬区が保育の補助者の雇い上げ強化補助金
→活用をご紹介しながら代替の協力者確保に取り組む
Q:連携協力者が基本→休日は改善されたか?
・年25日と定め
・10日前後休日をとられている
・病気など
Q:経過措置15年たっても見つからない場合は?
・国の考え方→事業ができなくなる→保育体制に影響があり避けなければならない
・5年後の考え方は予想できない
・練馬区→迅速に対応をはかる
Q:これまでも、区としてマッチングを行なってきたのか?行なっていないのか?
Q:すでに行っていたら、その成果と、それでも見つからない課題について伺う
・これまでの対応としても、小規模事業者同士のマッチング
・保育ママとの懇談会で補助者の説明、行なってきた
・小規模保育事業者の取り組み、関連、系列の取り組みが進みそう
・保育ママ→課題は、保育ママが雇っている保育補助者が短時間、要件が課題と考えている
・補助事業を活用しながら働きかける
Q:保育士不足などが理由だったら、雇い上げ強化補助金があっても難しいのではないかと思うが?
・昨今、保育士確保が大変と伺っている
・ただ、一定、保育ママの皆さんは、ご自身の関係性や横のつながりで保育補助者を雇っている、その活用のなかで(確保していく)
Q:今回の条例改正について、家庭的保育事業者の意見は?
・直接はまだご意見伺っていない
・代替保育が必要で、その手段を緩和しながら増やしていく
・保育ママの皆さんにも前向きに説明できると考えている
Q:区の姿勢は?
・一部が達成できていない状況
・可能な限りすみやかに達成したい、取り組んでいきたい
・代替保育が必要な姿勢に変わりはない
■高口の考え
以下の理由を述べ、可決としました。
「今回の議案で最も課題なのは、代替保育の連携先の確保です。
今回は国の『従うべき基準』とのことですが、
保育ママ、家庭的保育事業者自体は、代替保育先の確保を長年求めてきました。
『努力した結果見つからなければなしでもよい』とする規制緩和ですが、決して見つからないことがないように、区として責任をもって全力で取り組むことを強く求めたうえで、可決とします」
結果は、全会一致で、可決となりました。
職員の休暇の条例改正
*練馬区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 *練馬区立幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
人事院規則の一部改正を受けた改正です。
■改正の内容は3点
①「子の看護のための休暇」に、
・子どもの式典(入学式、卒業式等)
・病気で家にいる場合
も加える
②超過勤務の制限の対象となる子の範囲を
「3歳未満」から「小学校就学が始まるまで」に拡大
③配偶者等が介護を必要とする場合の制度について、職員への説明を義務付ける
・正規職員→年3回の面談+グループウェアでも見られるように対応
・会計年度任用職員→グループウェア+年度当初に説明
■会計年度任用職員も対象
ただし、無給…
正規職員は有給です。
会計年度任用職員の有給は、今後検討するそうです。
前向きな検討をお願いします!
再任用職員にも住居手当を支給
*練馬区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 *練馬区立幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
こちらも、人事院規則の改正を受けての改正です。
再任用職員(*)に、住居手当を支給する…という内容。
こちらは家賃で、持ち家は対象外。
月8300円程。
対象は、400人中20人位とのことです。
*定年前再任用短時間勤務職員、暫定再任用職員
■会計年度任用職員は対象外
会計年度任用職員に、住宅手当は支給していないため…
「国のマニュアルに入っていないため」支給していない、との区の説明でした。
支給できるならぜひしていただきたいですね…!
↓以下は、2月13日に質疑済みの議案
【福祉・医療】
■地域包括支援センターの職員体制を緩和
議案16号 練馬区地域包括支援センターの人員および運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
介護保険法施行規則が一部改正。
地域包括支援センターの“柔軟”な職員配置が可能となりました。
この改正には、問題があり、会派としては反対の立場です。
①常勤職員を「常勤換算」で可とする変更
(改正前)
・地域包括支援センターには、主任ケアマネ、社会福祉士、保健師の法定3職種を、常勤職員では置かなくてはいけなかった
(改正後)「常勤換算」でOKに
・非常勤職員を配置し、欠員を解消できる
(例)別業務をやっている主任ケアマネが兼務
→何人かいて、あわせて常勤1人分でOKに
*練馬区では、最低1人は常勤で、とする方針
・区としては、常勤の配置を求めていきたい
・育休などで配置が困難な場合の運用とする
・運営協議会で認めていただいてからの運用
②複数圏域の合算
(改正前)これまで、6000人に対して、法定3職種を1セット、地域包括支援センターには置かなくてはいけなかった
(改正後)3ブロック、合計18000人で3職種3セットとする
(例)ブロックのどこかを手厚くし、どこは薄くしたりしてもよい
「練馬区としては、すぐに行う予定はない」
とのことでしたが、基準として常勤を減らしてもよいとする変更自体、問題が大きいと思います。
■車いす用トイレの設置基準に関わる改正
第17号 練馬区福祉のまちづくり推進条例の一部を改正する条例
車いす用トイレに関わる条例改正。
専門用語で「便房(べんぼう)」というそうです。
・バリアフリー法施行令で、
(現)これまでは2000㎡以上の建物には1つ設置する必要
→(新)各階に1つ、に義務が変わる
*ただし、1000㎡を満たないフロアは、1000㎡に達するごとに1つで可
(例)800㎡の3階建てなら1か所あればいい
・練馬区の場合…福祉施設は0㎡から必要、店は200㎡から必要
=法令より厳しい内容だった
→法律だけがそのまま適用されたら「なしでいい」ことも起こり得るため
→1か所は必要、という文言を入れる
・500 ㎡以下は簡易型も認めている
【区民生活】
■印鑑登録証明書→オンライン申請での交付を開始
議案14号 練馬区印鑑条例の一部を改正する条例
ただし、マイナンバーカードが必要です。
【まちづくり】
■省エネに関わる建築基準法等の改正
第18号 練馬区建築基準法等の事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
国は、省エネに関わる法改正を、3年間やってきました。
今年が最終年。
今回の条例改正は、主に
①建築基準法本体が変わるもの
②省エネ基準適合義務の変更
の2点。
①建築基準法関係の改正
・省エネのため、断熱材を増やしたり、太陽光などをのせたりするように
=建物が重たくなる
→審査機関でのチェックを増やす
・これまでは、資格をもった設計者が設計した建物の一部は、申請を免除できた
→免除できる範囲を少し狭くする…という改正。
(例)平屋ならいいが、2Fだても免除だったが、高度?申請してね、など
②省エネ法の改正
(現)住宅関係や、住宅以外の小さい建物は、省エネ関係の義務ではなかった、大きい建物のみだった
(新)すべての建物が義務化され、省エネの基準を満たさないといけなくなる
→省エネ判定をしなくてはいけなくなるので、その手数料を変更する
…という条例改正です。
■区営住宅の変更2点
第19号 練馬区営住宅条例の一部を改正する条例
①早宮三丁目第三アパートでペアリフォーム
・家族向け住宅1戸を単身者向け住宅2戸に改修
=3DKから2つに分けて単身用にする
② DV防止法の一部改正に伴う変更
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)の一部改正。
「退去命令」と「接近禁止命令」
→元々1つだった項が2項に分かれたことによる変更です。
練馬区の条例改正は、条ずれの修正のみで、条例の内容に変更はありません。
*大元の法定の変更
・今までケガに関するものが多かったが、精神的な理由も入るなど、「接近禁止命令」の条文が細かくなった
■平和台駅地下通路の契約変更
議案33号 仮称環状8号線横断地下通路整備工事請負契約の一部変更について
工事が遅れているため、
①契約金額が約1億5千万円上がる
②工期が
(旧)令和7年9月11月まで
(新)令和10年9月29日までに延期
2025年→2028年と、3年も延びました…
遅れている理由は…
・ガス管、地下鉄を作ったときの残存物などで、掘削が思うようにできない
・出てきた時に何なのかの調査→勝手にいじれない→時間がかかっている
・掘ってみないとわからない
■公園
議案22号 練馬区立都市公園条例の一部を改正する条例
①公園1か所を新設
きたろく公園:練馬区北町6ー35ー4
②緑地2か所を新設
(1)せせらぎ緑地:練馬区関町南4ー13ー43
(2)石泉けやき緑地:練馬区石神井台6ー5ー25
【法改正などの関連】
■固定資産税の評価がえ
3年に1回行われる、固定資産税の評価替え
→それにあわせ、公共施設使用料を改定。
歳入が1億円程度あがる見込み、とのこと。
議案20号→「道路占用料等徴収条例」→道路を占有する電柱や電線など
議案21号→「公共溝渠管理条例」→私設の橋、千川上水など
議案 22号→都市公園条例
議案 23号→児童遊園条例
議案 24号→光が丘健康運動公園施設条例
■刑法の一部改正→「懲役」を「拘禁刑」に変更
*議案7-14
刑法の改正により、「懲役」「禁錮」が廃止に
→これに代えて「拘禁刑」が創設。
練馬区でその文言(懲役、禁錮)がある条例をすべて、
「拘禁刑」に変える、というものです。
対象となる条例は7つありますが、区条例の内容自体に変更はありません。
*刑法改正の背景
・懲役と禁錮の違い→作業があるのが「懲役」、閉じ込めて何もさせないのが「禁錮」
・懲役がほとんど(94%)で、禁錮はほとんどなし(6%)の現状
・犯罪の減る一方、再犯が増え、更生の必要性から、禁錮をなくすことに
■雇用保険法の一部改正
議案10号 練馬区職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・雇用保険法の見直しで、「就業促進手当」の考え方が変わる…という内容
・仕事をやめたら失業手当がもらえる
→その前に、就職が決まるケースがある
→失業手当がもらえるはずなのにもらえない
→「就業促進手当」がもらえる
・契約期間により異なる
長期雇用(1年以上)→失業手当でもらっていない分のおおむね9割もらえる
*細かい計算はいろいろ
短期雇用(1年未満)→おおむね3割
・現状→99%が長期雇用でもらっている
・今回の法改正は、短期雇用をなくすもの
・理由:短期がほぼおらず、長期雇用に誘導したいから
・短期雇用で就職が決まれば…多くの場合は満額もらって短期雇用になる
以上が、法改正の内容。
練馬区の条例改正としては、「退職金の条例」です。
退職金より失業手当が上回った場合、差額を支給するのですが、
そもそも練馬区には2019年度以降、基本的に1件も該当がないそうです。
*会計年度任用職員については、退職金がないため、この退職金に関わる区の条例の対象外。
雇用保険法そのものは、勤務時間等の条件を満たせば、対象となります。
■マイナンバー関連
第6号 練馬区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用および特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例
マイナンバーの法改正に関わる条例変更。
マイナンバー法が改正されたことによる、条例の項ずれを直すもの。
条例そのものに変更はありません。
大元の法律の変更は、
マイナンバーカードを、カードだけでなく、スマホに搭載された電子証明(属性証明機能)でもOKとする…という内容。
今年の4月から開始です。
【その他】
■アメリカ軍兵士が練馬区で軽自動車を保有した場合…
議案15号 練馬区におけるアメリカ合衆国軍隊の構成員等の所有する軽自動車等に対する軽自動車税の種別割の徴収の特例に関する条例の一部を改正する条例
物々しい条例名ですが…
内容はそれほど複雑ではありません。
米軍兵士の軽自動車の登録に関する改正です。
改正は2点。
①軽自動車税の徴収の方法に、「普通徴収」を加える
→これまで専用の票を使う必要がありましたが、一般的な徴収方法を可とする、という内容。
②軽自動車税の種別割の税率を定める
→日本全国一律。
通常税率より安い特例税率。
理由は、日米地位協定により、租税が免除されており、「軽自動車税の道路損傷負担金に相当する部分」のみの課税となるため。
たとえば、
軽自動車(4輪)で通常10800円→特例3000円
軽自動車(3輪・2輪)3900円→特例1000円
原付2000円→特例500円
かなり安いですね。
練馬区では、グラントハイツの時期は登録がありましたが、現在、米軍の車両の登録はありません。
23区では3台(港区、世田谷区、目黒区)あり。
本人だけでなく、構成員、家族、働く人も含むため、
練馬区で登録はないかもしれないが、今後に備えて条例を改正しておく…というものです。
■学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償を引上げ
第25号 練馬区立小学校および中学校の学校医、学校歯科医ならびに学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
定期的に出てくる議案です。
都立学校にあわせ、学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償の金額を引き上げる、というものです。