再審法の改正を求める陳情に、賛成の討論~袴田巌さんの無罪判決…再審裁判が迅速に行われるよう法改正を!【2024/12/13練馬区議会・定例会最終日】
2024年12月13日、再審法改正を求める陳情(※)に対し、
「賛成」の立場で討論をしました。
※正式名称:「陳情第64号 再審法の改正を求める意見書を国会及び政府に提出することについて」
陳情者:再審法改正を求める練馬区民の会
2024年の今年、大変なニュースも多かったなか、喜ばしいお知らせの一つが、袴田巌さんの無罪でした。
一刻もはやく、他の冤罪事件でも無罪確定が出るように……との思いもこめながら、討論しました。
*陳情の要旨はコチラ
以下、陳情への賛成討論
■袴田事件…袴田巌さんの無罪判決に要した時間
インクルーシブな練馬をめざす会を代表し、「陳情第64号 再審法の改正を求める意見書を国会
及び政府に提出することについて」に賛成の討論をします。
ご存じの通り、「袴田事件」と呼ばれる1966年に起きた事件の再審で、
袴田巌さんに無罪判決が下りました。
事件から58年。
無実の袴田さんは、88歳に。
弟を支え続けた姉のひで子さんは、91歳となりました。
私は、袴田さんのドキュメンタリーを見た際、
釈放後、「拘禁反応」「拘禁症状」により、家の中を歩きまわり続ける
袴田さんのお姿が、とても印象に残っています。
長期間の拘束の影響で、精神がむしばまれたのです。
「拘禁反応」とは、拘置所や刑務所など、刑事施設に拘禁されて生じる精神症状のことで、
>多くは頭痛やめまい、吐き気など
>中には、被害妄想や
>恩赦などで釈放されると確信する赦免妄想などが生じることも
あります。
>巌さんは最高裁で死刑が確定した1980年以降、「毒殺される」
等と訴えるようになったそうです。
【参考】毎日新聞:精神をむしばんだ死刑の恐怖 拘禁症状続く袴田巌さんの日常
朝日新聞:袴田さんの「拘禁反応」とは 乱れていく手紙、医師「重篤で珍しい」
無実の罪で捕まり、47年間も拘置所にいて、
いつ死刑が執行されるのか、今日は生きていられるのか、
毎日おそれおののかなくてはならない。
どれほど苦しかったでしょうか。
袴田さんのお気持ちは、私にははかりしれません。
■無罪確定していない冤罪事件は、他にも
袴田さんは、献身的な姉のひで子さんをはじめ、支援者の粘り強い働きかけの結果、再審が認められました。有罪判決の決め手となった証拠も、「捜査機関によって」「加工がされ」たものと、
断定されました。
一方で、他にもまだ、冤罪を訴えながら再審が認められず、無罪となれない事件があります。
たとえば、1963年に起きた「狭山事件」。「部落差別が生んだ冤罪」だとして、
再審を求めている石川一雄さんは、85歳になります。
この事件も、証拠捏造等が報じられており、石川さんは仮釈放され、
30年近くも社会生活を送れているのに、今だ再審無罪が確定していません。
石川さんは、今年5月にも「61年前に私に着せられた冤罪を晴らすまで
全力で闘います」と声明を出されています。
■時間がかかりすぎる要因は
こんなに時間がかかる原因として、
・再審が裁判所の裁量にゆだねられ、裁判官の「やる気」で差が生じること
・証拠は公共性を有しているのに、証拠開示の基準や手続きがあいまいなこと
・再審開始決定がされても、検察官が不服申し立てをすれば、請求側がさらなる時間と労力を要すること
等があげられます。
陳情では
・検察による不服申し立てが認められていること自体や、
・警察・検察による証拠隠し
・全証拠が開示されないこと
等の問題が挙げられています。
■迅速な再審ができるよう、法改正を!
この再審制度は実質、100年前からほとんど変わっていないとも指摘されています。
袴田さんも、最初の再審請求から開始決定までに42年、
無罪の方向性を示す証拠を、検察が開示するまで約30年、
再審開始決定後、検察側が不服を申し立て、確定までに9年を要しました。
ひとは、間違う生き物です。
冤罪が生まれる可能性は、0%にはなりません。
だからこそ、「やり直し」の裁判が、何十年も要することなく公正に行われるよう、
再審法は一刻もはやく改正すべきです。
■防犯の観点でも…
また、練馬区議会でも最近、防犯についての質疑が相次いでいます。
「真犯人こそ捕まってほしい」と願うのは、ごく自然な感情ですが
58年もたった袴田事件で、真犯人を見つけ出すことは不可能です。
素早く再審が開始され、冤罪が晴らせれば、真犯人の再捜査にもつながり、
防犯の観点からも有効ではないでしょうか。
■全国で意見書可決の動き→練馬区でも!
現在、地方議会では、再審法の見直しを求める動きが広がり、法改正に向けた
議論の必要性を訴える意見書が、全国400超の議会で可決されました。
練馬区に出されたこの陳情も、
国会の議論を後押しするためにも、採択されるべきです。
最後に、袴田巌さんとひで子さん、支援者の皆様、
今なお無実を訴え戦っている冤罪事件の関係者の皆様
陳情者を含めた再審法改正のため尽力されている皆様に、心から敬意を送り、
議員各位の賛同を求め、討論とします。
陳情の賛否、結果
残念ながら、陳情は、反対多数で、「不採択」となりました。
結果は、以下の通りです。
■陳情に「賛成」した会派
- インクル(高口所属)
- 立憲民主
- 共産党
- 生活者ネット
- つながる
- れいわ
■陳情に「反対」した会派
- 自民党
- 公明党
- 練馬会議
- 維新の会※
- みどりの風
- 参政党
※維新の会は、会派としては「反対」ですが、一部議員が、「賛成」に回っていました。
結果は残念……ですが、
これからもあきらめずに、頑張っていきます。
陳情者の皆様、お疲れ様でした。