①練馬区災害廃棄物処理計画(素案)へパブコメを!②災害対策の陳情③都区財政調整制度って?【2024/12/6総合・災害対策等特別委員会】

2024年12月6日、練馬区議会、総合・災害対策等特別委員会のレポートです。

①練馬区災害廃棄物処理計画(素案)
②災害対策の陳情
③都区財政調整制度とは
……の3点をお伝えします!

練馬区災害廃棄物処理計画(素案)

万一、災害がやってきたとき、必ず発生するもの。
それが災害ごみ、災害廃棄物です。

練馬区では、これまで、災害廃棄物を処理する計画がありませんでした。
今回が初の計画。
素案のパブコメが行われています。
ぜひぜひご意見をお送りください。

練馬区パブコメページ:災害廃棄物処理計画

概要 廃棄物の種類と処理方法

全体像

大まかに

  1. 災害廃棄物
  2. 避難所、生活ごみ
  3. し尿

の3種類に分けています。

避難所ごみ・生活ごみ、し尿→いつもの集積所へ

このうち、「②避難所・生活ごみ」「③し尿」は、
衛生の観点から、通常とおりのルールで、集積所に出し、直接清掃工場へ。

清掃一組という、いつも練馬区のゴミを収集している事業者が運搬する想定です。

災害廃棄物→一時置場や一次仮置場へ

①災害廃棄物については

  1. 片付けゴミと
  2. 解体廃棄物等

に分けています。

片付けごみ→粗大ごみ一時置場へ

このうち、片付けごみの「粗大ごみ」は、「粗大ごみ一時置場」へ。
その後、「一時置場」から「一次仮置き場」へ移動させる想定です。
(「いちじ」の読みが同じで、混乱しそうですね汗)

粗大ごみ以外は、集積所で、生活込み等と合わせて、清掃一組が収集します。

解体廃棄物等→一次仮置場へ

解体廃棄物については、「一次仮置場」へ(※粗大ごみ一時置場を経由しない)。

一次仮置場のごみは、その後、23区共同の「二次仮置場」に運ぶ想定です。

ごみの発生推移イメージ

災害の状況によりですが、3日位で、応急対応が開始する想定。
練馬区いわく「できる限り早く再開」が目標とのことですが…

高口の予想では、そううまくいかないと思うので…
簡易トイレの備えなど、皆様どうぞ十分になさってください。

災害廃棄物の発生量は、最大7万トン。
最長3年かけて、処理を完了させる、長期プランです。

粗大ごみ一時置場と一次仮置場

区民に直接影響するのは、ごみの置場がどこになるか、ということです。
「最大面積10万㎡ が必要」と、広い場所が必要ですが……

学校は避難拠点のため、置場は、結果的に、公園しかありません。

練馬区が候補地にあげている一覧は以下の通り。

■粗大置場候補地

500㎡ 以上、中規模の公園

■一次仮置場候補地

5000㎡ 以上、大規模の公園

ご近隣の方は当然不安になりますので、丁寧に説明をしてほしい、と求めました。

課題①地域差

表を見ればわかるとおり、練馬エリアの置場が少なくなっています。
土地柄、大きな公園が少ないので仕方ないことですが…

かなり遠い場所まで運ぶ住民も出てくることや、
近くに「一次仮置場」があれば「粗大置場」まで行かずに置いてしまうのではないか?
など、災害時の混乱も想定しつつ、質疑と要望をしました。

練馬区は
「イレギュラーで、現時点で想定しきれないこともある。状況を把握し、地域バランスにも対応、広域調整をする」
との答弁でした。

課題②設置場所の周知と管理

実際には、候補地すべてが災害時に置場として開設するわけではなく、発災状況を把握し、選定基準に応じて、開設場所を決めるそうです。

実際にどこが置場となるのか、ならないのか、
その周知がいき渡らなければ、置場でない所にごみが置かれ、
一度積まれれば、ごみがごみを呼んで、手に追えない状況になることが想像できます。

夜間に勝手に置いておかれたり、治安も気になります。

置場には24時間人はつくのか?という点も含めて確認すると、

  • 周知はホームページ、ねりま情報メール、アプリなど、紙では回覧など
  • 受付時間をもうける
  • 夜間は検討中
  • 不法投棄防止は警備会社も(検討)
  • 能登では24時間体制で見回り、警察や地域の力

との答弁。

災害時に情報伝達がうまくいかなくなることも含めて、平時に、どこがどう置場になるのか、ならないのか、しっかり周知しておくことが重要だと思います。


長期にわたる災害ごみの対応ですが、平時から区民の理解や協力を得ることも含めて、対応が必要です。
皆様もどうぞ、ご協力をよろしくお願いいたします。


陳情第69号 首都直下地震に備えた対策を求めることについて

今回、災害対応についての陳情審査もありました。
(質疑は12月6日)

「陳情第69号 首都直下地震に備えた対策を求めることについて」

陳情要旨

陳情要旨

以下の首都直下地震に備えた対策について、関係機関に働きかけてください。
1 国や都、区に対し、発災後すぐに仮設住宅や被災者向けの住宅の建設を行えるよう、体制を整備すること。
2 都に対し、早急に上下水道管路を耐震化すること。
3 区に対し、被災時に、区民が住宅内の水道管、ガス管、および電気配線の復旧工事を速やかに実施できるよう、資器材の確保を含めた工事業者や関係団体等との連携体制を整備するとともに、工事費用の本人負担を軽減すること。
4 区に対し、発災時の住宅の倒壊や火災を最小限とするため、耐震化助成の拡充と感震ブレーカーの無償貸与について、対象地域を区全域に拡大すること。

陳情者は、直接能登半島に赴いてボランティア活動もされており、その体験から出た陳情だけあり、どれも非常に重要!

陳情理由

練馬区の資料

特に、上下水道については重要!
マンホールトイレも、下水道が動かなければ、使えません。

感震ブレーカーについても、区内全域を対象としている区が6区。
地区を限定している練馬区でも、ぜひ全域にと思います。

陳情の賛否→「継続」に

結果は…

■採択(陳情に賛成)

共産党
インクル(高口所属)

■継続

自民党
公明党
立憲民主党
練馬会議

→「継続」多数で、陳情は継続となりました。

予算的に厳しいとの指摘もありながら、与党でも不採択にまではできない内容だった、と言えます。

都区財政調整について

「都区財政調整」…聞き慣れない言葉だと思います。簡単に言うと、東京都と特別区(23区)の間の財政制度です。

本来、市町村税である固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税の三税(調整税)を、東京都が一括して徴収し、算定に応じて、「特別区、財政調整、交付金」として各区に配分する…という制度です。

都と区の配分割合

長年の争点が、都と区の配分割合。
都が44.9%、特別区が55.1%で
特別区は「足りない」と主張を続けています。

児童相談所と都区財政の深い関わり

「0.1%」は、児童相談所を設置する区が出てきたことで、区側の取り分が少しだけ増えたもの。
現在は、区立の児童相談所があるから、もっと区の配分割合を上げるべきだという形で、協議を続けています。

55.数%となるか、56%と丸めるか、協議中とのこと。

児相の対応補正は、設置区のみとなるため、全体の配分割合が変わらないのに、設置区への配分が増えれば、
練馬区の取り分が「結果的に割を食う」と、財政課長の説明。

足並みを揃えることが大切!

ご存知の通り、練馬区は、児童相談所を設置しないと明言しています。
児相の協議は設置区でのみ行われている、とのこと。

強大な東京都と対決するにあたっては、23区が足並みを揃えることが大切ですが…
練馬区が設置せず、それに倣う区が出てきたことで、足並みが揃わなくなり、特別区側の主張が弱くなるのでは?
という懸念があります。

練馬区は
「心配にはおよばない」と答弁しつつも
区児相設置については
「他区と同列」というのは「若干違和感を覚える」
「23区の総意」だが「他区と異なる立ち位置」
と正直?な答弁。

「他区連携の観点が望ましい」
とも答えており、

そうであれば、少なくとも、
区立児童相談所を設置している区に問題があるかのような発言を、
わざわざ練馬区長が、公にすることは、
足並みを揃えづらくさせるのではないでしょうか?

練馬区は練馬区としても、
わざわざ他区を貶める発言はしない、
他自治体の施策も尊重するのが、
区長としての最低限のあり方ではないでしょうか。

よく練馬区長は、他自治体のやり方を「目先の利益」「バラマキ」と批判しますが、
なぜ練馬区だけは目先の利益でないのか、バラマキでないと言えるのか?

他を貶めて自分をあげるやり方は、品位があると、私は思いません。

基準財政需要額

交付金として配分されるかどうかは、「基準財政需要額」として算定されるかどうかにかかっています。
現在ある項目だけでなく、新しく区が取り組んでいる事業についても、新たに算定するよう、
毎年、特別区と東京都で、それぞれ提案を取りまとめ、協議を行っています。

今年度は、帯状疱疹ワクチンなどが新規算定されました。

その際、練馬区だけ、1区単独の事業が新規算定されることは難しく、
たくさんの区が取り組んでいることが認められやすい傾向。
やはり、23区で足並みを揃えることが大事となります。

ハードの整備がやりやすい理由

既存の算定項目にはたとえば、
石神井公園のような再開発事業、
地区計画などが含まれます。
ハードの事業ほど進めやすいのは、財政面での事情があるわけですね。

学校統廃合との関係も

測定単位には「学校」もあり、
統廃合で学校が減れば、算定にも「影響」と、区も認めています。
(ただし、算定方法は複雑で、1校減ったからその分減る、ということでもないそうですが)

交付金額の差

練馬区は、できるだけ算定されるよう気をつけており、交付金額は、足立区、江戸川区に次ぐ3位。
一方、不交付の区もあり、港区と渋谷区です。

架空の「標準区」を設定

ちなみに算定方法は、
架空の「標準区」を想定しています。
35万人の想定なので、練馬区とはだいぶ状況が違いそうですね。


…毎年、協議で苦労し、特別区側の状況が通らないのを見ていると、大阪都構想なんて絶対やめてほうがいいと、私は思うわけですが…

あまり知られていない、都区の財政調整制度が、練馬区の施策にも影響を及ぼしていること、区民の皆様にも、頭の片隅に置いていただけるとよいかな、と思います!


【参考】2024/10/17-18【練馬区議会視察】①京都府城陽市「不登校対策のメタバース」②大阪府堺市「児童相談所の支援プログラム」