文教児童青少年委員会レポート①性暴力等防止の対策方針②いじめ・暴力・不登校状況③学校選択制状況…他【2024年11月26日】

2024年11月26日、文教児童青少年委員会のレポートです。

  1. 児童・生徒への性暴力等を防止するための対策方針
  2. 令和5年度練馬区立小中学校における暴力行為・いじめ・不登校の状況
    令和5年度適応指導教室事業等の利用状況
  3. 令和7年度入学中学校選択制度の選択希望状況、公開抽選
  4. イングリッシュキャンプの事業者選定

の4件について、お伝えします。

児童・生徒への性暴力等を防止するための対策方針

前回、10月8日の文教児童青少年委員会で報告があった「性暴力等防止特別対策委員会の提言」を踏まえ、
対策方針が出てきました。

とても、とても、重要なものです。

※資料は:20241126児童・生徒への性暴力等を防止するための対策方針について

主な対策は5項目

  1. 人権を基盤にした教育・研修プログラムの作成および継続的な実施(新規)
  2. 相談しやすい環境づくり
  3. 性暴力が疑われる場合の基本的な対応の徹底
  4. 性暴力が発生しない施設等管理の徹底
  5. 防止対策の検証(新規)

資料を拝見すると、ざっくりしているので……
具体的にどのように決められ、何がどう行われるのか?
つまり内容、中身がどうなるかが重要です。

今後もプログラムの内容など報告があるようなので、お伝えしていきます。

そのうえで、今回の内容で気になった箇所、質疑した点をお伝えします。

★提言をしっかり踏まえて!

今回「人権に基盤を置く」とした点は、当たり前と言えば当たり前ですが、これまでを思えば、とても重要なことです。

前回質疑でも伝えた点、

  • 包括的性教育、セクシュアリティ教育を踏まえたものにすること
  • 提言にある男女格差、ジェンダー問題の背景や歴史的経緯も踏まえること

を求めました。

そこなくしては、人権を基盤にした内容にはならないので……

練馬区も「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」「リプロダクティブヘルス&ライツ」が、提言に関連しており、必要なところがあるとしています(どこまで盛り込まれるかが不安ではありますが、それらの言葉が教育委員会から出て、全部ではないにせよ盛り込むと言ったことは少なくとも前進です)

★プログラム作成委員会→教員のみで構成の問題

「1.人権を基盤にした教育・研修プログラムの作成および継続的な実施」の項目では

  • 11月上旬:プログラム作成委員会の設置
  • 11~2月:2-4回委員会、プログラムの検討
  • 3月:プログラムに基づいた検証資料の実施、プログラムの完成(初版)、保護者向け啓発資料の完成

というスケジュール。プログラムの内容は

  1. 児童生徒向け
  2. 教職員向け
  3. 保護者向け(啓発資料)
  4. 相談窓口職員向け

となっています。

この「プログラム作成委員会」のメンバーを聞いたところ、

  • 子どもの発達段階に応じた5つの分科会
  • 校長、園長→チーフ
  • 副校長
  • 教員→体育、養護、人権や特別教育など
  • 合計21名
  • 指導・助言的立場で、上智大学・齋藤梓先生(提言メンバーの一人)

……と、これを聞いて、私は非常に驚いたのですが……

「教職員による性暴力」が問題の発端なのに、メンバーが先生、教職員のみ!

もちろん個々のメンバーの先生方に問題があると言いたいわけでは全くありません。
メンバーが全員教員という構成それ自体に、疑問を感じるのは、当然ではないでしょうか。

弁護士、助産師などの性教育の専門家など、第三者、専門家を入れて、プログラムを作るべきでは?

その点問うと、練馬区は

  • 各教員で進めるのが母体
  • 文科省の「生命の安全教育」をベースに、提言の内容を含める、必要な点を盛り込む
  • 案をつくり、助言をいただく
  • それですべて完成ではない
  • まずは初版→来年度やってみて、有識者にはかる
  • 不十分な点など改善し、充実させる
  • 毎回改訂し、2版3版…と直していく

…との答弁。

ベースだという「生命の安全教育」自体が、そもそも包括的性教育としては最低限の内容と捉えているので(やらないよりはいいですし、うまく活用すべきですが)、それがベースという点も、新たな不安が生じます……。

今からでも、そして2版3版改訂にあわせ、メンバーについても専門家を入れるよう再検討を求めました。

★教職員向け研修→最重要!

来年(2025年)4月には、校長(園長)→全教職員対象の研修を実施するスケジュール。

元校長が性暴力加害者だったことから、誰がどのように行うのか、教職員に課題がある場合はどうなるのか、最も気になる点です。

  • 齋藤梓先生が講師で、校長・園長に研修
  • それを広げていく
  • 内容は検討中

とのことでした。

★保護者向け啓発→資料だけで十分か?

教職員向け・保護者向け、つまり大人向けが、子ども向けよりも実は難しいと感じます。

保護者に向けては、5月の「性暴力等防止強化月間」に、「保護者向け啓発資料の配布」を行うという予定。

資料配布だけでなく、研修も行ってほしいと要望しました。

  • まずは教職員研修の後、保護者に資料を配り、理解を得る手順
  • 配布だけでなく、保護者会等でも(伝える)
  • 啓発の方法、検討する

と、練馬区。

大人が変わる、大人の意識を変えていくことが、とても重要だと思います。

★スクールカウンセラー面接は毎年実施を!

「相談しやすい環境づくり」で、「小3、小5、中1」での全員面接の継続、としています(すでにやっている内容)。

なぜ毎年でないのでしょうか…他の学年は……?
毎年実施をと、求めました。

日頃から「相談慣れ」しておくこと、「相談の体験」をしておくことで、いざという時「相談しよう」と思えます。
小1から始めて、いつでも気軽に相談しやすくすることも必要です。

毎年やらない理由は、スクールカウンセラーの体制の問題が大きいのではないか?と予測するので、その体制強化も重要です。

★対応フローの改訂

10月には、性暴力が疑われる場合の「練馬区対応フロー」を改訂。

各校に配り、11月には校長会で配布済みです。

主な改訂点は

  • 校長が加害者になることを想定していなかった
    →校長だけに報告となっていたところ、副校長も追加
  • 誤解を招く説明をしない

…など。

この資料が今回出なかったので、資料をお願い中です。

★施設の点検→専門家に依頼を!

「性暴力が発生しない施設等管理の徹底」の項目では、スマホの持ち込み禁止、死角になりそうな場所の校舎図作成、鍵管理の徹底などが挙げられています。

それらの対策を、「教育委員会が定期的に点検」するとしています。

しかし……

現在、盗撮の手口は巧妙化。「こんな所に仕掛けるの?」「こんなにカメラが小型化しているの?」など、信じられない状況になっています。

教育委員会は、その専門家ではありません。

ぜひ、そういったことに詳しい外部の専門家、プロ、第三者に依頼するよう、要請しました。

練馬区は「点検だけでなく、様々な訪問の機会を利用しながら状況、取り組みを聴き取り考える」ために教育委員会でやると言っていますが、こういうところにこそ(練馬区が大好きな)”民間の力”をなぜ借りないのか、とても不思議です……。

★相談の現状

  • 練馬区の性暴力相談窓口→相談受付件数
    • 昨年度23件
    • 今年度34件(11月20日まで)
  • 性に関する相談6件
    • その他さまざま…友人、家庭、先生のこと
  • Logoフォームが8割
    • その他:電話、メールも可能

★生徒向け授業、年1回では少なすぎる!

練馬区は「児童生徒向け教育」の実施を、年1回のみ、5-6月の「特別対策月間」に「各学年1時間必須」の授業で行う、としています。

しかしこれは、この対策方針が出る前と変わりませんし、今は全国で「生命の安全教育」が、「1時間必須」で行われており、それと同じ授業数しかありません。

「年1回はありえない」と、他委員からも声が。

しかし練馬区は「年1回で効果を考える」と答弁。

年1回より2回、3回と増やしたほうが効果は高いに決まっていますが……

今後の状況、プログラムの実施等にも、注視していきたいと思います。

令和5年度 練馬区立小中学校における暴力行為・いじめ・不登校の状況
令和5年度 適応指導教室事業等の利用状況

毎年報告がある、暴力、いじめ、不登校の状況です。

「暴力行為・いじめ・不登校」の調査は、全校で、年3回、質問紙により行われています。

※議会資料

概要

今年度の状況は、ざっと以下の通り。

  • 「生徒間暴力」が例年多い傾向。昨年度も同様
  • 「いじめの認知件数」
    • 右肩上がり(R3:1102件→R4:1499件→R5:2437件)
      ※「認知」の件数が上がること自体は重要としている
    • 年齢があがる=発達段階があがるごとに、認知件数は減っていく傾向
  • うち、「いじめ重大事態」の件数
    • R5:2件
    • R1-4:各1件
  • 「いじめの発見のきっかけ」
    • 「本人からの訴え」が小学校で増加
    • 中学校では「保護者からの訴え」が増加
  • 「いじめの様態」
    • 「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、いやなことを言われる」が小学校62%、中学校69%と大多数を占める
    • 小学校での前年度比の増加傾向(主なもの)
      • 「仲間はずれ、集団による無視をされる」→2.4倍増
      • 「かるくぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」→2.5倍増
      • 「金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたする」→5.7倍増
      • 「いやなことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」→1.88倍増
  • 「いじめられた側からの相談状況」
    • 学級担任に相談:小93%、中80%
    • 学校外の相談も増えている
      • 練馬区「学校外でも相談できること、働きかける」
  • 「不登校数」→増え続けている
    • R3:1146→R4:1386→R5:1648(+262人)
    • 前年度比:小学校+155人、中学校+107人
    • 中学2年生が一番多い
  • 「指導の結果、登校できるようになった児童生徒数」
    • 件数、割合ともに、前回調査を大きく上回る
      ※登校結果のみではなく、社会的自立をめざす文科省方針は変わらず

不登校居場所事業「ぱれっと」→相変わらず周知されず…

適応指導教室ではない、居場所事業「ぱれっと」。

「適応指導教室や通室、別室も困難な子、小集団も難しい子が対象で、SSWの支援を受けたのち、必要なら案内される」という狭き門。

練馬区のHPにもなく、高口がかなり以前に書いたブログで知ったという人もいるくらいです。

知る人ぞ知る…なんていう事業でよいのか?といつも思うのですが……。

不登校は増えているのに、ぱれっとの利用は増えておらず(定員が増えていないので当然ですが)、小1-3まではゼロ。高学年~中学生の利用が多くなっています(一人で通うのが難しいこともあると思います)。

上石神井の適応指導教室に設置されていましたが、石神井台へ移転の際、やめてしまい、「居場所機能」と、トーンダウンしています(似た名前で答弁するあたりが、行政のわかりづらさ全開です)。

もっと周知すれば、要望、必要とされる事業なので、対象者と枠を広げ、周知することが必要です!

スクールソーシャルワーカー

  • 支援対象者約5-600名を、21名で支援
  • 家庭・学校などへの訪問件数
    • 小学校:5253件
    • 中学校:5001件

文科省の不登校一覧情報→練馬区載ってない…

「文科省:不登校児童生徒の支援に関する地域の相談支援機関一覧情報」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112214.html

練馬区が載っていません。
なぜかは不明ですが、掲載されるよう、求めました。

相談しやすい教室、学校の空気に!

先ほどの性暴力の問題でも言えることですが……

学校、先生に「相談しにくい」と感じている子どもは、少なくないと思います。

今回の「いじめの相談状況」でも、「誰にも相談していない」が小学校で12件、中学校で4件。
気付かれず、行われているものもあると思います。

なぜ、相談できないのか?

ダメばかり、何をするにも先生の許可がいる……
日常的に、物を言えない・言いづらい教室の空気があり、
それを変える必要があるのではないでしょうか?

練馬区はそれに対し、教員と生徒の「日頃の関係作りが大切」と答弁しました。

何でも言える子もいれば、
特性や性格から、我慢してしまう、言えない子もいる。
後者の子に注意を払ってほしい、と伝えました。

相談しやすい学校、教室にして頂きたいと、切に願います。

令和7年度入学中学校選択制度の選択希望状況、公開抽選

中学校の選択制を採用している練馬区。

今年度の状況が発表されました。

今年度の傾向は…

抽選となったのが、昨年は8校
→今年は11校。
希望者も、昨年度18%
→今年度20%

と、昨年度より少し多くなっています。

抽選から漏れたら?

友人関係(いじめ等)で「絶対に通えない」という事情がある場合、抽選後の「指定校変更制度」に申込ます。

昨年度は、全員、この制度で対応できた、とのことです。

「出て行く」人数もセットで発表を!

選択制で人気の学校がある……ということは、裏を返せば、学区内の学校から”出て行く”子どもがいる、表裏一体ということです。

出て行く数は公表しないのか?と質問すると、
練馬区は、状況は「学校ごとに知らせて、共有している」との答弁。

つまり「出て行く数」の公表はしない、というスタンスです。

しかし、出る数・入る数、両方をセットで考え、議論しないと、たとえば、旭丘中学校のような過少規模校の課題は解決しません。

「特色」ってなんだろう?

そもそも練馬区も、「区外に近いところは過小規模になりやすい」ことは「事実」と認めています。

学校位置で生徒数が少ない課題について、練馬区は「特色」のPRが重要としています。
(今年の『学校案内』では、PR欄を増やしたそう)

練馬区が例として挙げているのは、「オリンピアン・パラリンピアンを呼ぶ」「グループ学習」「小中合同体育をしている」。

でもちょっと待ってください……

まさに「小規模」そのものが、「特色」であり、「魅力」ではないのでしょうか?

アットホームで、面倒見のよい学校のほうがいい、そのために人数が多くないほうがいい、と考える保護者もいます。

人数が少ない=特色がない
人数が多いこと=魅力的、特色がある、では、そもそもない、と思います。

小中一貫校と学校選択制度

そもそも、練馬区が採用している学校選択制と、小中一貫校は、相反する、乖離する制度でもあります。

小中で連続・一貫した教育を重視しながら、中学校で離れるわけですから。

現在のところ、練馬区唯一の小中一貫校である大泉学園桜学園では、
選択制での中学入学希望者は、今年度6名(R5は3名、R4は6名、R3は15名)と、多くありません。

一方、大泉学園桜の小学校から、別の中学校へ移る人は、16人で、これは例年と同様の傾向。
出て行く人のほうが多い現状だと言えます。

小中一貫校にしても、生徒数が増えない、別の中学校を希望する生徒も少なくない……という現状を、今後、練馬区は旭丘小中一貫校をつくるうえで、しっかりと踏まえるべきだと思います。

近隣校の情報、説明会など、早めに教えてほしい!

私の子どもが今年小6で、近隣校の説明会にも行きました。
その情報がなかなか入手できず、困った……ということがあり、近隣校の説明会等の情報をきちんと小6保護者に流していただくよう、求めました。

練馬区は、「9月」に学校案内を配り、そこに日程一覧が掲載されている…との答弁でしたが、

その9月に、説明会が重なっているんですよーーー!

間に合わないし、そもそも4月に学校のほうは予定を組んでいると思うので、はやめに知らせてほしい…と重ねて要望しました。

イングリッシュキャンプの事業者選定

2021(令和3)年度から開始→今年度で3年目となるイングリッシュキャンプ。
新しい事業者をプロポーザルで募集します。

  • 募集期間は12/1〜1/8→選定委員会→プロポーザルで決定
  • 現在の事業者は株式会社NOVA
  • 前回はNOVA含め2社応募

外国人講師の給与は不明…

講師の方がどんな待遇なのかが、キャンプがよくなるかどうかにもかかってきます。

  • 今年度の外国人講師→112名
  • フィリピン34名、アメリカ12名、ナイジェリア10名→以下、10名以下の国が並ぶ
  • シフト:現地で2泊3日×2-3期が基本
    • 長期で4期、8泊9日のケースも

では、この講師の給与はどうなっているのか?を高口が質疑すると……

  • 区では決めていない
  • プロポーザルで概算経費(約5200万円)を示している
  • どの講師にいくら、は把握していない

→5200万円という区の概算は、当然「人件費にいくらかかる」と算出したうえで出していると思うのですが……
その点、明確な回答がありませんでした。

区の事業に関わるスタッフが、いくら受け取っているのか、区としてしっかりと把握すべきだと思います。