学校給食の牛乳の停止に、毎年のアレルギー診断は必要か? 牛乳についての陳情、結果は【2024/11/26文教児童青少年委員会】
2014年11月26日、文教児童青少年委員会のレポートです。
陳情第85号 小中学校の学校給食における牛乳の提供について
学校給食で毎回提供される「牛乳」についての陳情です。
陳情の要旨
以下の事項について、区に働きかけてください。
1 区立小中学校の学校給食で提供される牛乳について、児童生徒が医師の診断なしでも提供を停止できるようにして下さい。
2 アレルギーが理由の場合は、一度でも診断されたら卒業まで継続して牛乳の提供を停止されるようにして下さい。
3 要旨1、2の願意が満たされたときは、その内容を保護者に毎年周知して下さい。
陳情の理由
議会に提出された資料
高口の観点
まず私自身、牛乳が大好きです。
ミルクたっぷりのカフェオレが、1日の中で欠かせません。
うちの子どもも牛乳が好きで、たくさん飲んで大きくなりました。
また、学校給食での牛乳の提供がなくなると、ただでさえ、今厳しい酪農家さんが、さらに厳しくなるのではないか……と言う心配もあります。
一方で、牛乳に対して様々な考え方があることも知っています。
アレルギーはもちろんですが、そもそも人間の体質に合わないのではないかという指摘、あくまで嗜好品として楽しむべきではないか、という意見など。
それらを踏まえて、質疑をしました。
論点①アレルギー診断書を毎年提出する必要があるのか?
現在、練馬区では、牛乳の停止にあたり、毎年医師の診断を必要とし、「学校生活管理指導表」を提出させています。
しかし、アレルギーの体質が、1年でそう簡単に変わるでしょうか?
もちろん、毎年、医師の診察を受け、アレルギーの状況を確認することは、大切です。
一方で、アレルギーの診断→診断結果を聞きに行くだけで、2日を要します。
仕事をしていれば、休む必要も出てきます。
そもそも、アレルギー対策の基本は、アレルギー物質の除去です。
アレルギー診断で改善したとしても、数値が回復したから「毎日飲みたい」「毎日飲ませよう」とはならず、抵抗があるのは当然のことです。
保護者や本人の負担、手間を考えれば、毎年の提出は必要ないのではないでしょうか?
論点②牛乳の廃棄を減らす必要
陳情者によれば、練馬区の小中学校の給食で年間約2万本以上の牛乳が廃棄されているとのこと。
牛乳1本の単価68円で計算した場合、年間約140万円の公費の損失となっています。
現在は給食費は無償です。
保護者が牛乳を止めなくても、損はありません。
となれば、アレルギーの診断を毎年取ることが負担でできないからと、牛乳を停止せず、「嫌いだから飲めない」などの理由で、残すことは可能です。
それらは、廃棄につながります。
つまり、毎年の診断書を不要にすることは、牛乳の廃棄を減らすことにもつながると考えます。
SDGsの観点でも重要だという、陳情者の趣旨にも賛同します。
論点③「好き嫌い」を尊重すべき
アレルギー以外でも、様々な理由から、牛乳を飲めない子どもがいます。
その理由が「好き嫌い」であったとしても、飲むことを強制すべきではありません。
現在は、練馬区でも、そのような指導はしていないはずです。
食というのは、とてもプライベートな部分に触れる子どもの権利であり、食べたくないものを強要はできません。
これは、牛乳以外の食材でも、同様です。
子どもの権利を尊重するなら、「牛乳を飲みたくない」という理由でも、牛乳を停止することは認められるべきです。
そしてそれが、牛乳の廃棄量の削減につながるなら、より良いことではないでしょうか。
論点④栄養の問題
牛乳を停止しても、別の、代替の食材が用意されるわけではありません。
それは、現在アレルギーで牛乳を飲めない子どもたちも同様です。
牛乳を飲めない子どもが一定いる以上、「栄養価が不足だから飲ますべき」だというよりは、
飲めない子どもたちへの代替の食材を検討すべきではないでしょうか。
(もちろん、それは、様々な事情で難しい、簡単なことではないとは思いますが…)
一方で、11月7日・8日に、牛乳が練馬区全校で停止される、提供されないということが起きました。
こちらは事業者の不備とのことです。
牛乳の栄養価が大切なのであれば、このようなことを起こさないこと。
牛乳を飲みたい子、飲める子に、まず確実に、提供されることが重要ではないでしょうか。
論点⑤診断書を不要としている区もある
練馬区資料によれば、23区のうち、停止対応があるのが20区。
うち、診断書が不要なのが、4区。
診断書が必要でも、毎年提出させているのは5区のみ。
この状況をみれば、毎年度、必ず提出させるという対応を変えてもよいのではないでしょうか。
賛否の結果
以上の理由から、高口としては、陳情に採択、賛成の表明をしました。
この次の委員会で賛否の審査があり、
採択
インクル(高口所属)
生活者ネットワーク
不採択
自民党
公明党
立憲民主党
共産党
維新の会
残念ながら、反対多数で不採択となりましたが……
今後も、よりよい給食のあり方や保護者負担の軽減、給食廃棄の削減などについて、議論したり、求めていけたらと思います。
【参考】【高口ようこ一般質問2023-4】気候危機対策(断熱)と有機給食を、急いで…!
【参考】練馬区HP:学校給食