文教児童青少年委員会レポート①性暴力等防止特別対策委員会の提言②学校工事…他【2024年10月8日】
2024年10月8日、文教児童青少年委員会のレポートです。
【1】練馬区児童生徒への性暴力等防止特別対策委員会の提言
■特別対策委員会とは?
教職員による盗撮やわいせつ行為、そして元校長による性暴力事件を受け、練馬区は2023年12月「練馬区児童生徒への性暴力等防止特別対策委員会」を設置。
4人の委員(学識経験者、医師、弁護士、心理の識者)により7回の会議を経て、今回の『提言』がまとまりました。
94ページにわたる資料で、その内容には、首肯できる点、これまでの区の施策からは漏れていた指摘が多々ありました。
■『提言』の概要版より
- 性暴力に関する理解の浸透の重要性
- 性暴力が発生しない、発生させない風土づくり
- 教職員への研修による意識改革
- 児童生徒の人権と性に関する教育
- 教職員にとっての安全な組織の整備および性暴力を発生させないための取組
- 性暴力が発覚した後の対応
- 相談窓口の整備マニュアルの改定
- 被害者への支援
- 二次被害防止の重要性
- 生じた場合の適切な対応
- 被害生徒からの聞き取り、対応
- 関係機関との連携強化
- 誹謗中傷対策
- 加害者である教職員への厳正な対応
- あるべき研修の例
- 児童生徒への性教育
- 教職員、保護者への研修
- 研修内容→「練馬区独自の『人権を基盤にした教育・研修プログラム』の作成をお願いしたい」
繰り返し、対策し、改善し続けることが重要
>終わりに
>練馬区では、性暴力防止のための対応が進んできている。
>発見のために重要な窓口も独自で開設し、発見の風土を醸成するための教職員研修や児童生徒に対する「生命(いのち)の安全教育」の全校実施も進んでいる。また、発見後の練馬区対応フローも整備されている。
>ただ、制度=「うつわ」ができても、その「うつわ」の運用が、「人権」に基づいて行われなければ、「児童生徒を性暴力から守る」という理念が理念で終わり、実際の児童生徒を守ることにはつながらない。
>学校が児童生徒の尊厳を守り、平等な場所で、しかも成長発達権を保障する場であるために、私たちは研修がとても重要だと考えた。
>今必要なのは、「学校が性加害を生まない風土づくり」であり、そのため
には、適切なプログラムが欠かせない。
>練馬区独自の研修・教育プログラムを作成し、それに沿って、繰り返し研修・教育を行うことが、今の練馬区に必要なことである。
この「おわりに」にあるように、「繰り返し研修・教育を行い、改善を続けていくこと」が重要です。
■今後の動き
この提言を踏まえて、次の委員会で、区の対応方針を策定。
区立学校で方針に沿った取組みを行っていく、とのことでした。
※今回は『提言』の「受領」、「提言を受け取った」という報告なので、個々の内容の質問には答えられない、とのこと。
ですので、要望という形になりましたが、『提言』のなかで、高口が注目したポイントをいくつかお伝えします。
★高口の注目点①これまでも「見過ごされてきた」
『提言』(P6)に
>これまで児童生徒性暴力事案が発見されなかったことは、「児童生徒性暴力がなかった」ではない
>見過ごされてきた
>学校が尽くさなければならない安全配慮義務に違反していた
と記されたこと、その通りだと思います。
これまで声をあげられなかった被害者がいたこと、今もいることをしっかり考え、踏まえたうえで、対策をとることが重要です。
そして、その対策を繰り返し改善しながら、対策し続けていくことが必要です。
★高口の注目点②「同じカウンセラーによる対応の継続」
『提言』(P7,8)には、
性暴力が「生涯にわたる深刻な被害を生じさせる」と述べたうえで、
>少なくとも民法上の成人になるまでは
>同じカウンセラーによる対応が継続することが必要
と提言しています。
一方、練馬区のスクールカウンセラーは、会計年度任用職員で、1年雇用。
東京都教育委員会では、スクールカウンセラーの大量解雇が問題になっています。
スクールカウンセラーの待遇改善、会計年度任用職員を見直し、継続的に雇用する必要があります
★高口の注目点③外部講師による性教育
『提言』(P24)は、リプロダクティブヘルス・ライツや、「七生養護学校事件」「歯止め規定」の問題にも触れ、気骨ある提言だなと感じます。
外部講師(東京都の産婦人科医の派遣事業)による性教育に関しても、「今後積極的に増やしていただきたい」と書かれています。
他区では、性教育に全校分の予算をのせているところもあり、練馬区でもしっかり予算化し、すべての学校で実施できるようにすべき、と求めました。
★高口の注目点④盗撮への対策
決算のこども家庭費の質疑でも述べたのですが、盗撮については、その背景を認識することが重要です。
SNSのコミュニティの広がり、スマホ・タブレットの普及、盗撮画像が売れる・儲かる…ビジネスとして成立していること。
練馬区だけで解決できることではありませんが、背景を認識したうえで対策をとることが重要です。
★高口の注目点⑤こども間の性暴力も問題に
今回は教職員による性暴力ですが、こども間の性暴力、盗撮も問題化しています。
被害が起こらないことを願っていますが、考えておくことが大切です。
そのためにも、人権意識、性教育が重要です。
★高口の注目点⑥社会の根底にあるジェンダー差別
今回の『提言』では、「人権意識」の問題がある、「性暴力は人権侵害」だと、複数ページで指摘があります。その通りです。
P2では、家父長制が「ジェンダー差別秩序を維持するための装置として機能し続けた」こと、その後も「家庭の中の親・大人・男性の権力性が性犯罪を容易にする要素であることがやっと認められた」とあります。
権力性、ジェンダー差別が、性犯罪の背景になってきたこと。
社会の根底には、いまだにジェンダー差別があり、それを正面から見据え、取り組んでいくことが不可欠です。
★高口の注目点⑦大人への研修
『提言』では、教職員、保護者への研修も必要としています。
人権意識、性教育や研修など、子どもや先生だけではなく、大人が学ぶこと、学び直していくことが必要不可欠です。
★今後の区の「対応方針」に注視を!
他にも、『提言』には、重要な提案が多々されています。
練馬区が、この『提言』のすべてをしっかりと踏まえて、提言に従った対策をとっているか、今後の取組方針の内容を注視したいと思います。
【2】学校の工事①石神井小 ②豊玉中 ③中村西小 ④大泉学園中
①石神井小学校→増築
補正予算でも質疑が出た、石神井小学校の増築。
【参考】
- 2024-2026年度:基本設計・実施設計
- 2026-2027年度:工事
★高口より要望→保護者の声をしっかり聴いて検討を!
石神井小学校の増築について、保護者が、なるべく子どもに負担のない方法、校庭の広さに影響に出ない方法を求めています。
保護者の声をしっかり聴いて、よく検討してほしい、と要望しました。
区の回答は
- 増築→過去、近年に例がない
- どういう進め方をするか、工事設計の中で
- 保護者、地元に説明→慎重に検討
- 保護者の声、教育委員会に届いている
- まず説明が必要
- どのような形で、どの時期に行うか検討
- 決定したら保護者等に知らせる
★高口からは、しっかり説明したうえで、保護者の声を反映するよう、重ねて求めました。
②豊玉中学校→長寿命化工事
※長寿命化は、改築(建替え)とは異なり、建物の骨組みなどは残して、必要な改修を行うものです。
※他の区立施設で「大規模改修」を行うと、建替えでなくても、新築のようにピカピカになるのですが、長寿命化工事はそこまでにはならないようです。
- 2024-2026年度:基本設計・実施設計
- 2027-2028年度:工事
- 外壁、内装、塗装等の工事(※具体的な工事内容は、設計の中で決める)
- 仮設を建設
→半分ずつに分け、半分引っ越し+改修
→終わったら戻り、残り半分を引っ越し+改修
Q:断熱、暑さ対策は?
- 区「酷暑への対応」「断熱の対策→設計の中で検討」
③中村西小学校→改築(建替え)
- 校舎、体育館、プールの改築
- 2024-2027年度:基本・実施設計
- 2027-2030年度:工事
Q:運動場の面積や100m・50m直線走路はどうなるか?
- 区「必要な面積は確保する」
Q:中村小にファミリータイプのマンション3棟ができる
- 区→「中村西小の学区域にも大きなマンションができる」
- 年2回、児童数推計→マンションタイプ・戸数の見込みを出す
→「影響が出ないよう教室確保を検討」
④大泉学園中学校→建替え
- 校舎、体育館、プールの改築
- 2024-2027年度:基本・実施設計
- 2027-2030年度:工事
- 2026年度前半頃に説明会予定?
Q:武道場はどうなるのか?
- 区「体育館と別」「これから設計」
- 敷地の形が「整っていない」「校舎とグランド配置、確保」
- そのうえで「武道場を残せるか、改築かを検討」
★高口質疑①プールの問題
練馬区が、1校1プールの設置について見直しの方向性を示しています。
私も、現在のプールのあり方については、見直しが必要とは思います。
たとえば外部指導員を招き、夏休みも外部に依頼し、子どもが学校の授業のなかで泳げるようになる、専門的な指導が必要だと考えています。
多忙な先生まかせにせず、地域開放等も含め、学校プールをもっと活用すれば、無駄にはなりません。
委員会では
- 旭丘小中学校では、一貫校にする際、プールが1つでは授業数が不足するため、「温水プール」にした経緯がある
- 中村西小は、近い中村小学校が大規模校
→共同利用にして、授業数が足りるのかなど、疑問が残る - 子どもの環境を第一に、慎重に検討してほしい
という点を要望しました。
※今回の中村西小、大泉学園中については、プールは設置する方向で進めています。
★高口質疑②屋上緑化
練馬区は、『環境基本計画』を改訂し、その中で、屋上緑化の基準も変えました。
ざっくりいうと、
- 周辺に見えるみどりを増やす→外周、沿道のみどりを増やす
- 都条例に合わせる
というもの。
都条例は、以前の練馬区の基準より低いので、屋上緑化の基準としては、引き下げとなります。
これは、屋上に太陽光パネルを設置するという事情もあるのですが、
専門家からは、「太陽光パネル+屋上緑化」の両方の設置は可能
と聞いており、それを求めました。
★高口質疑③屋上緑化→水耕栽培の手法も!
屋上緑化では、「水耕栽培」という新たな手法もあると教えてくださった方がいて、その点を質疑しました。
【参考】福島高専・鴨下祐也准教授「水耕栽培による建築物の屋上緑化」
https://www.ccr.gunma-u.ac.jp/4u/News/2010/Documents/NewTechnologyNo11/NewTechnologyNo11_D05.pdf
- 断熱の効果も違うという話も聴く
- 練馬区の小学校で、改築時の屋上緑化により、泥が詰まるという話も聞いた
- 水耕栽培は
- 軽量な装置で緑化できる
- 土が飛ばない、配管を詰まらせない
- 根がコンクリートを突き破らない
- 大きく育ちすぎない
- といったメリットがある
→新たな手法の導入、検討を要望しました。
★高口質疑④全校で断熱改修を!
今回の工事の報告は4校。
一方、夏の信じられない暑さで、エアコンが効かない、最上階が暑いという話はよく聞きます。
改築や改修を順番にやっていては、とても来年に間に合いません。
でも、練馬区のどの学校も、どの子も、暑いのです。
早期に、全校で、断熱改修を予算化してほしい!
と、要望しました。
区の答弁は
- 暑さ対策→普通教室の空調更新を進めたい
- 2026年度~着実に実施
とのことでした。
しかし、断熱をすることで、エアコンの効率も高まります!
断熱改修をすれば、普通の家庭用エアコン2台ほどで済み、地域の電気やさんに頼めるので、設置も修理も楽にできます。コストメリットもあります。
「断熱とエアコンはセットで!」と、さらに要望しました。
★老朽化というなら、小竹小の早期改築を!
築59年の豊玉中学校で「老朽化」が進んでいると、区が答弁しました。
ちょっと笑ってしまいました……
もちろん、老朽化した学校は、はやく対応すべきですよね!
であれば、練馬区で最も古い、築65年の小竹小も、一刻もはやく改築すべきです!
いつもいつも言っていることですが、今回も「小竹小の早期改築」を要望しました。
【3】児童手当制度改正→区の対応
区の対応として、コールセンターを開設します(11月末まで。4回線)
※概要→区の資料がUPされ次第、画像をUPします
【4】ねりっこクラブ運営委託業務事業社の決定
■新規→2校
- 光和小:株式会社学研ココファン・ナーサリー
- 応募4社から決定
- 区内で4か所目の委託
- 橋戸小:株式会社日本保育サービス
- 応募6社
- 区内で2か所目
■再公募→4校
- 開進第四小学校:株式会社セリオ(応募2社)
- 練馬第二小学校:株式会社マミー・インターナショナル(応募4社)
- 旭町小学校:学研ココファンナーサリー(応募3社)
- 南が丘小学校:株式会社東急キッズベースキャンプ(応募3社)
※再公募の事業者は、変更なし(これまでも委託してきた事業者が継続)
※期間はどちらも:R7年4月1日~R12年3月31日
【5】練馬子育て応援アプリ→愛称募集
- 募集期間→10/11~1ヶ月
- アンケート機能を使って投票
高口からは…
- 愛称募集自体は否定しないが…
- 保護者は「使いやすさ」を求めていて、使いやすければ、愛称がなんであれ、利用者は増える
- 愛称に自分たちの意見を反映させるより、中身の使いやすさ、改善に意見を反映してほしいと思っていると思う
- ほしい機能や、改善してほしい点、「ここをこうしたら使いやすくなる」→利用者が一番わかっている
- そのアンケートをとってほしい
と要望しました。