【決算・高口質疑】①谷原保育園②子どもの睡眠③教育虐待④盗撮・児童ポルノ

2024年10月2日、決算特別委員会、こども家庭費での高口の質疑。

論点は4点

①谷原保育園
強制転園させられた元1歳児クラスの保護者の声をそのまま伝え、練馬区の見解を問いました。
今も苦しんでいる保護者の気持ちが伝わればと願いつつ……

②子どもの睡眠
厚労省の基準に達していない、子どもの睡眠の短さ。
睡眠の重要性と、区の対応を問いました。

③教育虐待
虐待としてまだまだ認知されづらい問題。
社会的な背景も含め、区の取組みを求めました。

④盗撮、児童ポルノ
SNSコミュニティの拡がり、盗撮画像が儲かる、ビジネスとして成立している背景…
本当に本当に深刻な問題について、区としての認識や対応を質疑しました。

↓以下、質疑です。
※正式な議事録は、区議会HPに後日UPされます(11月下旬頃)


【1】谷原保育園問題

谷原保育園について伺います。

★強制転園させられた元1歳児保護者の声を”そのまま”伝える

私の子どもも昔、保育園を転園した際に環境が変わったストレスで、顔面麻痺になりました。
安定、継続した保育環境が、子どもにとっては何よりも大事との観点で伺います。

昨年度、保護者の反対を押し切り、1歳児クラスの転園を強行しました。
現在、しろくま保育園に通う元1歳児の保護者複数から直接伺った声を、そのままお伝えします。

  1. 「安全性や保育の質は、私立保育園と区立保育園で大きな差があると感じており、
    地域の子育て環境の質を確保するために区立保育園の必要性を感じている」
  2. 「誘致された私立保育園が軌道に乗るにはまだまだ時間が掛かると感じている。
    引き継ぎ期間1ヶ月は短かったし、半年やってもらっても満足できたか疑問がある。
    子ども達が犠牲となった強制転園に到底納得はできない」
  3. 「私立保育園で保育を受けるうちに転園を考えるようになったが、
    練馬区で保育園を選べる状況にはなく、
    仕方なく転出も視野にいれた転園を考え始めている。
    子どもへの負担となるが、区立の安心安全な保育環境を知ってしまった為に
    いつまでも比較してしまう事や、
    私立保育園にも負担をかけてしまうことが保護者として苦しくなっている」

Q1:保護者の声を受け止めよ

これらの保護者の率直な意見に対し、「区立保育園の必要性」という点を含めた
区の受け止めと、今後の対応を伺います。

【A:保育計画調整課長】
  • しろくま保育園へのご転園に関するご質問でございますけれども、
  • しろくま保育園へのご転園につきましては、これまでも、一般質問でご答弁ですとか、先般の予特等でもご説明を重ねさせていただいている所でございます。
  • 転園につきましては、入園申し込み時の入園のご案内で、転園が必要である事を保護者の皆様にご周知すると共に、お申込みいただいた後も、区として説明を丁寧に重ねてきたところでございます。
  • しかしながら、これまでの保護者の方のご意見を受けまして、転園までにしろくま保育園の保育士がですね、混合保育という形で、谷原保育園の保育に参加する、保育参加、これを実施いたしまして、併せて、区としましても、これに関する保護者説明会、集合形式で計5回実施いたしまして、保育参加、都度お便りを4回、発行いたしました。
  • また、併せて、インターネット上で、ご意見を受け付けるフォームを昨年度中に作成いたしまして、ご意見を随時受けると共にですね、
  • 開園後につきましても、保育課の園長OBの職員がですね、複数回巡回支援をしろくま保育園に行うなど、丁寧な対応に努めてきたところでございます。
  • 委員がおっしゃるような、強制、というようなことには当たらない、ということで私共認識してございます。
  • ただその中でですね、保護者の方が、様々な思いを持ちましてご転園されたということについては、これまでご意見をいただく中で区としても受け止めているところでございます。
  • インターネットの、保護者様用のご意見受付フォームにつきましては、現在も引き続き開設をしてございます。直接園を介さずですね、区の方にご意見をいただける、24時間受付ができるものとなってございます。
  • こういった点、保護者の方のご負担も少ないものと考えてございます。
  • 今、委員からお話のあったご意見、何点かございましたけれども、そのことについて、区まで耳にしているものは少ないのかな、という風に考えてございますけれども、こう言ったフォーム等もご利用いただきたい、というところでございます。
  • いただいたご意見につきましては、私共としまして受け止めをいたしまして、園と共有可能なもの、こちらについては共有いたしまして、今後もより良い運営に向けて、区として園をサポートしてまいりたい、このように考えてございます。
  • また、区立保育園につきましては、公共施設等総合管理計画に基づいて、お示しをしている通り、対応を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

★保護者と子どもを苦しめる施策。二度と繰り返さないこと!!!

今なお苦しんでいる保護者の声を正しく認識して、二度と繰り返さないこと、
谷原保育園・区立保育園の存続を求めます。

※「強制転園」だと、当事者である保護者が言っているのに「強制という言葉にはあたらない」と平然と述べたり、
苦痛な保護者の声を伝えても、区では耳にしていないとごまかしたり。

本当に酷い答弁でした…
聞く気も、受け止める気もゼロ。

これまでも、このような態度の練馬区に「何を言っても無駄だ」と思い、フォームで伝えようとしなくなるということを、想像もできない浅はかさ。

自分たちの問題を棚にあげて、フォームを開いているからいい、という態度。

事前に、「保護者に失礼になる答弁、保護者を傷つける答弁だけはやめてほしい」と繰り返し要望しましたが、この答弁を見た保護者はどう思うでしょうか?

現に、転園まで考えている状況だと伝えているのに……

こんな練馬区政で、
「練馬区で子育てしたい」「練馬区の保育園に預けてよかった」と思えるでしょうか?
そう思っていただける保育施策を行うことが、練馬区の責務ではないのでしょうか……

…言い返したいことは山ほどありましたが、限られた時間なので、思いだけ伝え、やむなく次の項目に移りました。

【2】子どもの睡眠、区として対策を!

★子どもの睡眠不足の現状

先日夜9時すぎ、区内の駅前に、たくさんの保護者が塾帰りの子どもたちを
待つ姿を見かけました。
親も子も大変だなあと思いつつ、今から帰宅して寝る準備をして…と、
睡眠時間が心配にもなりました。

といううちの子も遅めで、毎日「早く寝なさい」という日々ですが、

日本のこどもの睡眠時間の短さは有名で、
理化学研究所と東京大学による、小中高生を対象にした睡眠実態を把握する今年の調査でも、
「全年代で、おおむね半分以上の子どもたちが、厚労省が推奨する睡眠時間を満たしていない」
と判明しました。

研究チームの東京大学岸特任講師によれば
「塾や部活を含む子どもたちの忙しいスケジュール」
「核家族化や共働き世帯の増加などの社会構造の変化に伴い生じた家庭の生活時間帯の夜型化、
スマホやタブレット等のデジタル機器の普及など」
を要因にあげています。

また、一般社団法人日本栄養睡眠改善協会代表理事で、
『快眠は作れる』の著者である村井氏は、

「子どもの脳の発育が心配」
「小学生から睡眠がおかしいと中高生まで引きずるおそれがあり、早めに改善したい」
「睡眠対策は、自殺防止としてのうつ予防にもなる」
「まずは睡眠のチラシを区立施設に置くだけでもよいのでは?」

と提言しています。

江戸川区では、「睡眠と健康」と題したHPをUPしたり、youtube動画も作成し
区民に周知啓発をしています。

Q:区として対策を!

①区は子どもの睡眠の大切さをどのように認識しているか
区としてどのように対策をとるのか
見解を伺います。

【A:子ども家庭支援センター所長】
  • 区としましても、子どもの成長にとって睡眠は重要であると認識してございます。
  • これまでも、保健相談所では、乳幼児健診等において、決まった時間に寝て、決まった時間におきる、と言った生活リズムを整えるよう保護者向けに案内すると共に
  • 中学生を対象としたがん予防教室の機会なども捉えて、生活リズムを保つ重要性について周知しているところでございます。
  • 子ども家庭支援センターにおいても、相談を受けた際、生活リズム等を確認し、必要に応じて睡眠の重要性を伝える等の対応を行っているところです。
  • また学校におきましても、小学校第3学年及び中学校第1学年の保健の学習で、健康な生活について学習する際、睡眠の重要性について学習をしている所でございます。
  • こう言った形で様々な機会を捉えまして、睡眠の大切さをこれまでも伝えているところでございます。
  • 引き続き機会を捉えて、睡眠の重要性について伝えてまいります。

★今後も周知啓発を!

今後も周知啓発、充実して行っていただきたいと思います。

【3】教育虐待の問題

続いて、教育虐待について伺います。

★教育虐待の背景、特徴など

3月13日放送NHK『クローズアップ現代 “教育虐待” その教育は誰のため?
にて、教育虐待という概念を10年以上前から学会で提唱してきた武田信子さんは
以下のように述べています。

  • 教育熱心(な保護者)は、実際に子どもが、今、どんなことを感じているかとか、
    何を考えていて、どうしたいんだろうということに、とても共感をする力がある
  • 教育虐待になってしまう場合は、子どもと自分が一体化していて、
    この子にとっていいことは、自分が全部知っている。すべて自分が決めてしまう、という感じ。
  • 自分が悪い親だとは全く思っていない

また、その原因について武田さんは「社会全体の空気感」をあげています。

  • すごく競争的な社会になっていますので、
  • 子どもが成功をしないとしたら、「それは親の責任だ、と問う声が上がってくる」
  • 「勝つ人と負ける人が出てしまう」
  • 「その結果として、一生懸命になり過ぎてしまう、子どもの姿が見えなくなってしまう」

また、虐待の特徴については

  • 身体的虐待よりも、じわじわといじめられるというか、
  • 「あなたは、できない子なのよ」なんていうようなことを毎日毎日言われていると、
    それが、だんだん心の中にしみ渡っていってしまって、自分を肯定できなくなっていってしまう。
  • しかも、それを、愛してもらいたい親から言われている。
  • そうすると、やっぱり私が悪いんだ、自分が悪いんだ、というふうに思ってしまう

と分析しています。

Q:区の対応は?

①練馬区では、「教育虐待」についてどう認識しているかが1点。
②また、練馬区ではどのような事例があり、どのような対応をしているか
2点伺います。

【A:こども家庭支援センター所長】
  • 児童虐待防止法では、児童虐待は保護者がその監護する児童に対して行う行為として、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4分類の行為を規定しているところでございます。
  • そのため、児童福祉法、児童虐待防止法など、法律上、今ご質問がございましたような教育虐待という分類はなく
  • 勉強しないことで、強い叱責を受けるですとか、暴言などがあれば、心理的虐待、叩かれる、というようなことであれば、身体的虐待。
  • 学習が終わるまで必要な時間に食事を食べさせてもらえない、そういった事があれば、ネグレクト、という形で対応しているところでございます。
  • 具体例としては、親の怒鳴り声が聞こえて子供が心配、と言った近隣住民の方からの通告があった場合、子ども家庭支援センターが調査を行いまして、その結果、子どもとの学習の事で喧嘩になり、怒鳴っていたというような事案があったところでございます。
  • 子ども家庭支援センターでは、子どもの思いなどを丁寧に伺った上で、当該世帯については、保護者に対し、過度な叱責は虐待にあたる、そのような形で助言したところでございます。

★長期的な観点での対応策を

長期にわたって影響の出る問題であって、「競争的な社会」という背景を含めて、教育委員会全体で
問題を共有し、対応策を取って行って欲しいと思います。

【4】盗撮、児童ポルノの問題

★深刻な被害と実情

NHKスペシャル『調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇』で、

小児性愛者のSNSのコミュニティが、盗撮をエスカレートした事件や、
Apple Storeで普通にリリースされている写真共有アプリが児童ポルノの温床になる実態、
盗撮がビジネスとして成立し広がっている現状等が、報道されました。

制服等から個人の特定までされたり、
性的な虐待を受けている子どもの画像が売られていたり、
例に出すだけでもおぞましいようなことが、現実に起きています。

背景には、子どもの性被害、盗撮や児童ポルノに対する社会の認識の甘さがあり
子どもを守る大人の責任を感じます。

Q:区としてできる対応を!

  1. こどもの盗撮、児童ポルノの問題について、まず、こどもの部署としての問題意識が一点、
  2. 練馬区は、学校内での性暴力については、元中学校校長の事件を受けて
    窓口設置など取り組んでいますが、区の小中学校に属さない子どもの相談先や、
    その周知を含め、学校以外の子どもに対しての対応はどの部署がどのように取組みをしているか

2点伺います。

【A:こども家庭支援センター所長】
  • 児童ポルノ盗撮は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰、並びに児童の保護等に関する法律、いわゆる児童ポルノ禁止法により犯罪行為に当たるものでございます。
  • そのため状況等を把握した場合は、警察等の関係機関と連携して対応する必要がございます。
  • 仮に児童ポルノや盗撮被害について、子ども家庭支援センターに相談があった場合には、子どもや保護者の思いを受け止めながら、警察などの専門機関を案内するなどの対応を行っているところでございます。
  • また、被害などにより、子どもに対して心理的影響などが生じているような場合であれば、警察を含め、児童相談所等が連携して心理的なケアを行うと共に必要に応じて、区においても関係機関が連携して心理的支援を行う場合もございます。
  • 次に、学校の生徒以外の取り組みということでございますが、現在区では、子ども達が性暴力被害に遭っている現状を鑑み、子ども達が被害に遭わないために、また、被害に遭った子どもたちの回復の為に、保護者の皆さんが出来る事を紹介するパンフレットを人権男女共同参画課でお配りしています。
  • またホームページ等で周知しています。
  • 引き続き、国や東京都はじめ関係機関が連携して対応してまいります。

★練馬区も子どもを守るため、取組みを!

警備会社セコムの記事によれば、
「あらゆる場所に子どもを盗撮しようとするものが潜んでいる」とのこと。

「ただ歩いているだけ、遊んでいるだけの写真であっても、性的な目的で盗撮されれば、
インターネット上で拡散したり拡散をきっかけに第三者に付きまとわれたりする可能性も考えられる」
と書いてあり、

子どもへの盗撮を犯罪を許さない社会になるよう
練馬区も全庁をあげて取り組んでいただきたいです。

★練馬区立美術館の改築→屋上から学校が撮影できる懸念

また、以下は款が違うので要望に留めますが、

私が盗撮に関して、とても心配しているのが、練馬区立美術館の屋上です。

改築された場合、美術館の屋上から見えるのは、富士山ではなく、
練馬第三小学校、練三小の子どもたちです。

図面を見た限りでは、角度によっては、プールも見える位置です。

数年前、学校内をじっと見ている人がいて、警察が対応した事案が実際にあったそうです。
このことが起きないと良いと、私もそう願っていますが、
対応を、(美術館改築の)見直しを強く要請します。

※ここまでで制限時間


【参考】2024年3月4日【高口質疑】①谷原保育園問題追及&②育児支援ヘルパーの充実を【練馬区予算・こども家庭費】