【決算・高口質疑】①ジェンダー②ヒバクシャ③会計年度任用職員④防災

2024年9月24日、決算特別委員会・総務費での高口の質疑です。

【1】男女共同参画計画

①次期計画に盛り込むべき2点

ジェンダーを正面から描いた朝ドラ『虎に翼』が高い評価を受けています。

日本初の女性弁護士、判事、家庭裁判所長となった三淵嘉子さんがモデルで、
主人公の寅子は、男女不平等の場面にぶち当たるたびに「はて?」と疑問を表します。

三淵さんが生まれて100年以上経ちましたが、いまだに女性たちが「はて?」と
言いたくなる現状は少なくなく、残念ながら、
練馬区の施策にも「はて?」と思うことがあります。

100年前の三淵さんらの行動があって今があり、
次の100年先のために、今私たちが行動せねばと思う中で
今年度策定の『第6次男女共同参画計画』で
練馬区を前に進める、大きなチャンスがやってきます。

土台となるのが、昨年度「男女共同参画推進懇談会」がまとめた提言、『意見』で、
その中で、私が注目する項目が2点あります。

Q1-1「セクシュアリティ教育の推進」と「公契約」を、計画に盛り込んで!

まず1点目は、「人権としてのより具体的な性教育、セクシュアリティ教育の推進」。
前回『第5次計画』ではジェンダーという言葉さえ入らなかったなかで、
今計画では、単なる性教育に留まらない人権的な性教育、包括的性教育である
「セクシュアリティ教育」を入れることは、とても重要です。

2点目は、「公契約において、発注先事業者の労働者の賃金・労働条件が一定の水準を上回ることを義務づける方策の検討」。
経済的な格差、待遇を実際に改善するうえで、公契約から変えることは、
現実的かつ効果的な手法です。
杉並区では今年度、公契約条例を改正し、下限額を8.17%、
93円UPの1231円に引き上げました。

民間に向けては「公共調達を通じた女性活躍の支援」という項目を設けており
評価しますが、民間に求めることは、区が率先して取り組むべきです。

一方、今年度男女懇に提出された計画案では、先程挙げた2点、
どちらも入っていません。入れなかった理由と、
どこにネックがあって入れられなかったのかを伺います。

《A:人権男女共同参画課長》
  • セクシュアリティ―教育につきましては、その内容を、「発達段階に応じた、性に関する知識や、暴力の防止に向けた啓発の充実、それから人権尊重、及び男女共同参画に配慮した教育、保育の実施」としてたたき台の方に記載をしております。
  • 「公契約…」につきましては、男女共同参画計画になじまない内容であるため、記載をしておりません。
  • 男女共同参画推進懇談会からは、非常にたくさんのご意見をいただいており、
  • それらを参考に、たたき台には、ジェンダー平等を進めるための情報発信の強化や、区内事業者に向けた働きやすい職場環境づくりへの支援として、盛り込んでいるところです。
  • 引き続き、懇談会のご意見も参考に計画策定を進めてまいります。

②「気軽に立ち寄れる居場所」のあり方

「なじまない」ということですが、民間の公共調達については、計画案には盛り込んでおり、
民間で取り組んでいただくのであれば、区が率先して示すべきだと思います。

今後パブコメがあると思いますので、そちらの意見も是非盛り込んで、
いい計画にしていただきたい。

女性たちが「はて?」を言わなくて済む、練馬区のジェンダー施策を求めます。

Q1-2:女性支援の居場所は、来やすい工夫を

昨年度の男女懇の提言には、
「生きづらさや困難を抱えた女性が、気軽に立ち寄れる居場所の提供」
とあり、計画案にも
「若年女性のための居場所事業および出張相談会の実施」
を新規に盛り込んだことを高く評価します。

私は以前、NPO法人ピッコラーレが運営する、
「ぴこカフェ」という居場所を視察しました。

サンシャイン池袋の一角で定期開催されている相談事業で、
Wi-Fi、スマホの充電はもちろん、生理用品等無料の持ち帰りグッズが豊富、
ネイルに占いまであり、とにかく女性が来たくなる工夫が細やかにされています。

相談会をただ開いても人は来ません。
ふらりと立ち寄りやすい工夫をしたうえで、
自然な話の流れで、支援につなげていくことが重要です。

また、池袋に及ばないまでも、もともと人の多い場所に設置することも不可欠な要素と考えます。

区はどうお考えか、伺います。

《A:人権男女共同参画課長》
  • 先日前川区長が、助成自立支援施設いずみ寮と未来を語る会を開催し、現地で意見交換を行いました。
  • 支援に携わる方々からは、区と施設との更なる連携強化の重要性や、困難な問題を抱える女性が、支援につながるきっかけとなる、居場所の必要性についてご意見をいただきました。
  • 区長からは、皆さんの話を伺って、この問題の重要性が改めてよくわかったこと、区としていずみ寮と協働した居場所支援の実施、区独自の支援の検討をお約束しました。
  • 今後いずみ寮や女性支援に関わる民間団体からのご意見を参考に、困難な問題を抱える、女性の早期発見と早期支援に向けて居場所での具体的な取り組み内容の検討を進めてまいります。

★声をあげる大切さ

是非、ご意見を参考により良い場所にしていただきたいと思います。

「今変わらなくてもその声がいつか何かを変えるかもしれない」
という『虎に翼』の主人公寅子のセリフどおり

声をあげ変えていくことの大切さを訴えて、続いて


【2】ヒバクシャや区民と協働で、平和の推進を!

平和推進経費に関連して伺います。

『虎に翼』で原爆裁判が描かれたことも、朝ドラでは画期的なことでした。
現実でも、黒い雨裁判が続いており、先日9月9日も、長崎地方裁判所で、
原告44人のうち15人を被爆者と認める判決が下り、控訴が予定されているそうです。

今もヒバクシャが核兵器廃絶の声をあげるなか、
これまで、平和祈念コンサートや平和祈念パネル展で、
練馬の被爆者の話等を取り上げるよう求めてきましたが、区は拒んでいます。

東京都の被爆者団体・東友会の関係者は
「8月の平和事業で、被爆者に証言させない区など聞いたことがない」
と仰っています。

他自治体では、たとえば先ほど(※他の会派の質問で)武蔵野プレイスの話が出ましたが、
武蔵野市では、市内被爆者団体と共同で
『武蔵野の空襲と原爆パネル展』を開催。

市の予算で発行する『武蔵野から伝える戦争体験記録集』にも、
被爆者の体験や、被爆者の孫の聞き取りが掲載されています。

市民団体・大学生、平和関連団体、公募委員、戦争体験者の計13名による
「武蔵野市非核都市宣言平和事業実行委員会」を設置し、
実行委員会による研修会や、武蔵野市内の戦争の調査発表をしています。

被爆者の高齢化で、若い世代や、被爆2世3世との協力が求められるなか
大学生等を入れた実行委員会は、参考になる取組みです。

区の平和事業に足りない一つは、この区民との協働だと思います。
平和は区だけで成り立たず、区民と話し合いながら実践していくことが
重要ではないでしょうか。

Q:被爆者は高齢化。早急に取り組みを!

①区内の被爆者がお元気なうちに、早急に、被爆者と協働し、
核兵器のおそろしさを区民に広く伝え残す方策を話し合っていただきたいという点、

②また、若い世代、被爆2世3世を含めた区民を巻き込みながら、
平和について考え行動する場を設けるべきではないでしょうか。

2点、区の姿勢を伺います。

《A:総務課長》
  • 区で平和推進事業といたしまして、平和祈念コンサート、戦時体験講話、平和祈念パネル展など実施しておりまして、
  • これまでも様々な方の意見を参考にしながら、取り組んでおります。
  • 事業に関するご意見等については、これまでに被爆者の方からも、ご意見を伺っておりまして、事業を進める上での参考にさせていただいております。
  • 話し合いを拒んでいるというご指摘は、あたりません。
  • また、若い世代に対しましては、例えばNPO団体、小中学校での講演ですとか、小竹図書館での小学生を対象とした戦争体験の講座なども実施しておりまして、平和を伝える取り組みを区として実施しているところであります。
  • 引き続き、区民の皆様のご意見、これを参考にさせていただきながら、事業を進めてまいります。

★人権課への担当替えも検討を

私が「拒んでいる」と言ったのは、平和祈念コンサート等で被爆者の方に語って頂くことをやって欲しい、という要望について、やっていない、という意味です。

この問題は、総務課じゃなく、人権課に部署を移したりとか、
あるいは区内被爆者団体の高齢化に対して活動支援もしていただきたい
…ということも求めて、次の項目に移ります。

【3】会計年度任用職員は給与UP、待遇改善を!正規職員は増員を!

職員人件費、会計年度任用職員人件費について伺います。

これまでも非正規公務員の待遇改善を求めてきた中で、
制度当初は期末手当、昨年度は2度目の給与ベースアップ、
…これは遡ってあげたのは初めてということです、

今年度は勤勉手当がつき、最近も、公募となる再度任用の回数上限が撤廃されました。

これは当事者たちが声をあげて国を動かしてきた結果です。

これからも声をあげる大切さを感じ、
練馬区でまだまだ改善できる点をお伺いします。

★区長が変わって、杉並区が実現したこと→練馬区でも導入を!

新しい区長が誕生したお隣の杉並区では、
今年度、会計年度任用職員の有給での生理休暇を、23区で初めて導入。
ボランティア休暇の取得も可能にしました。

一方、練馬区では、生理休暇はありますが、無給。
ボランティア休暇はなし。
近隣区ができたこと、まずはこの2点で、改善を求めます。

また、練馬区では昨年度、5職種69人、
今年度、3職種284人で給与引き上げがありました。評価いたします。
そのうち、例えば学校生活支援員については、都の引上げに合わせたという理由ですが、

杉並区では特に、非正規である会計年度任用職員の85%が女性である、ジェンダーの観点も含めて、
対象者1100人にも及ぶ給与引上げを行いました。

保育(時給約70-80円)、
児童指導(時給約150-170円)、
部活動指導員(時給670円)、
介護認定調査員で、月額約2万円も増額。

練馬区も昨年度、介護保険認定調査員の報酬を引き上げましたが、
月額7533円の引上げです。

練馬区でも、会計年度任用職員の給与増額や待遇改善を求めます。

保育や介護は女性が多い職種であり、
ジェンダーの視点を持った新しい区長になれば
わずか2年でこれだけ変えられのだなと感服するところです。

Q:常勤職員での育休代替や、「子育て部分休暇」の導入を

さらに杉並区では、常勤職員が育休代替できる体制を整え、
正規職員も150人増員。

また、こちらも新しく、子育て中の女性区長になった品川区では、
小1の壁対策として「子育て部分休暇」を導入。

これらは、やはりリーダーが子育てしていたり、
ジェンダー平等を大切にしているからこそ実現できた制度だと思います。

練馬区は育休代替を派遣で補っており、
上記2点での導入を求めますが、お答えを伺います。

《A:職員課長》
  • まず、会計年度任用職員ですけども、会計年度任用職員につきましては、これまで事務処理マニュアルに沿って、制度を構築してきました。
  • その中で、期末勤勉手当を初め、報酬の引き上げを行ってきたところです。
  • 休暇制度につきましても、制度導入にあたり充実を図っておりまして、今後とも特別区の人事委員会勧告や、国の事務処理マニュアル、また近隣区の状況、そう言ったものを踏まえて適切に行ってまいります。
  • 区は産休の職員の代替につきましては、人材派遣が行っております。
  • 昨年度の実績で言いますと、113名の実績がありました。
  • 男性の育児休暇を取得する際ですけれども、これまで休みの期間、代替のところで、派遣の方でなかなか取りにくいという声がありましたので、そう言った声に答えるために、今年度から常勤職員のポジションを、別の常勤の職員が期間限定で移動してサポートする制度を構築しまして、実施しております。
  • 品川区が行っております、子育て部分休暇につきましては、来年度4月から実施することは承知しております。
  • 練馬区でも勤怠管理のシステム改修など、既に休暇の新設に向けて検討しているところでございます。

★男性の育休でできたなら、女性職員でも実施を!

男性の育休に関しては派遣が取りにくいので常勤職員で代替している、
とおっしゃったかと思います。

派遣もなかなか取りにくい事になっているので、
男性の育休でできるのであれば、
女性の育休代替も是非、常勤職員で補っていただきたいなと思います。

やはり、区長の方針というのは重要だなと改めて感じつつ、

【4】ブロック塀撤去

ブロック塀等緊急対策経費で伺います。

2018年の大阪北部地震の後、区長は「攻めの防災」を掲げるようになりました。

翌2019年に「区内の危険ブロック塀を令和4年度までにすべて撤去することを目指し」
と発言され、当時はこの「令和4年=2022年度までの全撤去」を繰り返し強調されており、
「攻めの防災」のメインの施策といえば「ブロック塀全撤去」だったのですが、
いつしか、ブロック塀について触れなくなりました。

防災道路拡張もですが、ブロック塀撤去は、区民の財産、権利に抵触するものであって、
それが進まない大きな理由のひとつと考えます。

区民の財産だからこそ、「攻め」るより「対話」、
攻撃より、区民と話し合う姿勢こそ必要だと思います。

全撤去を掲げていた件数、現在の件数や達成率、達成数と、残りの数を伺います。

《A:防災推進課長》
  • 昨年度は令和5(2023)年12月から助成をより活用できるよう代理受領制度を開始しまして、昨年度末時点で約1600件のうち231件の塀が撤去されております。
  • 令和6年(2024)度から、防災まちづくり事業実施地区で更に、助成額を拡充しておりまして、
  • 引き続き、所有者のご理解をいただきながら、取り組みを進めてまいります。
  • 2022年度で全撤去を「攻めの防災」だと掲げていたのに、結果は、2年たった2024年時点で、わずか14%の進捗率。これが、「攻めの防災」の正体です。
  • 区長は今、別のところで「攻めの防災」を言い続けていますが、実際は、攻められいてるのは、区民です。
  • いつまで「攻めの防災」と言い続けるのでしょうか……?

※参考

※実際の議事録は、練馬区議会HPをご覧ください(11月下旬の予定です)