【補正予算】高口質疑①石神井小学校の増築②産後ケア③練馬区立美術館エレベーター問題

2024年9月18日、補正予算で、高口が質疑しました。

↓補正予算の解説はこちら↓
【練馬区議会】2024年度初の補正予算、がっつり解説!

今回、高口が注目した補正予算の問題は…

  • 工事の入札不調が、過去に例のないほど大量に起きている
    →その対応の補正予算が計上された
  • 区全体の工事が予定通り進まないなか、練馬区立美術館のエレベーター、エスカレーターだけ、3-4年も前倒しで発注
    →工事費全体の概算も出さないのに、昇降機のみ。異常な事態。
  • 石神井小学校の増築
    →改築からわずか3年で、近隣の大規模マンションにより、児童数が急増
    →「数年後」さえ読めないのに、今年度練馬区は、「20年後」の推計で、統廃合を決めようとしている…
  • 産後ケア
    →利用者急増
    →区内助産師さんへの運営補助が急務!

以上の論点をもとに、質疑しました。

※正式な議事録は、練馬区議会HPにUPされるのをお待ちください(2ヶ月後くらいです…)

【1】石神井小の増築→生徒への影響軽減を&統廃合も見直しを

①増築の経緯→設計時点でわかっていれば…

増築の経緯は前の会派で説明があったので省きますが(※)

※省略した説明はこちら

今回の増築は、隣の石神井公園団地の再開発により、
東京建物・ブリリアによる大規模マンションの建設があり、
2030年度で29学級、30学級まで増えると想定されるためです。
石神井小学校は2020年11月に校舎を改築したばかりでした。

区のまちづくり部署から建て替えの情報が入って、
2016年から17年の設計時点で、24学級で見込んで建てたものの
再開発後、予想よりも地権者がマンションに戻って来ず

想定より173戸多い543戸が売りに出され、
区が最終的な販売戸数を把握したのは
改築1年後の2022年4月でした。

もし、設計時点で分かっていれば、
今の校舎が12メートル、
高さ制限が17メートルなので、
4階建てをつくることは可能でした。

※参考:練馬区HP、石神井小学校の工事について

②保護者の懸念+説明会の早期開催を!

保護者からは、もともと広くはない校庭が
さらに狭くなることへの懸念の声が上がっており、
学校の大規模化による教育現場や子どもたちへの影響に対し、
丁寧な対応を求めます。

また、早急に保護者や地域への説明会開催を求めます。

その上で質問です。

Q1:プール改修とあわせ、校庭への影響を少なく

石神井小学校は、改築に当たってプール改修をしておりません。

プール改修と合わせ、プールの下に部屋を増やすなどして、少しでも校庭への影響を軽減できないのかが1点。

Q2:児童数増加の予測は困難だったのか?

設計時点で、今回の児童数の増加を読むことは難しかったのか、2点を伺います。

A:学校施設課長
  • 石神井小学校のプールにつきましては、校舎の改築設計の時点で築24年でしたので、存置をした経緯がございます。
  • 今回改築することは困難と考えております。
  • 増築等の詳細な施設規模、教室配置、工事工程等は、設計の中で具体的に検討してまいりますが、校庭面積の確保についても設計の中で配慮してまいります。
  • 2点目のご質問について区としましては、設計時に該当大規模マンションの計画を把握しておりまして、集め得られる情報を元に児童や学級数の推計を最大24学級と想定しておりました。
  • 新たに建設する大規模マンションの場合には推計のノウハウを持っておりましたけれども、今回の規模のような老朽化に伴う大規模マンションへの建て替えは初めてに近いケースでございました。
  • 建て替え後、従前居住者がどのくらい戻るのか、児童がどの程度増えるのかといった推測が難しかった部分がございます。
  • 今後も、こうした建て替え等が増えてくることが想定されることから、今回のケースを参考にするとともに、私立小学校や外国籍児童、過去に竣工したマンションからの入学率など学区ごとに様々な要素を加味したシミュレーションを実施するなど、
  • より精密な推計ができるように工夫してまいります。

③統廃合は早計!

今回は初めてのケースということもあって、
設計時点での推計は難しい
という答弁だったかと思います。

マンション事業者に非があるというわけではありませんが、
それほど大規模に売り出せば小学校の教室数が足りなくなる、
ひいては、自分たちが売ったマンションに住む子どもたちの
教育環境が悪化することを考えなかったのか、
と考えてしまいます。

大規模な再開発によって公共サービスが不足し、
子どもたちに皺寄せがいったり
想定外の税金を支出しなければならない
まちづくり全体の問題でもあります。

通常、大規模マンションの計画がわかった場合、
どのように事業者とやり取りするかを確認したところ、
デベロッパーに確認はするが
あくまで任意なので、教えられる範囲で、とのことでした。

突然の大規模開発で
今回のように生徒数が激増することがあり、
児童数の増加を読むことは容易ではない
と区も考えているかと思います。

Q3:児童数の増加は読めない→統廃合は早計!

その一方で、練馬区は今年、『適正配置方針』や『練馬区学校施設管理実施計画』で統廃合の候補校を発表するとしています。

設計時点で数年後の児童数の増加さえ読めないのに、
20年も先の児童数推計で統廃合を決めるのは
あまりにも早計です。

統廃合を強行した後生徒数が急増し、
今回のような増築となる可能性は絶対ないと言い切れるのか、
見解を伺おうかと思います。

A:学務課長
  • 推計自体につきましては適切に行なっています。
  • 今回のケースにつきましては、建て替えに伴う大規模開発というこれまでに経験した事のないもので、戻ってくる従前住民ですとか児童数の増える推測が難しかったところでございます。
  • こうした推計はすべての学校に当てはまるわけではございません。
  • 適正配置の基本計画で今後20年間を見越したものを推計し、その対応を検討すると設置してございます。
  • 今回のケースと適正措置は別物と考えてございます。
  • 引き続き、この推計に基づき適正配置についても適切に取り組んでまいります。

★今後も「想定外」は起こり得る!

今後も、経験がないこと、想定外は起こり得るわけで、
僅か数年でも児童数が増加してしまった。

より曖昧な20年後という推計です。

小竹小学校をはじめとした統廃合計画の中止、
見直しをすることが、確実で堅実なことだと思います。
要望します。

A:学務課長
  • 今後の少子化を見据えますと、適正配置は避けては通れないと考えています。
  • 今後の実施計画の中で、適正配置についてどうしていくのかを議会にもお示ししてまいりたいと考えております。

【2】学校の改築・改修で、断熱対策を早急に!

政府も今後、少子化にならないよう、一生懸命対策していると思います。

※高口注:質問ではないのに割り込んで答弁されたのですが、時間が限られているので、ここは一言だけ返し、次の質疑に進みました。

また、今後の学校改修に当たっては、

『学校環境衛生基準』で定められた
「28℃」を超える可能性が最も高い
最上階での温度測定を
全校で行なって、実態を把握し、

必要に応じて、断熱改修や、
教室の移動や遮熱カーテンの購入等の
対策を早急にとるよう、こちらは要望にとどめて、

【3】産後ケア→区内助産師、区内事業者支援を!

産後ケア事業費で伺います。

①利用者急増…一方、増えた施設は区外が多い

今回の補正の内容は、
当初予算で昨年より1.5倍を見込んでいたものの、
昨年度比2倍の勢いで利用者数が伸びており、
増額するものです。

一昨年から比べると3倍もの伸びで、
産後ケアが認知され、重要性が増したことによる表れです。

利用施設が増えたことも評価していますが、
一方、増えた施設は区外が多いのが特徴です。

母子ショートステイは14施設のうち9施設、6割が区外。
こちらは新規7のうち6施設と大半が区外です。

母子デイケアは16施設のうち9施設。
半数以上が区外

産後ケア訪問のみ15施設のうち区外2施設のみと少ないのは、
自前の設備が不要で参画しやすいからだと考えられます。

区外でも連携いただくのはもちろんありがたいことですが、
例えば新宿区戸山など近隣区ではない遠距離の施設もあります。

Q1:国・都の修繕予算を、練馬区でも使えるように!

今回の補正予算は、区内中小企業の支援の予算の意味もあり、
であれば練馬区内の助産師事業者新規開設し、
事業を維持、継続できる予算を重視すべきです。

そのためには設備の費用が課題となります。

これに対し国は、「妊娠・出産包括支援緊急整備事業」で
産後ケアの実施場所の修繕費の2分の1を負担する予算を確保。

東京都も「とうきょうパパママ応援事業」において
産後ケア施設の修繕費補助を出しており、

中野区ではこれらの補助金を活用し、
中野区産後ケア事業施設改修費補助金を設置し活用されています。

一方、練馬区では、練馬区がこの国・都の補助金を予算化していないために、練馬区の事業者はせっかくの国や都の予算を活用することができません。

区内助産院では今後も
古い入浴室の改装、エアコン新設、床の補修、洗面スペース設置など
利用者に必須の改修を予定しており、
早急に補助金の予算化を要望しますが、

区内助産師、産後ケア事業者の重要性を踏まえてお答えください。

A:健康推進課長
  • 区は平成28年度の産後ケア事業開始以来、担い手となる助産所等について、設備等も含めた受け入れ体制を確認した上で委託を進めて参りました。
  • 産後ケア事業の運営に当たりましては、各事業者の皆様と連絡会を開催し、意見交換なども行なっております。
  • その中で施設改修に当たっては各事業者の工夫で対応いただいているところです。
  • 今後個別に修繕の相談があった際には、現場の状況を確認のうえ、必要に応じて対応してまいります。

②赤字にならない運営費の補助を!

せっかく国と都の補助金が使えますので、
必要になったらぜひ対応して予算化もしていただきたい
と重ねて要望します。

産後ケアについて、引き続いて伺います。

産後ケアといっても、
入院してそのままショートステイする病院型や、
助産院での個別ケアなど様々にあります。

中でも助産師による個室・個別型ケアは傾聴や丁寧な関わりが魅力です。

今の育児はスマホからの情報が氾濫して、
正しい知識にアクセスしづらいからこそ、
助産師という専門家につながることが、
その後の子育てを支える上でもとても有効です。

Q2:運営費の増額を!

一方で助産師会からは、
個室・個別型ケアでは、母子デイケアの採算が取れない
との声が上がっています。

助産師会の試算では、

助産師、栄養調理、ベッド等、施設利用料、光熱費、食費、オムツ、ミルクと、
必要経費だけでも施設の支出は、
デイケア1組で2万5,500円、2組で4万1,500円。

一方、練馬区の委託料収入は
1組で1万9千円、2組で3万8千円となり、

1組で6,500円、2組で3,500円の赤字となります。

他自治体の補助額を見ると、
東久留米市で3万1,500円と高く、
近隣の西東京市で2万7千円、豊島区で2万5千円。
この額なら何とか赤字を回避できます。

練馬区の産後ケアの特徴は、
利用者負担額が低く、利用回数も多く、利用期間が長い。
利用者にとっては便利です。

それは評価していますが、一方で、
事業者が受け入れれば受け入れるほど
赤字になるのであれば立ち行かず、
利用者もそのことは望んでいません。

区内の産後ケアが持続可能となるよう適切な運営費補助の増額を要望します。

現状では丁寧なケアをするほど赤字になってしまう運営費補助の額について、
区はどう捉えているのか伺います。

A:健康推進課長
  • 区は定期的に助産師会の方々と顔を合わせて事業の実施状況や、合わせて委託料に関するご要望なども伺っています。
  • 委託料につきましては、他自治体での事業の実施方法や金額も参考にしながら、物価高騰などの社会状況も踏まえ、本年4月からデイケアに係る1件当たりの委託料を3千円増額したところです。
  • 物価高騰の最中でも必要な事業に対して支援しており、本事業についても他の事業の状況も確認しながら、適切に対応してまいります。

【4】工事の入札不調と、練馬区立美術館エレベーター問題

ぜひ、持続可能な補助金の増額をお願いします。

債務負担行為補正、美術館再整備事業経費に関して、時間がないので要望に留めます。

現在の補修予算にも見られる工事の入札不調と物価高騰を見れば、状況が落ち着くまで計画を延期するというのが賢明な判断です。

今回の補正予算での工事入札不調とコスト面を踏まえ、この美術館改築が本当に必要なのか、しっかりと見極め厳しく問い直すことこそ財政当局の役割であって、美術館計画改築の見直しを強く要望して、終わります。

A:美術館再整備担当課長

年齢や障害に係らず誰もが優れた文化芸術を楽しめる新たな拠点として整備を進めています。今後も着実に進めてまいります。

※高口注:要望で終わらせたのに答弁したうえ、財政の観点での質問なのに、答えになっていません…

★財政、コストを重視するなら、計画は最低でも延期すべき!

※用意していた質疑が時間切れでできなかったので、こちらに掲載しておきます

↓↓↓↓↓↓↓

まず今回の補正予算の大きな特徴が、工事の入札不調と、
不調対策の前倒し発注のため、債務負担行為が多額となった点です。

工事の不調だけでも、1億4900万円余。
再入札を行うため、約2割、経費が加算された額です。
工事の発注自体、前年度より1割ほど予算が上がっており
工事の増額や、人手・資器材不足で、スケジュール通り進まないのが、全庁的な現状です。

不調が多いのは主に設備系で、電気やエレベーターとのこと。

今回、練馬区立美術館改築の早期発注の予算が、まさにエレベーターです。
金額は、今年度の設置工事費で2億1654万円、来年度~2028年度までの
債務負担行為で3億2481万円、合計5億4135万円です。

基本設計では3億3770万円だった昇降機の費用が、2億(6割)もの増額
2月段階で公表した工事費が、美術の森緑地整備費と工事監理費含めて、合計92.8億円。
そこに今回の2億を足すと、合計で約95億円に

まだサンライフ練馬は残っていて
廃止の条例改正もしていない、解体工事の予算もついていないのに
エレベーターの予算だけ先行するのは、異例としか言いようがありません。

区民は、米不足からの価格高騰、米の入手さえ苦しむ現状で、
補正予算に物価高騰対策もありません。

練馬区立美術館計画への賛否を置いたとしても、
現在の工事の不調と、物価高騰を見れば、
「状況が落ち着くまで計画は延期する」のが、賢明な判断です。

今回の補正予算での工事の入札不調とコスト面を踏まえ、
この美術館計画が本当に必要なのか、しっかりと見極める、
厳しく問い直すことこそ、財政当局の役割ではないですか?

財政当局として、延期を検討するつもりもないのか?
工事の入札不調の現状と、財政的な観点から、お答えください。