旭丘の小中一貫校、ミスで南棟完成が4か月遅延!…他/文教児童青少年委員会レポ
2024年8月29日、文教児童青少年委員会のレポートです。
旭丘の小中一貫教育校の改築工事で、ミスが発覚…南棟完成が4か月も遅延
現在、解体→新しい校舎の建設工事が順々に進められている、旭丘の小中一貫教育校。
単純なミスとしか思えない内容で、子どもたちや学校現場に大きなしわよせが行くこととなりました……
原因
簡単に言うと……校舎の解体工事で、インターネットケーブルの移設が必要にも関わらず、設計に入れていなかったため。
事業者や、練馬区の施設管理部門が気づいていれば、防げたミスです。
■経緯
- 旭丘小学校校舎解体工事で、インターネットケーブルの移設を、設計時に想定していなかった
- 解体エリアにケーブルの引き込みがあることが発覚
- ケーブルの移設期間が必要になった(2023年9月に発覚)
- 予定していた南棟の杭工事の手配をキャンセルに
- 施行会社が同じ業者に再度お願いしたが、業界全体の資器材不足
- 杭は確保できたが、杭打機とオペレーターが確保できず(別の現場が決まっていた)
- 期間延長ができず、キャンセルとなった
- 再度の手配に時間がかかり、2024年6月、4か月の遅延が確定
■なぜ気づけなかったのか?
今回のケーブルは、職員室用のインターネットケーブル。
埋設されているわけでもなく、目視できる場所に設置されていました。
通常、改築時は、仮設校舎を建てて完全に移動させたうえで、校舎を解体して建て替える……という流れ。
一方今回の旭丘小中一貫校は複雑で、既存校舎を残しながら、解体→新築工事を進める、通常と違う流れであること、また、ネットの利用を職員室で支障なく進められていたため、解体時に初めてわかった……という説明でした。
■未然に防げたミス
とはいえ、通常と違う流れであることはそもそもの大前提ですし、目視できる場所にインターネットケーブルがあれば「それが設計にない」ことに、気づくことはできたはずです。
「防げた部分はある」と、区も認めました。
■責任は?
責任は、事業者なのか、区の確認不足なのか、両方なのか、を問うたところ…
「基本、会社に委託」だが「その中で区の施設整備部門も連携」するので
解体工事の会社と、区教委の施設整備部門、両方に責任があることを認めました。
遅延による影響
今回の工事は、2校を小中一貫校に建て替える、大規模な計画。
既存校舎を残しつつ→一部解体→できた建物から順次生徒が移動
…という流れのため、一部遅れれば、全体に影響が生じます。
開校予定(2026年4月)に変更はありませんが、そこの変更がないからOK、では済まない問題なのです。
■スケジュールの変更
- 南棟完成:2025年2月→6月
- 中学校既存体育館の解体工事完了:2025年8月→10月
- 北敷地の校庭整備完了:2025年10月→2026年3月
- 北棟完成:2025年12月(※変更なし)
■影響の例
①卒業式、入学式は新体育館で行えず
新しい体育館で活動できないまま、卒業する卒業生…。
残った生徒たちも、エアコンのない古い体育館で、また寒い冬を過ごすことに……
②1ヶ月も、仮校庭なしの期間が発生!
今も仮校庭を小中で共有し、狭い中、野球部が練習をしていたり、体育の授業をしていたり……そんな様子を見ていると、「仮校庭のない期間が1ヶ月もある」ということがどれほどのことかと……。
そこへさらに追い討ちをかけるように、仮校庭が全くない期間が1ヶ月!
学校と協議し、最も影響の出ない時期に調整したと言いますが、影響をゼロにはできません(学校の苦慮が伺えます)。
(時期は、開校直前の2026年3月)
③来年、8月までのプールは中止(9月以降で調整中)
プールについては、簡易ボイラーがつき、10月下旬~11月上旬まで入れるそうですが、授業課程にも影響が出るうえ、学校の光熱費もあがってしまいます。
練馬区は、「開校時期に変更なし」と言い、
一部議員は、「開校時期にずれがないからよかった」と肯定しましたが、子どもたちへの影響を思えば、簡単にそんなことは言えないはずです……。
しかも、防げたミスなのです……。
もっと真剣に、この重大さを受け止めるべきです。
報告が遅すぎる!!!
そもそも、ミスが発覚したのは「昨年9月」。
今年6月には、4ヶ月の遅延が確定し、学校には知らせていたのに、
議会への報告は8月末。
保護者、地域への報告はさらに遅れ、これからに。
■今年3月の地域説明会でも、説明せず
その前に、今年3月には地域説明会があり、その時点ではミスがわかっていたのに、一切説明がありませんでした。
練馬区は「協議の最中で、明確に申し上げられる段階になかった」としていますが、「こういう状況だ」という報告はできたし、すべきだったのではないでしょうか?
工事の影響を受ける保護者や生徒、地域を軽視していると、言わざるを得ません。
保護者として、子どもたちが仮設校舎で頑張りながら、新校舎の完成を心待ちにしているのを知っているので、
今回の「防げたミス」と、その後の対応については、本当に、憤らざるを得ません…
2025年度から使用する練馬区立中学校の教科書の採択結果
教科書の選び方
- 教科書協議会(委員:校長3、副校長3、教員3、保護者3の計12名)
- 種目ごとの調査委員会→調査の結果を協議会へ
- 協議会が答申を出す
- それを受けて、教育委員会の委員が判断
- 教育委員5名の合議で決定
…という流れ。
■調査委員はどう選ぶのか?
国語研究会など、教員の自主的な会から、部長を中心に委員を選定しているとのこと。
■保護者の代表をどう選ぶのか?
保護者は、中P連から推薦される3名とのこと。
「中P連に加盟しない学校も出ているので、今後検討を」という意見も出ていました。
参考
教育委員が一人ひとり推薦理由を述べており、経緯は議事録でわかるとの答弁でした。
★圧力に負けずに、選定を!
練馬区議会では、今年2-3月の予算特別委員会にて、今の歴史教科書の採択方法について「マルクス主義的階級闘争史観」「唯物論、無神論的な急進的進歩史観」だと批判する発言がありました。
私からすれば、映画『教育と愛国』で、歴史・科学が軽視され、政治的な介入がされ、教科書の表現が変えられてきた経緯を見れば、「マルクス主義的」とは、はて……? フィクションか、パラレルワールドの話かと、思ってしまうような発言です。
念のため、この批判的質疑を受けて、今回の教科書採択に影響はなかったか?を質疑し、「ない」との答弁を確認しました。
練馬区は、非常に偏った教科書だと報道される教科書を、これまで採択していません。
今後も圧力に負けないよう、練馬区には頑張って頂きたいと思います。
先生の負担ではない!? 令和6年度全国学力・学習状況調査結果
毎年、小学校6年生、中学3年生で実施される、「学力テスト」。
例年、「国の平均より都が高く、都より練馬区が高い」という傾向で、今年も同じ傾向でした。
テスト自体の、教員の負担
この学力テスト(学テ)自体に、様々な問題が指摘されていますが…
その一つである「教員の負担ではないか?」との他議員の指摘に対し、練馬区は、
- 「大きな負担になっているとはとらえていない」
- テストをやらせて終わりではなく、
- 「各学校に9月中に授業改善推進プラン」を作らせる
と答弁。
しかし……
この「授業改善推進プラン」を作らせることのそのものが、先生の負担ではないですか?
と、高口から指摘しました。
毎年、結果の傾向は、同じなのす。
プランをつくらせて、また同じ結果が出るよりも、その分、先生が子どもたちに向き合う時間をつくるほうがよいのではないでしょうか。
テスト結果より
学力の点数ではなく、「質問紙調査」について、「当てはまる」「どちらかといういえば当てはまる」に答えた割合で、気になる箇所が幾つかありました。
①先生や学校の大人にいつでも相談できる→6割
「困りごとや不安があるときに、先生や学校にいる大人にいつでも相談できますか」
という設問の回答(※)は、6割(小学校64.2%、中学校61.9%)。
東京都全体や全国(約67%)よりも、低い数字です。
全体的な傾向として、
・回答は7-8割
・「国の平均より都が高く、都より練馬区が高い」
という状況のなかで、際立って低い結果です。
②「自分にはよいところがある」「学校に行くのは楽しい」→8割
「自分にはよいところがあると思いますか」
「学校に行くのは楽しいと思いますか」
という回答にYESと答えたのは、8割程度。
8割もいるのだからよい、のではなく、
1-2割も「自分によいところはない」「学校は楽しくない」と答えていることは、大変重いことだと思います。
①②ともに、大きな問題です。
これを改善するには……たとえば、何をするにも、水をのむのもトイレに行くのも先生の許可がいる、という教室の環境、自由にできない教室の空気、日々の対応、教育のあり方全体を、見直す必要があり、それを求めました。
③「わかるけど、好きじゃない」
教科の質問では
各教科について「●●(国語や算数など)は好きですか」という質問に対しては、回答は約6-7割がYES。
一方、「●●(各教科)の内容はわかりますか?」という質問は、約8割がYESの回答。
つまり、「わかる」は8割いるのに、「好き」は6割しかいない。
「わかるけど、好きじゃない」という傾向があります。
学力は、楽しいと伸びるもの。
ぜひとも、「楽しい授業」をめざしてほしい、と要望しました。
練馬区立美術館・貫井図書館改築等工事近隣住民説明会の報告
8月24日(土)、練馬第三小学校にて行われた近隣住民対象の説明会。
高口も傍聴し、気になったポイントを質疑しました。
①日影図→地面の高さで
当日配られた資料では、日影図(建物による日陰の影響がわかる図)は、GL4メートル、つまり地上から4mで作成されたもの。
それは法令通りではあるのですが、一方、近隣住民は4メートルの高さで生活しているわけではありません。
説明会でも、「地面の高さでの資料を」との指摘があり、あわててパワポを用意して、画面に映す一幕がありました。
でもパワポの画面なので、細かいところがまったくわからず……
「資料として、住民に配布を」と求めたところ、「再度配る予定」との回答を引き出すことができました。
②質問に答えていなかった、貫井図書館が使えない期間
当日一番気になったのは、貫井図書館のヘビーユーザーだという方が
「3年間使えないのか?」
と質問したのに対し、明確な答えがなかったこと(代替施設について説明していた)。
その点を質疑すると、
「休館日は確定していないので、申し上げられない」
との答弁。
それならそれで、きちんとそう答えるべきです。
説明会のあの場で、質問者の質問に、明確かつ誠実に答えるべきでした。
他にも説明会では、まちづくり条例に基づく全体に関わる質問が出たにもかかわらず
「個別で対応する」という答弁もあり、
回答に疑問な場面がありました。
練馬区の成人式→「練馬区二十歳のつどい」に名称変更
練馬区の来年の成人式が、1月13日(月・祝)に決定しました。
会場は、改修の終わった練馬文化センターに戻ってきます。
これまで「練馬区成人の日のつどい」という名称でしたが、18歳成人を受け、わかりやすくするために、「練馬区二十歳のつどい」に名称を変えることに。
↓概要はこちら(練馬区HP)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/seishonen/seijin/hatatunotudoi.html
用務・給食の委託→直営校残りわずかに…
来年度、
- 用務:新規に1校(光和小学校)
- 給食:新規に1校(南が丘小学校)
が委託されます。
中学校はすべて委託済み、残る小学校も、わずかです。
残り、委託されていない(直営)学校は……
- 用務:大泉第六小、大泉東小、上石神井小、光が丘四季の香小、開進第一小、練馬第三小、小竹小=7校
- 給食:石神井小、光が丘第八小、小竹小、南町小=4校
年間の委託料は
※規模により差はあり、標準の数値
- 用務:1校1200万円
- 給食:1校2900万円
突然、事業者が倒産や撤退したら、どうなる?
他自治体で実際にあり、問題となりましたが、給食事業者が突然倒産したり、撤退したら、どうなるのでしょうか?
練馬区の答えは「業界内の代償補償を使う」というもの。
その補償に加盟している事業者同士で、いざという時、協力しあう仕組みだそう。
どういう内容なのか、詳しく聴くと
- 「適用例がない」(から詳しくはわからない)
- 現状行っていた分と同様の補填がある
- 区は加盟事業者と契約し、事業者を通じて手続きをする
- 第一義的に、代行業者が運営
という答弁でした。
実際に、給食事業者で突然の問題が起きている以上、どのような仕組みなのか、いざという時動かせるように考えておく必要があります。
何より、絶対に穴をあけてはいけない給食や用務の業務について、やはり、民間にまかせず、直営で、区として責任をもつべきではないでしょうか?
(用務は業務内容が多岐にわたるため、偽装請負など、委託ゆえの問題が生じることは、これまでも指摘してきました)
正規か非正規かも把握せず
雇用されている委託職員がどのような労働環境かについて
- いくら払っているか、一人ひとりは存じ上げない
- 最低賃金…「適正な執行かを確認」
- 雇用形態、労働契約の形態、確認していない
「最低賃金は守っている」という趣旨の答弁も繰り返していましたが、そんなのはごくごくごくごく当たり前のこと。
最低賃金で食べていけるわけがないのであって、そんな最低限のラインで「ちゃんとやっている」とドヤされても……汗。
職員の労働環境・雇用条件について、やはり委託では区として責任を持てない、持つ気がないのではと思います。
【参考】高口ブログ学校からいなくなる正規職員…用務と給食調理の委託、その問題」