盗撮教員の懲戒処分/0歳児保育が休止に…他【2024/8/2文教児童青少年委員会】
2024年7月30日、文教児童青少年委員会のレポートです。
練馬区立小学校教諭が駅で盗撮→懲戒処分
連続している、練馬区の教職員による、性加害の事件。
新たに、懲戒処分となった教員についてです。
【参考】高口が6月に区教委に確認した内容はコチラ
https://go2senkyo.com/seijika/166988/posts/918594
■事件概要
- 2023年11月6日19時頃:盗撮行為で警察へ→事情聴取
- 成人女性のスカートの中に、動画撮影状態にしたスマホを差し向ける
- 5人目で見つかり、警察に
- 11月7日:区教委による事情聴取→都教委に報告
- 11月8日~:加害者は「自宅待機」(※子ども、保護者への説明は「体調不良」)
- 被害届は出されず=逮捕されず、示談→和解、不起訴に
- 2024年3月:東京都教育委員会が事情聴取
- 6月24日:都教委による懲戒免職(行政処分)を発表→報道
- 6月25~27日:生徒、保護者、卒業生(当時の6年生担任だったため)への集会、説明会
↓区議会資料
質疑から見えた課題
■半年以上、子ども、保護者に説明されず…
もっとも大きな問題は、去年の11月に事件が起こり、今年の6月まで、約7ヶ月、保護者や子どもたちに何も説明がなかったこと。
保護者や子どもたちには、「体調不良」のために休み、と説明されていました。
保護者会でも、保護者からは
「なぜこれまで話してくれなかったのか?」
という反応が、大きくあったとのこと。
その理由について、練馬区は
- 逮捕されず、不起訴のため、正式に都教委の処分が確定するまで、部分的にも伝えることは難しく、説明を控えた
との答弁でした。
■保護者、子どもの不信を大きくしたのでは?
6年生の卒業間際になって、担任の先生が突然体調不良で休みと聞けば、事情を知らない保護者や子供たちは、当然心配します。担任に手紙なども書き、千羽鶴もつくって渡したそうです。
まさか盗撮で自宅待機とは思いもしません。
その結果、不信感は、より、強まったのではないでしょうか。
事情を詳しく説明できなくても、せめて、体調不良ではなく、「問題があって休みになった」「事情があって」など、子供たちの思い、優しさを、踏みにじらない対応ができたのではないのでしょうか。
練馬区も、
「お子さんに事実を伝えず深く傷つける結果になったことは申し訳なかった」
と認めていました。
■子どもたちへの被害はないのか?
もう一つ、保護者会で大きかった声は、
「学校で子供たちに被害は無いのか?」
当然の心配の声が、多く寄せられました。
練馬区の答弁では
- 警察がスマホを確認したところ、本件以外の盗撮はなく、
- 教育委員会の聞き取りでも他にやっていない様子だった
とのこと。ただし、「全てを保証できないが…」との一言も付け加えられました。
■手軽すぎる盗撮の大きな問題
盗撮の被害は、本当に今、大きくなっています。
加害者側は、罪悪感が薄く、手軽に行われる一方、デジタルタトゥー、被害者の傷は一生残ります。
今回は、逮捕されなかった、不起訴になった、初犯……だから問題が小さいのではなく、許されない卑劣な行為であること。
それを、全教員に共有するよう、求めました。
練馬区からは、
- 「教育委員会としても実態を重く捉えており、区内の教員には伝えている」
との答弁でした。
■この担任が、性教育を行った問題
この加害者が、いわゆる性教育である「生命(いのち)の安全教育」を行っていたことになります(各担任が行うことになっているため)。
盗撮をする教員が、きちんと授業を行えたのか? ……大きな疑問です。
また、子どもたちにも、きちんとした授業だったのか、不信感を残したと思います。
これまでも、教職員による性加害が続いていることからも、助産師など専門家による出前授業、先生まかせにしないする教育が大切だと、訴えました。
■日本版DBSに、この事件は載らない
性被害は、被害者が届をなかなか出せない、出しづらい、という実態もあります。
今回は逮捕されず、行政処分のため、先日法整備された「日本版DBS」には載らないことになります。
日本版DBSは、「刑事法に触れること、条例違反」が対象で、行政処分はDBSの対象にならないためです。
教員の免許は執行停止となるため、ふたたび教職につくことはできません。
しかし、学童や保育など、他の職種につくことは可能です。
その点について問うと、区は
- 国は制度設計の見直しの話もしており、動向を注視する
とのことでした。
■子どもたちのケア
何より大切な子どもたちのケアについては、
卒業生も含め、継続的に
スクールカウンセラーや全教員で対応するとのこと。
(ただ、担任や学校の対応への不信感が残った現状では、残った先生方は苦慮されることと思いますが……)
■都教委の事情聴取が遅すぎる
他委員から、「なぜ、都教員の事情聴取が4か月後になったのか?」と、都教委の対応の遅さを指摘する質疑もありました。
- 区答弁「都の教職員は6万人在籍」
- 本件以外にも、事故が「複数件発生」
- 「順番に一つずつ→処分まで半年を有した」
- 最終報告書をまとめるのに一定期間かかった
- そのため、都の聞き取りがこの時期になった
とのことですが、そもそも教員の配置などはすべて都教委の管轄。
迅速な対応が必要ではないでしょうか。
↓ここからは、「口頭報告」といって、資料の出ない報告が3件続きました。
通常、軽い報告が多いのですが、今回は重要な報告が続きました…
区立保育園0歳児の入園募集停止
こちらはとても大きな案件で、本来なら口頭報告で済ます内容ではないと思うのですが……。
まず、きちんと資料を伴ったきちんとした形の報告で議論ができるように求めました。
■3園で受入れ休止へ
- 令和7年度から
- 光が丘第二保育園
- 光が丘第十一保育園
- 富士見台こぶし保育園
- 理由→0歳児枠あきがあり、今後もあきがあると見込まれるため
■なぜこの3園なのか?練馬区の主張
練馬区の説明によれば、全体的に0歳児の需要が落ちてきているため。
0歳児保育を行っている188園のうち、空きがあるところが92園、空きなしが96園。
半分に満たない…というのが、練馬区の主張です。
■充足率は8割と高い
しかし、充足率を聞いてみると、8割。
0歳児は、年度途中で預けるケースもよくあるため、充足率10割では、年度末の対応ができないことになります。
1歳児から待機児童が増え、預けづらくなるから、0歳の年度途中から預けようという方もいらっしゃいます。
本当に、なくして、大丈夫なのでしょうか?
練馬区は、まずは今回は実証的にやってみるとしていますが、再開できるよう、「預けづらくなった!」などの声をあげていくことが重要です。
■今回の3園の在籍数
- 光が丘第二保育園:定員9→在籍7
- 光が丘第11保育園:定員9→在籍4
- 富士見台こぶし保育園:定員15→在籍2
光が丘第二は、充足率が約7割も。
空きがあるので0歳児の受け入れを止めると言う説明では、「在籍数が0か1人ぐらいか?」と言う印象を受けますが、7人もいるのです。
8月3日時点の「認可保育園の空き状況」がこちら。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kodomo/hoiku/hoikuen/nyuuen/ninka-aiki.html
※3園の募集停止について、欄外に記載。
※現時点で、まだ枠があるのに、「0歳児の受入れを停止」してしまっています。
■この3園を選んだ理由
なぜこの3園にしたのかについて、練馬区はこう説明しています。
「近隣に、0歳児保育を行っている保育園が複数あるから」
では、その近隣の保育園に、0歳児の空きがどのくらいあるのかと言うと、
「周辺がどの範囲か一概に言えないので、データベースを持ち合わせていない」
と答弁しました。
近隣に0歳児保育をしている園が複数あるから大丈夫だと言いながら、近隣の範囲は一概に言えない?
明らかに矛盾しています。
他の議員からは、「光が丘第二保育園の周りには0歳児の空きがなく、大丈夫なのか?」という疑問も呈されました。
■想定する範囲が広すぎる!
「近隣」に0歳児保育の受け入れがあるから、0歳児保育をやめても大丈夫と言っているのに、その範囲がわからないと言うのは、一体どういうことなのでしょうか?
実はその「近隣」の範囲が、とても大雑把なのです。
練馬、光が丘、大泉、石神井
いわゆる郵便番号で分けられる
4エリア。
そのあまりに大きな範囲を含めて「近隣にある」としているのです。
↓たとえば石神井の「近隣」の範囲はこちら
富士見台から石神井台、関町まで含む、とても広いエリアを「近隣」としているのです。
同じエリアといっても、富士見台にお住まいで、関町の保育園に預けることが現実的でしょうか?
「あきがある」
ことと、
「預けに行ける」
ことは、異なります。
また、「地域性もある」としていますが、
地域にマンションができたら動くといった、
非常に流動的なものでもあります。
■0歳児保育を、民間委託の”口実”にしてきたのに…
練馬区は、区立保育園を民間委託する理由の一つに、「0歳児保育」による「サービス拡充」をあげてきました。
谷原保育園でも、0歳児保育がないことを閉園理由の一つとし、誘致した民間園に0歳児保育をつくりました。
0歳児に空きがあり、やめるということは、その民間委託の根拠がひとつなくなることになります。
- 富士見台こぶし→令和9年度から委託
- 光が丘第十一保育園→令和10年度から委託
と、2園は委託が予定されています。
「委託の際に、0歳児はなくしたままなのか?」
を区に聞いても、どうとでもとれる、あいまいな答弁。
状況をみて、再開するかもしれないし、やめたままかもしれない、という曖昧なものでした。
つまりは、これまで0歳児保育を委託の理由にしてきましたが、もはやそれは言えない、ということになります。
委託の意義も、あらためて問われます。
■きょうだい入園させたい保護者はどうなる?
また、「これから生まれる弟妹を、同じ保育園に入園させたい」と言うのは、保護者としてとまっとうニーズであり、とても多い要望でもあります。
0歳児の枠がなくなれば、その分、きょうだいを別々に預けなくてはならない可能性も高くなります。
練馬区は、
「該当する保育園の保護者に説明をし、丁寧にニーズを汲み取る」
と答弁しましたが、保護者の皆さんは、不安ではないでしょうか?
産み育てやすい環境整備とは、逆行していないでしょうか。
これから「実証的に進める」としているので、「0歳児が必要」「もとに戻してほしい」といった生の声を、ぜひ練馬区にあげていただきたいと思います!
練馬区立美術館・貫井図書館の住民説明会、日程詳細決まらず…
こちらはまちづくり条例、中高層運送予防条例に基づく説明会。規定の範囲の住民が対象ですが、それ以外の区域の住民の方も、受け入れるそうです。
これまで行ってきた説明会とは異なり、条例に基づく重要な説明会。
開催は8月末ですが、日程、内容等はまだ決まっていません。
重要な説明会であればこそ、区の都合、日程ありきで進めず、住民が余裕を持って予定を組めるよう、丁寧に進めるべきと求めました。
それができないのであれば、丁寧な説明会とは言えない、という点も、指摘しました。
民設子育てひろば、2つ閉室
9月末で、2施設が閉鎖となります。
- 光が丘プレパひろば
→外遊びに特化するため - 南田中一丁目ホップステップ
→施設アパート老朽化たちのき、高齢化のため
一方、来年度に向け、3施設募集もしていますが、
共通の問題として、担い手の高齢化があります。
■ボランティア頼みの改善を!
子育てひろばの運営状況をみると、
いわゆる専業主婦の世代のボランティアに支えられている現状が見られます。
今後、高齢化でやっていけなくなるひろばが増えてくるのでは?
と危惧されます。
共働きが当然になり、何より生活が苦しい世帯が増えるなかで、
ボランティア頼みではやっていけず、
「子育て支援で食べていける」
環境をいかにつくっていくかが重要です。
今後の在宅子育て支援のあり方が問われています。
予算面を含めた、支援の充実を求めました。