どうなる区営住宅?『練馬区区営住宅長寿命化計画(案)』
2022/4/26、練馬区議会・都市整備委員会のレポートです。
『練馬区区営住宅長寿命化計画(案)』
区営住宅といえば「入りたいのに倍率が…」「老朽化して…」などの相談を頂きます。
今回は、タイトル通り、練馬区にある区営住宅を、80年まで長持ち(長寿命化)させよう!という計画。
その内容を、お伝えしていきます。
★委員会資料はコチラ
練馬区の区営住宅の現状
★練馬区にある区営住宅の数
- 20団地
- 35棟
- 801戸
→ちなみにすべて、都営住宅から移管され、区営住宅になったもの。
都営住宅は、練馬区に12,285戸あります。
★建てられた時期が集中
- 1979年:1団地
- 1982-1991年:18団地
=老朽化の時期が重なる問題 - 2009年:1団地
計画の概要
★10年間の計画
- 前の計画が10年間で期限切れ
→この先10年間(2022年~2031年)の計画 - 建て替えの具体的な内容は、10年後の次期計画で決める
★現在の戸数を維持
- 現在のストック数801戸を「将来的にも維持していくことが必要」としています。
★3グループに分ける
①エレベーター等を設置済み→長期的活用
- 80年まで、計画修繕と改善事業を行う
※改善事業とは…たとえば、「屋上防水」だけでなく「断熱屋上防水」と、計画修繕にプラスアルファしたもの。
②小型の区営住宅→建て替えを留保
- 住戸数50戸未満、または、敷地面積3000㎡未満
- 80年まで、計画修繕と改善事業(躯体維持)を行う
- 今後の活用策→次期計画で
※どのような活用がされるかに、注意が必要です!
③大型の区営住宅→建て替えを優先的に検討
- 住戸数50戸以上、または、敷地面積3000㎡以上
- 効率性=スケールメリットを活かして「優先的に建て替えを検討」
- 70年程度まで計画修繕と最小の改善事業を行う
- 近年、都営住宅は建て替えの際、階数や住戸を増やす傾向
→練馬区でも、大型のものはより大きくし、入居者を増やすことを考えている様子
※一方で、大型を大きくして集約し、小さいものは減らしていく、というバランスをとる可能性も考えられます
課題は?
★エレベーターの問題
公営住宅には、「階段室型」と呼ばれる、廊下が分かれたタイプがあります。
構造上、エレベーターをつけることが難しいことが、課題です。
4階建ての階段室型では、「4棟」が、エレベーターなしの状況です。
高齢等、課題のある方にとっては、厳しい環境です。
★建て替えの方策は、次の計画に先送り
建替事業の具体的な方策は、次期長寿命化計画(2032-2041年)で決めるとしています。
★必要な数の算出は、十分か?
対象となる方の基準として、主に以下の3つがあります。
- 「著しい困窮年収水準未満」
※難しいので「著しく困窮」と言い換えます - 「最低居住面積水準未満」
※「とても狭い」と言い換えます - 「高家賃負担率」
※「家賃の負担が高い」と言い換えます
練馬区の場合、
- A(著しく困窮+とても狭い)→100%
- B(著しく困窮+家賃の負担が高い)→100%
- C(とても狭い)→50%
- D(ABCに当てはまらない)→0%
つまり、「A+B+C50%」で計算。
「12500-12900戸」が必要、という結果となります。
現在の区営+都営住宅=13,086戸なので、現在の戸数を維持していく、としています。
ですが……
- なぜ、Cが50%の計算なのかははっきりしない
- 国はDも含めることが「望ましい」としている
→Cを50%以上で計算したり、Dも含めれば、必要な戸数はもっとある、ということになります。
※Cを50%で計算した理由について、練馬区は
「低所得ではないが、狭い所に住んでいて、Dに移る可能性のある方」
と答弁していますが、それがなぜ「50%」の計算となるのかは不明です。
★住まい支援の重要性
「公営住宅に入りたいけれど入れない」
「家賃が高すぎて生活が苦しい」
など、住まいの支援は、とても重要です。
一方で、区営住宅の空きは、毎年20-40戸程度。
今の数で本当に充分なのか?
区営住宅を新たに作れなくても、民間住宅を借り上げるなどできないのか?
住まいの支援の拡充を、求めました。