【練馬区議会・決算】2020年度決算から明らかになった練馬区の課題。そしてめざすべき方向

2021/10/15、練馬区議会最終日、インクルーシブな練馬をめざす会(インクルねりま)を代表し、2020年度決算への反対討論を行いました。

 

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会計年度任用職員制度の多すぎる課題

2020年度の大きな変更点が、会計年度任用職員でした。

  • 5年で公募の任用回数制限
  • 毎年の試用期間
  • 休暇制度の一部改悪
  • 低い給与
  • 人手不足
  • サービス残業の常態化

等、様々な問題を抱える制度です。

めぐりめぐって、区民サービスの低下が懸念されます。

 

練馬区が力を入れる虐待対応拠点にも、「子ども家庭支援相談員」という会計年度任用職員が10名います。

単年度という採用自体、継続した見守りが必要な虐待対応と、合致しません。

常勤職員は「心理職」という枠で採用しており、常勤化は可能です。

 

他自治体では、保健師などの専門職が、全庁的な相談体制構築の中核を担う先進事例があります。

特に、滋賀県野洲市(やすし)では、非常勤の消費生活相談員の女性が、正規職員、さらに管理職までなり、包括的な支援を構築しました。

 

社会状況が複雑化するなか、今後は、「ジェネラリスト型専門職」という新たな公務員が必要とされる時代と考えます。

人材は、コストではなく財産。その発想の転換ができない組織に、未来はありません。

練馬区でも、専門職のフルタイム化、常勤化を始めるよう、求めます。

 

新型コロナ対策が明らかにした不安定な職員体制

新型コロナウイルス感染対策については、保健所をはじめ、現場の皆様の尽力に、心から敬意を表します。

 

第5波で増員した121名のうち、保健師11名は会計年度任用職員、保健師6名と事務42名は人材派遣です。

不安定雇用に頼らない体制を、コロナの今こそ見直すべきです。

 

保育士等、子育て施設の職員への定期的なPCR検査や自主検査への補助は、いまだ視野に入っていません。

検査の拡充を求めます。

 

子どもの目線が欠けた、保育の委託問題

保育園の委託も大きな問題です。

 

こども家庭費の質疑で、練馬区は、委託園の保育は、「園と保護者が築き上げていくもの」と答弁しました。

詳細https://koguchiyoko.net/nerima/20211006koguchi_hoikuitaku/

運営責任者である練馬区が入っていないだけでなく、子どもへの言及もありません

 

保育というのは、保育士、保護者、行政、地域、そして子どもたちが、ともに作り上げていくものです。

子どもの目線が全く欠けた答弁をしながら、委託は子どものためだと言えるでしょうか?

 

こどもの放課後は、まちづくりの視野から見直しを

ねりっこ学童については、待機児童対策としての必要性も理解でき、
特に、学校応援団から要望のある学校には迅速に対応頂きたい一方で、

「学童の責任者が、いつのまにか辞めていた。今も説明はない」
「先生の出入りが激しい」

との実情を聞きます。

学童責任者は、引き継ぎに関わる重要なポストですが、民間の経営として、規制できません。

これが委託の課題であり限界とも言えます。

 

直営の学童を残す意義や、40人という国基準の意義にも、立ち返るよう求めます。

 

また、「こどもが地域で生きる意味」を考えたとき、
学校内に集約する全児童対策の課題もあります。

地域の公園に遊びに行く等、積極的にまちへ出ていき、
こどもの居場所がまちのなかにたくさんできるよう、
まちづくり全体の視野で、子どもの放課後のあり方を見直すよう求めます。

 

気候危機対策が急務!

子どもの未来への責任として、気候危機対策も大変重要です。

国の、2050年温室効果ガス排出ゼロ宣言を受け、区のエネルギービジョンの改訂が延期となりました。

区立施設の環境配慮型入札の拡大、
プラスチック製品の拡大生産者責任を国に働きかけるなど、

率先した取り組みを要望します。

 

まちづくりは、住民合意こそ大切!

環境の観点から見ても、大型道路事業は見直すべきです。

 

外環本線トンネル上の調布市の住宅地で、陥没事故が発生して約1年。

シールドマシン停止中でも、ルート上や周辺の複数の家屋で、亀裂発生、すき間の拡大、地盤沈下が続いており、
さらに、5、60メートルほど離れた地点でも、地面等に亀裂が複数見つかりました。

被害拡大を防ぐため、事業を中止すべきです。

 

外環の2は、住民説明会を実施しないまま現況測量を開始。
住民合意のないまま進めることは、容認できません。

 

住民合意もなく強引に進めた石神井公園駅前再開発事業は、行政訴訟に発展しました。

再開発事業のなかには、「身の丈再開発」と呼ばれる、
高容積にとらわれず、地域の実情に即した再開発を行う好事例もあります。

商店街も分断された状況とも伺っています。

真に地域に資する駅前とは何なのか、改めて見直しを求めます。

 

多様な主体の権利を守っていこう!

民主主義とは、多数決ではなく、丁寧な話し合い、合意形成の積み重ねのなかから、作り上げるものと考えます。

 

パートナーシップ条例制定や、外国人の就学不明の児童への対策など、
多様な方々の権利を守る施策にも力を入れていただき、

よりよい区政となることを求め、反対討論とします。