高口質疑!ひきこもり支援、多胎児支援充実、発達障害理解促進を…!/2/25予算委員会

2/25予算委員会<保健福祉費>の、高口質疑です!

*口語だと読みづらいので、原稿ベースで掲載しています。
*正式な議事録は、練馬区議会HPに後日UPされます。

ひきこもり支援は、家族支援や社会の理解も重要に

★自分自身の体験を踏まえて

実は私も、ひきこもり経験者です。
大学卒業後、約1年、ひきこもりに近い生活を送っていました。

厳密には、国の定義するひきこもりには該当しないのですが(*一人旅などはしていたので、「外こもり」というそうです)

あの頃を振り返ると、毎日が苦しく、「また今日がはじまる」という時間の長さが苦痛で、明日が来るのが恐くて、「ふっと消えていなくなれたら」と、日々思っていました。

今、激務でもがんばれるのは、自分はひきこもるほうがつらいと知っているからです。

そして、再び社会に出ていけたのは、家族が私を否定せず、じっと何も言わず、見守ってくれたからだと感謝しています。

学校や社会で傷つき、自信や自己肯定感をうしなった当事者にとって、まず、我が家が安心の居場所となり、心のエネルギーを充電できることが大切です。

そのため、ひきこもり支援では、当事者を支える家族の支援が、大変重要です。

【Q1】家族支援、充実を

家族自身も、「自分の子育てが間違ったのではないか」「このままで大丈夫か」など、様々な苦悩を抱え、孤立しています。

悩みを共有する先として、家族会の存在が重要です。

「家族も、自分を責めない」「恥などと思わず、相談を」というメッセージを、今まで以上に積極的に発信していただくことを、要望します。

*区回答

  • ひきこもりでお悩みの家族向けの支援しては、若者サポートステーションにおいて、家族セミナーや保護者懇談会などを開催し、多くの方にご参加
  • 令和2年度には、家族会や当事者の会と連携し、講演会や相談会の開催、また社会参加のきっかけとなる居場所の提供を予定
  • 区の事業の周知と、家族会や当事者の会の活動周知を連携して行う予定

★潜在的に、支援のニーズを秘めている

令和元年度第2回「練馬区区政改革推進会議」の資料「練馬区におけるひきこもり支援」には、「今後の取り組みの方向性」として、「ひきこもりの方すべてを対象とするのではなく、必要な方へ支援を行う」とあります。

しかし、必要があるかどうかは、相談に来ないとわからず、細心の注意が必要です。「今必要なくても、潜在的に支援のニーズを秘めている」という視点を忘れないよう、「この条件に当てはまる人は是非一度ご相談を!」のように相談を呼び掛け続けることを要望します。

★ひきこもり支援のゴールは、就労ではなく、社会的な参加

ひきこもりの方は、様々な理由で傷つき、自信を失い、自己肯定感が低い傾向にあり、まずはそこへのアプローチが重要です。

練馬区では、家族の要請に応じて、精神福祉保健師や保健師が、訪問支援を行っています。ドアをあけてもらうのに、何年もかかる事例もあると伺い、継続的に、粘り強く寄り添っていく支援の重要性がわかります。

【Q2】ひきこもり支援、区のゴールは?

ひきこもり傾向の方々は、「求職者」ではなく、「求職“準備”者」と言えます(面接や履歴書のノウハウなどいきなり就労をめざさせるよりも先に、自己の内面整理から始め、求職に向かう力を培うチャンスが必要です)。

自信や自己肯定感、生きる意欲、社会的なつながりを取り戻すこと、自分らしい生き方をできるようにすることが、めざすべき支援の方向性であり、就労だけがゴールではないと思いますが、区の支援の方向性を教えてください。

*区回答

  • 原因や期間、疾患の有無など、個々の状況は大きく異なるため、一律に自立を目指して就労に結び付けることは困難
  • 家計の状況や本人と家族の関係、疾病の有無など、一人ひとりの状況がさまざま
  • 社会参加をしていない全ての方が支援を対象としているわけではない
  • 長期に及んだケースでは、社会とのつながりを再構築することが重要
  • 区は、個々の状況に応じた社会的、経済的な自立を目指して取り組む

★社会的なつながり、という視点が重要!

「自立」とは決して、誰にも頼らず一人で生きていくことではなく、必要な時にSOSを出せること、頼れる人、助け合える人と、つながることです。

そのためには、失敗や挫折を「自己責任」にせず、「自分を責めず、SOSを出していいんだ」という方向へ、社会全体が「寛容」になっていくことも、重要です。

その観点で、次に伺います。

★ひきこもりは、社会全体の問題である

社会が寛容になるためには、理解が広まる必要がありますが、本人がひきこもっているために、誤解が根強いと感じます。

ひきこもり研究の第一人者であり、厚労省のガイドライン作成にもかかわった精神科医の斎藤環(さいとうたまき)先生によれば、

  • 「甘え」「怠け」ではない。
  • 「楽をしている」と思われがちだが、本人はとても苦しんでいる。
  • 川崎や練馬での事件は特殊で、一般的なひきこもりの例ではない。
  • 第三者と関わろうとしないので、むしろ犯罪率は低く、「犯罪者予備軍」ではない。
  • 本人に問題があるのではなく、「たまたま、つまずいて自信をなくし、働けなくなっただけの普通の人」であり、「普通の人」として接することが重要。
  • 「誰にでも起こりうること」
  • そうでなければ、こんなに多いはずがない

…などと述べています。

【Q3】働きかける相手は、社会

区も、「相談しやすい体制づくり」をめざしていますが、「ひきこもりは誰にでも起こりうる」という理解を社会に広げることが、相談しやすさにつながります。

たとえば、作成したチラシをポスターにして駅など目につく場所に貼るなどの啓発が一つ。

また現在、ねりま若者サポートステーション(若サポ)が、地域の企業との「若者企業交流会」を行っており、ていねいに「出会う」ことが、理解にもつながっています。NPO、ボランティア団体、町会などの各団体に、丁寧に周知していく方法もあります。

以上2点、社会への理解・啓発という点で、区のご所見をお聞かせください。

*区回答

  • ねりま区報の掲載やチラシを区立施設に配布を行うなど、周知
  • 今後も区報、チラシ、ポスター、講演会など、区民の理解と相談機関の周知を進めていく予定

★ねりま若者サポートステーションの役割が重要に

当事者や家族向けのチラシになっているので、そうでない人に対しても啓発を行っていただきたいと思います。

社会の理解を広めるために、学校教育との連携も重要です。

現在、15歳までは不登校支援のかたちで、学校教育支援センターが担当。それ以降、15~39歳までは若サポで、来年度から49歳まで拡大します。

そのため、「15歳」、中学から高校の間の連携が大変重要です。

【Q4】中学~高校の連携が重要

不登校の生徒へ、「若サポ」を知らせることはもちろんのこと、中学生全員に若サポのリーフを配るなど、卒業前に相談先を周知すべきと思います。

誰でもつまずくことがあり、つまずいたら支援する機関が区にあることを、若いうちに知ってもらうことは有意義と思いますが、ご所見は。

*区回答

  • 若者サポートステーションのひきこもり相談は、区と練馬区青少年問題協議会が作成している「練馬区青少年育成活動方針」のリーフレットにおいて掲載
  • 毎年度、全区立小中学生全員に配付し、児童・生徒、保護者に周知
  • 図書館、保健相談所、総合福祉事務所など、区立施設で配布

★中学~高校での切れ目がないよう、連携強化を

現在の方法だとなかなか目につかない、埋もれてしまうので、わかるようにリーフレットなどを配り、連携強化をお願いします。

【Q5】若サポ、新規事業の予定は?

それから、若サポ対象を49歳まで拡大するにあたり、新規事業などの予定はありますか?

*区回答

  • 若者サポートステーションは、国の若者就労支援の委託事業
  • 区では、現在、心理相談や若者キャリア開発プログラムなどを、若者サポートステーションに委託
  • 来年度はひきこもり支援も充実するため、心理相談日を増やすことや、設置予定の若者の居場所について、協議・検討

★「働く」とは、何か?

若者支援と、氷河期世代の非正規雇用の問題は、また別のアプローチが必要だと思っています。

若サポの2018年度統計では、初来所時、就労経験者は83%と多数をしめます。職場での過重労働等により、心身を崩し、引きこもる人もいると思われます。

サービス残業の横行やハラスメントから守られ、時短勤務等も可能など、安心できる就労環境を、区の責任で整えていく、区内での職場の質、雇用の質を、区政の課題として改善していく、という点も重要です。

既存の企業の型にあわせることだけをゴールにするのではなく、多様な労働者をうまく雇用するにはどうすればいいか、企業とともに考えていく機会を、区としても作っていただきたいと思います。

②多胎児支援、区としても充実を!

双子以上の育児の困難さが報道され、ようやく支援が広がりつつあります。

健診時等の移動支援や、産後ドゥーラなどが事業化される見込みで、現在、国や都の状況を見ている状況と伺っています。

【Q1】区の支援は?

健診などでの移動支援にあたっては、タクシー代だけでなく、同行支援も重要です。

他区では、NPO法人マドレボニータが健診時のサポートも行っており、評判もいいと伺っています。都の事業に加え、ぜひ区としても一歩踏み込んだ支援を要望しますが、今後の見通しは?

*区回答

  • 東京都では、令和2年度の新年度予算の新規事業としまして、多胎児家庭の支援事業を今検討していると伺ってる
  • その中で、母子保健事業を利用する際の移動支援を10分の10で実施する予定
  • 事業の内容については、今度東京都の説明会等があると考えている
  • 多胎児の家庭につきましては、さまざまな状況に応じた支援が必要と私どもは考えている
  • 区も、令和2年度から改定する予定の『健康づくりサポートプラン』の中でも、多胎児家庭のサポートを厚くすると計画
  • 今後、東京都での事業の説明を確認しながら、多胎児家庭に寄り添った支援の充実について検討

★経済的支援も検討を

一時預かりやファミサポも2倍かかり、「利用できない」という声を多数聞きます。

たとえば、1人分の補助を出してハードルを下げ、利用しやすくすることは、虐待予防にもつながりますので、こちらも要望します。

③発達障害、周囲の理解こそ重要!

★周囲への理解促進を!

*時間ギリギリになって飛ばしてわかりづらいので、原稿より追記しています。

障害の問題が、本人にあるとする医療モデルではなく、社会にあるとする社会モデルが、世界では主流です。

当事者、関係者だけの努力では限界があり、周囲がいかに障害を理解し、受け入れるかが、重要かつ難しい課題です。

発達障害の検査は、あくまで大多数の人間の平均を「10」としただけで、発達に凸凹があることは、人とは違う感じ方、認知ができるということ。「人と違う」ということは素晴らしいことで、その違いを生かして生きていくことは、私たちの社会全体にとっても重要です。

【Q1】学校での周知を!

こども発達支援センターでは、啓発講演会を毎年行っていますが、当事者、施設の参加者が中心と思われます。

学校現場にもアウトリーチし、子どもや教師、保護者に向け、当事者以外の理解、啓発を行い、理解者を増やしていただきたいと思いますが、いかがですか?

*区回答

  • 障害理解の促進は、障害者施策を進めるうえで重要な取り組み
  • 積極的に進めている
  • 引き続き障害理解を深める取り組みを行う

 

*残り2問あったのですが、時間切れでした。またの機会に質疑したいと思います!