豊玉保育園、田柄第二保育園、委託事業者公表へ…~9/12文教児童青少年委員会
9/12文教児童青少年委員会にて、豊玉保育園、田柄第二保育園の委託事業者が発表されました。
豊玉保育園=社会福祉法人 高洲福祉会
- 834点
- 千葉/1976年11月設立
- 区内では石神井町さくら保育園(2012年〜受託)
- 当時の採点:合計804点(1000満点)80.4%
田柄第二保育園=社会福祉法人 長春会
- 780点
- 千葉/2011年9月設立
- 区内の委託実績はなし
★去年まで出していた採点表が…今年はない!
去年までは、一応ながらも、採点表が資料として添付されていたのですが、今年はそれさえもナシ。
何をどう、議論しろというのでしょうか…?
「公平公正に、学識経験者などが採点し、点数の高い事業者から選んだ」というのですが、それが公平公正であるかを質疑したいのに、それもできないという……。
↑に今回の点数を書きましたが、それも私が質疑して、答えさせたものです。
これが区の、民間委託のやり方であることを、まず知っていただきたいと思います。
*点数の内訳は、情報公開請求中ですが、延長されてしまいました。
★事業者の昨年度、一昨年度の保育士離職率は?
- 高洲福祉会(豊玉)→10%台
- 長春会(田柄第二)→10-13%台
区の直営職員は1-2%ですから、やはり委託は入れ替わりが激しい問題があります。
(離職率にこだわるのは、1年間の離職率が、保育の質として、一般的に基準として評価されているからです)
同じ事業者が運営する他の保育園での、保育士の年齢構成、平均給与は?
区「資料がないので、委員会後に個別対応」
★高洲福祉会の点数が、前回より30点高いワケは?
選定の理由として、
- 高洲福祉会
・現場の意見を取り入れ、高め合う環境
・日課が決まっており、落ち着いたこどものための保育を行っている - 長春会
・地域住民との関係性が良好
・情報提供されている
・やさしく、連携がとれており、スキルが高く、落ち着いた雰囲気
……どれも、今の直営園でも、できていることではないでしょうか? こどものための保育、落ち着いた環境など、当然の条件だと思います。
高洲福祉会の点数が、前回より30点も高いのですが、その理由は不明のまま。そもそも選定の合格ライン700点の根拠も、あやふやです。客観的、公正・公平な根拠があるのか?疑問です。
★保護者の声を聴いていない!!
特に豊玉保育園は、保護者が強く委託に反対してきました(昨年度、区議会の陳情が却下になり、とても悔しい思いをしました)。
3月13日付で、保護者が区長あてに要望書を提出しましたが、区長ご本人からも保育課からも、この要望書について、書面での正式な返答はいただけなかったそうです。
また、3/10の委託説明会での質疑応答でも、たくさんの意見が出たにもかかわらず、その多くが不可、または不明。
「保護者の多様なニーズ」を委託の根拠としながら、保護者の声に対応していないことは明らかですし、「丁寧な説明を行う」との区のこれまでの対応に反したまま、強引に、委託を決めてしまいました。
「保護者の多様なニーズ」にそっていないうえ、事業者を決定しても、納得いく説明のないかぎり、保護者の理解・協力は得られず、結果的に子どもたちに大きな影響が及びます。
★民間委託で、延長保育が後退に…!!
民間委託は、本当に保育サービスの拡充につながるか…そもそもそこに、疑問点があります。
根拠としている「保護者の多様なニーズ」とは何か、という問題です。
区は、多様なニーズ=延長保育としています。
直営園では、継続利用の枠は20名と固定ですが、枠が余った場合はすべて「延長保育のスポット枠」として利用できます。
現在、豊玉保育園の継続利用は13名なので、残り7名がスポット利用が可能です。
しかし、委託後は、スポット枠は一律「5名」と決められてしまい、たとえ継続利用分があいていても、それ以上は受けないルールとなる、と確認しました。
つまりスポット枠は「マイナス2名」減ってしまいます。サービス後退です。
「継続利用」は、条件が揃わないと認定されず、利用できる世帯は限られます。
継続よりも、急な残業等での「スポット利用」の需要の方が高い。事実、これまで委託された20園のうち、直営の20名枠を上回った利用実績があるのは2園だけという実態があります。
豊玉保育園でも、スポット利用のほうがはるかに利用者が多い利用実績が出ています。
これこそが、「ニーズを反映した信頼性の高い数字」「保護者のニーズ」です。
この実態を無視して、「委託がサービス拡大」という点には、疑問があります。
★委託によって、むしろ、柔軟なスポット利用という多様なニーズに沿うことができなくなる
★保護者のニーズ=委託による延長保育ではない
そもそも、無償化は「子どものため」と言って進める一方で、子どもに大きなショックを与える「保育士全員入れ替え」を行おうとしています。民間委託は、子どものためでもありません。
★多様なニーズの根拠「ニーズ調査」は、公立・私立を分けない数字
区は、委託の根拠として、ニーズ調査の結果をあげています。
「延長保育のある認可保育所(私立・公立)」
の人気が高いのは当然ですが、↑のように、私立と公立を分けない数字になっているのです。
「延長保育のある直営園、委託園、私立園」それぞれ分けた統計でなければ、委託の根拠にはならないのではないでしょうか。
★民間委託の裏にあるもの…ともに考えませんか。
決して、民間の保育士さん、保育事業者を否定するわけではありません。ここにあげた事業者や、そこで働く先生方への非難でもありません。
そうではなく、区が進めようとしている民間委託自体が、そもそも子どものために、保護者のために、そして保育士さんのためになっているのか? ……と考えたとき、どうしてもそうは思えない。だから、私は反対しています。
大きな流れでいえば、PPP…指定管理や民間委託を進め、公共施設や公共の福祉を、市場で取引できるようにしていきたいという、今の政府の意向があります。
その裏にあるのは、新自由主義経済の力です。
子どもの育ちは、ゆっくりと、時間と手間をかけ、お金にかえることはできません。ワンクリックの効率性、コスパ、生産性を突き詰めようとする新自由主義とは、決して相容れないのです。
様々な問題をはらむ、民間委託の問題。保護者、保育士の先生、そして子どもたちのために…今後も、しっかりと問題点を指摘し、声を届けていきたいと思っています。