2/22教育費、高口質疑…すべての子どもに、安心な居場所を。不登校、HSC/図書館専門員

2/22の教育費、原稿です。

(正式な答弁は、区議会HPのアップをお待ちください)

1.子どもの権利が危うい

2月1日、国連子どもの権利委員会が、「子どもの権利条約」について、日本政府へ4回目の勧告を行いました。

「子どもに影響を与えるすべての事柄において、自由に意見を表明する子どもの権利が尊重されていない」

「極度に競争主義的な制度を含む、ストレスフルな学校環境から、子どもを開放する措置を強化すること」

「余暇と自由な遊びに十分な時間を割り振ることを含め」「あそびとレクリエーション活動を行う子どもの権利を確保する努力を強化すること」

といった指摘がありました。

極度な競争主義により、学校がストレスフルになっている……その指摘を、私たちは重く受け止めるべきです。

こどもの権利を守るために、私たちは何をすべきか。教育の場でできることは何か。

その問題意識から、伺っていきます。

2.不登校問題~居場所こそが、大切。

Q1 受けとめられることの大切さ

国連子どもの権利委員会に代替報告書を提出した「市民・NGO報告書をつくる会」は、

子どもが、「こうしたい」と要求し、それが大人に「受容」される。その「相互的人間関係」が、子どもが主体的に発達するプロセスである、と指摘しています。

子どもの思いを、大人が「受けとめる」ことが重要、ということです。

また、昨年、文教児童青少年委員会で視察した「こどもの里」の代表、荘保さんは、

「一生懸命遊ぶことで、今日楽しかったと思うことによって、ほっとすることが必要です。そうすることで、居場所が安心の場所になっていく」

と仰っています。

子どもにとって、受容され、安心と感じられる「居場所」が、非常に大切だといえますが、区はどうお考えですか?

Q2  学校に居場所がない、不登校の子どもたち

一方で、学校に安心できる居場所がなく、不登校になる子どもたちがいます。2017年度、不登校児童の数は、小中あわせて635人。

2016年の「教育機会確保法」の制定もあり、学校以外の場、フリースペースなどの登校が出席と認められやすくなりました。子どもの居場所が、学校以外にもあることは、とても大切です。

あるフリースペースの運営者に、不登校の子どもたちに、どんな支援が必要かを伺ったところ、

「自己肯定感が低い子が多い。最初は学習プログラムを用意したが、それよりも、自分たちで決めた遊びを思いきりやることの大事さを感じる」

「思い切り遊ぶなかで、息も絶え絶えだった子から、大きな声が出るようになったり、『天国に行きたい』と言っていた子から、笑顔があふれるようになったり……子どもたちは元気に明るくなっていく。きっと、自己肯定感を取り戻しているのでは」

とのことです。

先程の荘保さんも、「何より大事なのは子どもたちの自己肯定感」と仰っています。

不登校の子どもたちは、「学校に行けない自分」「学校という場に居場所のない自分」に対し、挫折を味わい、傷つき、自己肯定感が低い傾向にあるのではないでしょうか。区は、不登校対策として適応指導教室を開いていますが、そこでのケアや取り組みを教えてください。

Q3 居場所事業「ぱれっと」、評価は?

先程のフリースペース運営者は、「うちだけでなく、いろいろな居場所があることが重要」とも述べています。

教育支援センターでは、居場所事業「ぱれっと」を、2015年から行っています。「まずは安心して過ごしてもらう」「人と関わるエネルギー、何かをしてみたいと思う意欲を取り戻してもらうことを第一に」という理念で、昼食の調理や科学実験、みんなで考えて決定する集団プログラムなど、主体的な教育が特徴です。来月の行事を自分たちで決め、ペットショップでの職場体験、川遊びなども行いました。

「自分のやりたいことを探せる場所。一人でまったり過ごしても、みんなで一緒に何かをしてもよい」という場で、様々な画材、ギター、iPadなども置かれ、主体性が尊重されていると感じます。

子ども達や保護者の評価、また、それを受けての区の評価をお聞かせください。

Q4 居場所事業、もっと増やそう!

ぱれっとは、広く周知されていないなかでも年々利用者が増えています(現在16名)。光が丘のみですが、大集団では難しい事業だと思いますので、今後、大泉、練馬、関など、他の相談室でも開設を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか?

 

Q5  「HSC(人一倍敏感な子)」への認識を広めるべき

「不登校」の定義は30日以上で、いわゆる「登校しぶり」と言われる子は、数に入っていません。不登校ではない子どものなかにも、学校に安心感を持てない子どもがいるのではないか、と思います。

理由はもちろんそれぞれですが、あまり認識されていない要因があると考えます。それが、「HSC」という特性です。

「HSC」とは、「Highly Sensitive Child」の略で、「生まれつき、人一倍敏感な子」をさします。大きな音や刺激、大量の情報に圧倒されやすく、指示や罰が苦手です。たとえば友達が怒られているのを見ると、自分が怒られているように感じ、傷つきます。友達もいて、トラブルもなくても、学校を休みがちな子、不登校になる子もいます。私のまわりにも、HSCで不登校傾向の子がおります。

他の特徴は、

・よく気が付く

・共感力があり、聡明で直感が鋭く、創造性が豊か

・思慮深く慎重

などで、敏感さには、いい面がたくさんあります。

これは発達障害や病気ではなく、ひとつの個性です。研究の第一人者・アーロン博士によれば、「子ども全体の5人に1人」で、実は珍しくありません。

「HSP」、「Highly Sensitive Person」といって、大人にもいます。

また、アーロン博士は、「学校では、担任の先生の理解が、強い味方となる」とも指摘。

先生に向け、

「逃げ場を用意、ペースを大切にする、厳しい罰は不要、友達の輪に入るサポート」

など、20のヒントも示しています。

現状は、先生の個人的な知識や経験値に大きく左右されています。先生やスクールカウンセラー、保健医などへ、HSCへの認識と、対応のヒントが広まることで、先生方も、子どもも、保護者も楽になるはずです。

敏感な子には、より安心感と、ありのままを受け入れることが大切です。そしてそれは、HSCでない子にとっても、大切なことです。敏感な子が安心できる学校は、みんなにとっても安心の居場所だと考えます。

その観点から、HSCへの正しい理解と対応を周知すべきと思いますが、どうお考えですか?

★学校が、「極度に競争主義的でストレスフル」でない、自由に意見する権利、遊びや休息の権利が保証され、安心の居場所となるべきです。そのために必要なのは、子どもではなく、学校を、社会を変えることだと思います。そのためにも、「子どもの権利条例」の制定が必要であると要望し、次の質問に移ります。

3.図書館専門員

先日、副区長が、「仕事は人。人によって仕事の中身は変わる。人を、単発ではなく継続的に育てていくか」が重要だと答弁されました。おっしゃる通り、どの仕事も、人こそが大切です。

図書館はまさに、継続的に育てられた専門家が不可欠の「教育施設」です。しかし昨年、区は、自らの税金で育ててきた図書館専門員全員を、他の施設に移そうとしました。困難な交渉の末、追い詰められた専門員は、ストライキを計画。この問題は、マスメディアでも報じられ、全国的に注目されています。

専門員は、非常勤の1年更新、手取りはわずか約16万円。責任者でもプラス3万程です。20年更新の大ベテランでも、何年経っても昇給しません。そして、全員が女性です。

また、指定管理館の求人を見ると、ある会社は、司書資格アリで1060円。資格なしと、30円しか違いません。フルタイムでも年収200万円程度です。現場の過酷さは、現実が証明しています。

低い人件費でよいサービスを求めることを、今は「ブラック」と呼びます。福祉を保証すべき区が、ブラックな環境と官製ワーキングプアを生み出しています。

この問題は、非正規雇用、男女格差、官製ワーキングプアなど、様々な労働問題、「コスパ」優先で、労働者に低賃金・重労働を押し付け、格差を広げる、日本社会の縮図です。

司書の専門性に敬意を払い、待遇を改善すること、また、図書館の指定管理の見直しを求め、終わります。