7/21「こどもの心を育むネットワーク練馬 特別支援子育て講座 『生まれてきてくれてありがとうと子どもに伝えたいあなたのために』」に参加して

7/21、「こどもの心を育むネットワーク練馬」さん主催の特別支援子育て講座 『生まれてきてくれてありがとうと子どもに伝えたいあなたのために』」に参加しました。

「みんなとちがう」傷つき続ける子どもたち

講師は、星山麻木先生。

冒頭に、「ひととちがう」ことで苦しんでいる、苦しんできた子どもたちの言葉が紹介され……ぐさりと突き刺さります。

「先生、私、学校に入れないの。私だけずるいよね。学校が見えるとふるえちゃう」「私ってへんかな?」「みんなと違うよね」という女の子。

「やめたいのにやめられない」「心の骨が折れた」「頭の中から血」「ふたをして流れないようにしてた」「先生にとってほしかった」「ありのままの僕を認めてほしい」というのは、緊張すると音声チックになる子。

高口も、小学校の頃、チックが出た時期がありました。自分でも理由はよくわかりません。夏でも手がふるえて、友達に「どうしたの?」と言われて、「寒いから」と答えて、必死で隠そうとしていたことを、今でも時々思いだします。

「みんなとちがう」
「私だけおかしい?」
ということに、子ども達は、どうしてこんなに、おびえなくちゃいけないのでしょうか。それは、私たち大人が、おびえているからでしょうか……。

「いい子」を求める大人の願望?

星山先生が紹介したのは、「セサミストリート」。障がいのあるキャラクターが自然に登場し、エルモと関わる、それを見て、関わり方が学べるようになっているそうです。

「(欧米の子ども番組には)いろいろな主人公がいるのに、日本はみんなかわいくていい子ばっかり!」

たしかに……そうやって「かわいくていい子にならなきゃいけない」と刷り込まれていくのでしょうか。それは、私たち大人の願望なのかもしれません。

必要なのは、「親をひとりぼっちにしない」サポート

星山先生のことばでハッとしたのが

「お母さんに幸せになっていただく。サポートは、これだけでいい」
「お父さんお母さんが『大丈夫』と思えば大丈夫」
「不安になっている子どもは、両親が不安になっている」

日本には、子どものための療育などはあるけれど、保護者を支えるプログラムがない、と星山先生。

必要なのは、「親をひとりぼっちにさせない」ことであり、
「子どもを普通にさせる訓練ではない」

……本当にそうだ!!と強く思います。

発達障がいなんてない。子ども達を信じること。

「発達障がい」と呼ばれるたくさんの子どもたちと出会った体験をもとに、「発達は障がいじゃない」と言い切る先生。

「発達障がいという言葉を使わなくても、説明ができます」
「特効薬はありません。一人ひとりにオーダーメイドの丁寧なやり方をする」
「そして、親の相談役になること」

星山先生の素敵なところは、何よりもその、子どもたちへの目線!

「子どもたちは、みんないい子で素敵なんです!」

という言葉に、涙が出そうになりました。

「特別支援とは、“普通にすること”じゃない。“人と違う”ことを“強み”に変えること」
「この子には、ほかの人にはないよさがあると信じることで、いつか花を咲かせる」
「子ども達をいかに信じられるか」

子ども達のちからを信じること。

高口も子育てをしてきて、「子どもってなんてすごいんだろう」と何度も感じました。子どもは弱くて何も知らず何もできず、ただ大人の言われたとおりに育つのではない。子どもがもともと持っているパワーとちからがあり、それを信じることが大切なんだ……。

でも今、練馬区は、練馬区の教育は、子どもたちを信じられているでしょうか? 特別支援が必要な子は「かわいそうな子」であって、「助けてあげている」。そんな視線でない、本当に、特別支援教育が必要だと感じます。

とがった才能をとがらせる。そして仲間をつくる!

子ども達への支援の効果を、星山先生は次のように分類します。

  1. 本人の努力
    (例)視力が弱いのに、メガネをかけずに訓練する
  2. 合理的配慮=思いやり、優しさ
    (例)視力が弱いので、メガネをかける
  3. 強みを生かす=とがった才能をとがらせる!
    (例)聴力がとてもいいので、音楽や語学を伸ばす
  4. 違う能力の仲間を作る←これが最も効果的!

「みんな同じ」「目立ってはダメ」「でも一番になれ」
そんな無茶な教育を受けて、大人になった私たち。

我慢強く、頑張り屋の私たち日本人……いい部分でもありますが、同じことができずに苦しんでいる子どもたちがたくさんいるのだという事実。

私たちは今、我慢をするよりも、もっと社会に向かって、「変わろう!」と叫んでいいのではないでしょうか。それは子どもたちのために、必要なアクションだと思います。

子どもは自然のなかで、遊んで育つ!

「こどもはいっぱいあそぶことで、落ち着く」
「落ち着かないのは、いっぱい遊ぶ環境を、奪ったから」
「人間は自然のなかで進化してきた。子どもを自然に返すこと」
「人工物だらけのなかで、苦しがる子どものほうが普通では?」

高口も、こどもの「あそび」環境にはとてもこだわってきました。
だからこそ、小学校にあがり、「こういう姿勢で、きちんと座る」ことにあまりにこだわる教室に驚いたのです。ついこの間まで、幼稚園や保育園で遊んでいたのですから、きちんと座るよりもっと大切なことがあるはず。

無理やり座らせる訓練よりも、思い切りぐるぐるまわったり、ジャンプしたり、かくれんぼしたり。そうやって感覚を磨くことで、発達の凸凹が落ち着いていきます。

「チルドレン・ファーストにしない国は滅びる」

という先生の言葉に、ドキッ……。

子どもの環境を、本当に真剣に、変えていかないといけない!と改めて強く感じました。

発達障がいではなく、「発達の多様性」。脳の機能はみんな違う!

先生は、「発達障がい」ではなく、「発達の多様性」と呼んでいます。できることの落差が違うだけ。それは能力ではなく、「Biological Facter」……「生物学的機能」なのだと。

WISC(ウィスク)という機能テスト(×実力テストではない)を紹介しながら、

「いろいろな子がいて当たり前」
「脳の機能はみんな違う」
「“普通”の幅が狭いと、排斥。最後はみんなひとりぼっちになる」
「“普通”の幅を決めるのは、自分」

たとえば、4つ指示を出したうち、覚えられるのが2つだけという子がいたら?

メモをとる、絵に描く、写真やマークを使う……

「その子にあったやり方で、わかるように届けるのが大人の役目」
「自分以外の人は、みんな脳の機能が違う」

当たり前のはずなのに、つい「みんな私と同じ」という思い込みで行動してしまう自分自身を反省しつつ……。

みんな違う。だから、楽しい!

ここで、グループワークへ。

4人グループになり、風船を順番にまわしたり、目をつぶってまわしたり、人と違うやり方にチャレンジしたり、全員1本指で支え合ったり……いろいろなやり方にチャレンジ。

「ゴールの設定を変えると、創造性が生まれる」

という先生の言葉。

そう。「人と違う」というのは、とってもクリエイティブなんですよね。だからこそ私たちは、協力しあって、発展してきた。

それなのになぜ、学校という場になると「みんな同じ」という圧力があまりにも強いのか……。

感覚は人それぞれ違う。それを理解すること。

他にも、

  • 「空間の認知」の違い
    (例)部分にフォーカスして、全体を把握するのが苦手な子がいる
    ……けれど、空間の把握の仕方自体は、人それぞれ
  • 「聴覚」の違い
    (例)マンションのエレベーターで何階で何人おりたかわかるくらい聴覚のよすぎる子が、音楽室に入れない
  • 「味覚」の違い
    (例)コロッケ、イチゴ、ブロッコリーなど、トゲのある食べ物が苦手な子
    →ぐちゃぐちゃにしてカレーに入れてもわかる。口の中が違う。
  • 「くすぐったさ」の違い
    (例)着られる服が限られる
  • 「協調運動」の違い
    →運動神経ではなく、左右のコーディネートがゆっくり育つかどうか
    (例)ハサミ、けしごむ、縄跳びなど、左右で違う動きができない
    →笑われ、傷つくことが多い

たとえば聴覚の鋭い子には、「ノイズキャンセラー」が有効とのこと。欧米では、メガネと同じように当たり前に着用されていますが、日本ではまだまだ……。

「大きくなれば、ある程度鈍感になる。今は子どもを“逃がす”こと」
「一番大事なのは、理解すること」

子どもではなく、学校が、環境が、まわりの目が変わるだけで、

「私って人と違う」
「へんなのかな?」
と悩まなくてよくなる。

変えなくちゃいけないのは、子どもではないのですよね、本当に!

私たちみ~んな、ADHD!

どの人にもそれぞれ、ADHDの傾向があり、それが0~100%まで、ブレンドが違うだけだ、という星山先生。先生はそれを、色に分けて表現します。

  1. レッド…正義一番!
  2. グリーン…きちんと助けてと言えない
  3. アクア…一人が好き♡
  4. オレンジ…よく忘れる、なくす、遅れる、優しい
  5. イエロー…割り込む、怒る、人情家

確かに…高口にも、この色すべて、当てはまるなあと思うところが。色の濃淡が違うだけ。よく忘れるし遅れるし怒るし……

なのになぜ、子どもには、

「なんでできないの!?」

って言ってしまうのでしょうね……(猛省)

その子らしい花が咲く、必ず!

「自分で自分のありのままをよしとすること=自尊感情」

「“Do”ではなく“Be”。存在そのものをよしとする=生まれてきてくれてありがとう」

「忙しくても、言葉にして子どもに伝えて」

「人より遅れても、必ず、その子らしい花が咲く。信じること!」

最後まで、力強く、希望にあふれ、そしてあたたかい言葉。

そういう環境を実現していくために、自分に何ができるか。しっかりと考えたいと思いました。

素晴らしい講演を、ありがとうございました。