助けを求めることが、あたりまえの社会に!~産後ママカフェ開催しました~

何もかもはじめて……だから、専門家に聞いてみよう!

7月12日、高口ようこ事務所にて、「産後ママカフェ 産後の悩み、心配事…産後のプロに気軽に相談!」を開催しました。

振り返れば高口自身、ふたりの子どもを産み、産後を2回経験。

第一子は、「おっぱいをすわせる」……ごく当たり前だと思っていたことに、とても苦労しました。赤ちゃんは産まれたら、自然におっぱいを飲むもの――そう思っていたのに、赤ちゃんのくちにうまくくわえさせることが、まず難しく。そんなこと想像もしていませんでした。夜中に情けなくて、涙が止まらなかったのを、今でもよく覚えています。

その後も、何もかも、わからないことだらけ。自分でもおさえられないほどイライラしたり、ちょっとしたことに傷ついたり、落ち込んだり。今なら「ホルモンのせい」とか、「産後の本能」とか思えますが、そんな風に思う余裕もありませんでした。

夜中に何回も起きておっぱいをあげる、寝かしつけに何時間もかかる……ようやく手が離れたなあ、と思ったのは、つい最近のこと(上が8歳、下の子が5歳)。

産後って、長い!

そんな思いもあり、同じように悩んでいるママ達に向けた、産後ケア企画です。産後のお手伝いをする専門家「産後ドゥーラ」のきむらめぐるさんを講師にお迎えし、産後を乗り切るコツを伺いました。

「出産前に、産後ゆっくり寝ていられる空間を作っておくといいですよ」
「出産で内蔵の筋肉がのびて、内臓が下に落ちます。胃下垂になったり、内臓が圧迫されてふたりめができづらくなることも。3週間たったら骨盤を締めたり、運動したり、内臓を落とさないように」
「私自身、こどもが3歳になって、また骨盤ベルトを締めたんですけど、効果がありました!」
「腰につけるだっこひもは、骨盤に悪いんですよ」
といったお話が。

人の手を借りるのは「贅沢」? 産後の大切さ、社会的に理解を!

参加者は、妊婦さん、2歳児のママふたり、計3組、6名の参加をいただき、キッズコーナーもにぎやかに♪(保育を頼んだ友人が大活躍!) 少人数で、今の悩みをじっくり伺うことができました。

参加者のひとりが、産後につらかったのは、「料理で立ちっぱなしになること」。体に様々な異変が起き、体調が回復しなかった、という実体験も……。

「ママは、自分のケアを後回しにしがち。ママをケアするサービスが、行政に増えるといいですね」
と、きむらさん。

一方で、ママからは、
「誰かの手を借りると、贅沢をしていると思われる風潮がある。産後の大切さに、もっと社会的な理解がほしい」
という切実な声!

きむらさんのもとにも、妻は頼みたいけど、夫が「お手伝いを雇ってると思われるからダメ」と、産後ドゥーラを断るケース、あるいは夫に内緒で頼むケースが舞い込むそうです。

子育ては社会でするもの。

実際、海外ではベビーシッターなどが当たり前の国もありますが、日本では

「子育ては、母親ががんばるもの」
「他人には頼らない」
「家族でなんとかする」
という風潮が、まだ根強いことを、私たちは肌で感じています。

そのせいで、
「手伝ってもらうことの罪悪感」
「みんな一人で乗り切ってるのに、私はひとりでできない、頼まなければできないんだと、自分を責めてしまう」
と、ママがどんどん追い詰められる構図がある……と、きむらさん。

「産後は、誰に頼むかを決めておく」
「頼っていいんだよと、まわりの人に言ってもらえることが大切」

と、強調します。

実際は、親の高齢化もすすみ、手伝いを頼んだ親のほうが先にダウンしてしまうケースも珍しくない、ときむらさん。家族だけに頼むのは、限界があります。

練馬区の子育て応援券、このままでいい?

子育ては、ながーく続きます。つらいのは、産後直後だけじゃありません!

上が5歳、下が2歳児のママは、
「今のストレスは、家が汚いこと。日々の洗濯が精一杯で、カーテンとかシーツとか、大きなものまでまわらない」
「公園でママ達と話すと、『うちの中がやばい!!』って、みんな言う」
「きのうは、こどもの公園に5時間付き合った。ご飯も簡単なものがやっと。でも、手抜きするのもまたストレスになる。ちゃんとできてないなあって」
「産後はそれどころじゃないし、情報がはいってこない」

2歳児のママも、
「今まさに、子育て応援券がほしい! 期限が短すぎる」

きむらさんは中野区在住。中野区では妊娠相談に行くだけで、10000円のこども商品券がもらえるそう! また、スタンプカードをもらい、気軽に様々な子育てサービスを受けられます。杉並区も、5歳児までまで商品券がもらえ、多様なサービスが用意されています。

そうやって、支援の手が届く工夫をしているんですね。

一方、練馬区はというと、子育て応援券の利用率は……なんと、たったの2割!

参加したママに聞くと、
「使いたいものがなかった」
「産後に送られてきて、頭がまわらず、読んでもよくわからなかった」

期間の短さ+使いづらさ、使いたいサービスの少なさが問題ですね

どんな産後ケアがほしい? 区を変えよう!

「以前、ママ専用の漫画喫茶があり、練馬区の券は使えないのに、板橋区の子育て応援券は使えた。本当に自分が行くところで、使えるようにしてほしい」との声も。

「スポーツが得意なママ、インドアなママ……いろんなママがいる。『母親』というくくりだけでは、うまくいきません」ときむらさん。

多様な場があり、そこに子育て応援券が使えることが重要ですね。

子育て券は、予算自体も、2割ぶんしか計上されていません。それでいいのでしょうか?

子育て応援券を使って、自分の居場所やつながりを見つけることができれば、それが産後の大変さを乗り切るきっかけにもなります。

高口自身は、「もったいない」の精神で、子育て応援券は家事援助に使いました。その他、ありとあらゆるサポートを駆使しながら、産後を乗り切ってきました。ファミリーサポート、ぴよぴよや民設ひろばの一時預かり、短期特例保育などなど……「綱渡りでやってきたなあ」と思います。きっと多くのご家庭が、綱渡りの状況ではないでしょうか。

綱渡りの子育て。あたりまえに、誰かを、行政を、頼りにできる。そんな子育て環境にしていきたいと、強く思いました。

練馬区の産後ケア事業

以下、今回の企画にあたり、練馬区の産後サービスについてヒアリングを行いました。参考にしてください。

子育て応援券について

出産後、8枚つづりの券が届きます。練馬区で使えるサービスは、次の4つです(うーん、少ない!)

  1. 育児支援ヘルパー
    事業者による家事援助など
    平成29年度、事業者が22から30に増加
    利用者が減ってきている(働く妊婦さんが増えたから?)
  2. 助産師ケア(おっぱいケア)
    助産所ねりじょはうすLunaほか、登録助産師によるおっぱいケア(出張あり)
    利用が増えている
  3. ファミリーサポート
    生後58日~
    利用率は横ばい
  4. ぴよぴよでの一時預かり
    9割近い稼働率で、予約が取れない問題……
    予約のために、毎月並ばなければならない問題
    →ICTの活用を検討中
乳幼児全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん訪問)

生後4か月未満の赤ちゃんのいる家庭「すべて」を訪問する事業。保健師さんが家に訪問する事業は、これだけ。知りたいこと、大変なこと、つらいこと、なんでも話して、聞いておきましょう!

[対象者] 生後4か月未満のお子さんのいるご家庭
[利用料(費用)] 無料

産後ケア事業

助産師のいる施設で、母子ショートステイ(宿泊)やデイケア(日帰り)、助産師による早期訪問が受けられる事業です。生後4か月未満で、家族の手伝いがいない方や、育児に不安が大きい方などを対象にしています(……が、育児に不安がない方なんていませんよね……)。まずは保健相談所や、実施施設に相談しましょう。

<ケアの内容>乳房ケア、授乳相談、沐浴や沐浴始動、育児相談など
<利用料金>有料

[実施施設]

  • ねりじょはうすLuna
    練馬区東大泉6-32-11 03-6904-4321
  • ぱお助産院
    練馬区氷川台4-51-5 03-6914-9938
  • 練馬光が丘病院
    練馬区光が丘2-11-1 03-3978-3611
    ※練馬光が丘病院で出産した方が、産後の入院に引き続き利用する場合のみ(ベッドの空き状況にもよる)。

 

その他

*参考:エンゼルナビ https://nerima-city.mamafre.jp/