450年という長い歴史に、1万坪という広大な敷地……。桜台の名刹「廣徳寺（こうとくじ）」の拝観会に参加させていただきました。

桜台は地元なので、子どもの頃からそばを通りすぎては、生い茂る緑が気になっていたのですが……。実際に中に入ったのは、初めてのこと。そして一歩足を踏み入れた瞬間、目と心を奪われました。

大名の前田家から譲り受けたという建物の貫録はもちろん、日本庭園の美しさにも感動！　小雨に濡れる紅葉がまた情緒深く、幻想的。見渡すかぎり、ぐるりと木立に囲まれ、電線一本見えません。住宅街のど真ん中にあるお寺とは思えない静けさで……空気も澄み、思わず大きく深呼吸。ここが練馬だということを、忘れてしまいました。

大きな岩を須弥山に見立て、川が流れていく――枯山水のお庭の緻密な設計にも驚きました。こんな素晴らしい場所が練馬にあるなんて……心がすーっと洗われる、とても気持ちのいい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました！

この素晴らしいお寺の一部に、放射35号線の計画がかかっています。計算され尽くした枯山水の上にも、道路計画の線が引かれています。私たちが、本当に大事にすべきものは何なのか。450年後の未来に残すべき歴史や伝統、文化とは何か。物言わぬお寺が、問いかけてくるように感じました。拝観していただければ、きっと、「このままの形で残したい」という気持ちがわかっていただけると思います。また別の季節に、拝観したいです！